“猛毒、再び”『ヴェノム』


ヴェノム - 映画予告編

 スパイダーユニバース?

 違法な人体実験で死者を出しているという噂のライフ社に取材を敢行したジャーナリストのエディ・ブロック。しかし挑発的な言動が怒りを買い、業界を干されることに。ついに潜入捜査を決行した彼は、知り合いのホームレスが異形の生き物に取り憑かれたさまを目撃する……。

 『スパイダーマン3』で悪役として登場したヴェノムが初の単独主演。監督は『ゾンビランド』しか面白い映画のないルーベン・フライシャーということで、結構不安視していたのだが……。

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 冒頭の宇宙船墜落、サンプル逃走のくだりの絵面が『ライフ』『ランペイジ』『ザ・プレデター』の同シークエンスとそっくりで、まあすごい既視感。で、4体いる宇宙生物の3体は捕まってアメリカに運ばれるが、残り1体は人間に取り憑いて逃げ出してしまう。ここらへん『ヒドゥン』みたいで、取り憑かれてる無名役者の演技が面白い。
 しかし、結局ここで逃れた一体も、身体を乗り継いでわざわざアメリカにまでやってくるのだよな……なんでこんな展開にしたんだろう。アメリカに着いてから逃げたことにしても良かったんでは……。

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 主演は我らがトム・ハーディ、正義感と強引な取材手法、歯に絹着せぬ物言いでうとまれる名物記者……だが、恋人ミシェル・ウィリアムズ弁護士の秘密の資料を盗み見て取材したことで、彼女を失業させてしまい、捨てられてしまう。仕事もなく食うにも困っていた彼だが、乾坤一擲、人体実験の現場に潜り込んだところ、謎の生物に取り憑かれる……。
 増殖、伸縮し、宿主と一体になる寄生生物シンビオート、その一人である「ヴェノム」! 妙に食欲は湧くし身体は暑いし……ということで、レストランに乱入したトムハ渾身の身体を張ったギャグ、最高ですね。しかしまあ、笑ってられるのも最初だけで、段々とシャレにならない事態になるのでは……と思ったが別にならない! あれ、このヴェノムさん、実はいい人なんじゃない……日本の宣伝では猛烈に「残虐」推しだが、これは『キン肉マン』における残虐超人ぐらいの意味合いなんじゃないの。根は悪い人ではなく、めっちゃ話が通じるし、あっちの世界でははぐれ者っぽい扱いを受けているらしく、そんなところにもシンパシーを感じてくれて……。

 展開はどうも雑だし、シンビオートに適応できるのは限られた人間のはずが、ヒロインやら悪役やらは都合よく大丈夫だったり、MCU以降の練られた設定を考えたらうーんと首をひねってしまう。出来がいいかというとひどい映画だと言うしかない。
 が、キャラクターとギャグは面白いので憎めない、嫌いにはなれない映画である。これが監督の個性なんだろうな……。まあプラマイで言うとややプラスぐらいの満足感はあったかな……と思ったが、ここでまさかのエンドロール16分! しかもその間に、本編と一ミリも関係ないつまんなさそうなスパイダーマンアニメの予告を延々と見せられて辟易! 俺の嫌いなCGアニメを、この後も何か映像あるかも、という期待感を人質に見せられ吐きそうになった。減点! マイナス!