"ビギナーズラックは続かない?"『ピザボーイ 史上最凶のご注文』


 『ゾンビランド』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111018/1318932217)の監督・主演コンビの再タッグ!


 冴えないピザ屋店員のニックは、ある日、配達先で謎の男たちに捕まり、身体に時限爆弾を括りつけられてしまう。タイムリミットが迫る中、銀行から十万ドルを奪って来ることを要求されたニックは、幼なじみのチェットに助けを求めるのだが……。


 ほんとに単純明快な筋なんだよね。しかし爆弾を括りつけられる主人公とその相棒のインド人だけでなく、犯人側グループの筋も並行し、お互いの状況を同時に見せていくことで、事件のあらましは観客側が何一つ考える必要もなくすべてわかってしまう。単純なストーリーに、謎の要素がまったくなくなり、さらに会話シーンが単純に倍になってるので、どうしても説明的になっている。ここらへんは整理の手際を間違えた感ありで、かなりテンポを落としているなあ。


 中盤以降、銀行強盗が始まってからは俄然面白くなりスピード感も出て来る。まあここまでは我慢だな〜。
 犯人側の事情が語られるせいで、話がシンプルなわりに妙に錯綜するし、二組の男のホモソーシャルぶりの対比もわずかながら見えて来る。しかし総じてメインストーリーが薄すぎる割に小さなくすぐりばかり入れていて、バランスが良くない。『ゾンビランド』のキャスト陣の奇跡的なケミストリーは、フロックだったのか……?


 ジェシー・アイゼンバーグのファンとしても、ちょっと物足りないかな〜。彼だけ観るにしては犯人側の視点が多すぎるんで……。細かい笑いだけで楽しめるなら悪くないが、82分を費やす以上はもう少しスパッと整理して、これを見せたいというものを提示して欲しかったところ。ダメとも言わないが、正直ぬるかった。

ゾンビランド [Blu-ray]

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