“手話で話そう”『ランペイジ』


巨大化生物が大暴れ! 映画「ランペイジ 巨獣大乱闘」予告編

 ゴリラ映画!

 宇宙空間で行われていた遺伝子操作実験の失敗……。謎の薬品が地球に落下し、落下点でそれを吸った野生のワニ、狼、そして飼育されていた白いゴリラのジョージが巨大化していく。やがて謎の電波に導かれ暴走した三体は都市を目指す……!

 怪獣映画である。冒頭、『ライフ』ばりの宇宙ステーションから幕開け。密かに実験していた動物を巨大化させる薬品によってラットが暴走し、犬ぐらいの大きさになって人を遅いまくる。ステーションを放棄して残った薬品を救おうとするが、乗員は死亡しカプセルは密閉容器に入ったまま大気圏に突入しアメリカに落着。たまたま容器だけが破損したことで薬品が漏れ、通りすがりの狼、ワニ、動物園のゴリラがそれを吸ってしまうのであった……。

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 まあすごいご都合主義だが、これぐらいは余裕で許容範囲である。動物園でゴリラの担当をしていたドウェイン・ジョンソン、いい加減そうな手話でコミュニケーションが取れるぐらいに通じ合っていたが、ゴリラが段々大きくなり始めたからびっくり仰天。怯える彼をなだめながら治療法を模索するが、政府にまとめてひっ捕らえられる憂き目に……。

 一方、狼もどんどん巨大化し、薬品を作ってた企業が捜索のために放った特殊部隊をあっさりと皆殺しに。この特殊部隊の隊長はそれなりに意味ありげな演出で出てきたのだが、敢え無く散りました。てっきりロック様を邪魔するかと思ったのにな。

 今や怪獣と化した動物たちを呼び寄せるのにある種の電波があったり、解毒剤が存在したりと一通りのお約束を踏まえつつ、クライマックスはシカゴの街中へ……。まあ正直、ここの展開のためにあるような映画で、後から来襲したワニも含め、三匹がバリバリと街を壊すシーンは最高でしたね。悪役も無残に死ぬので安心して見ていられる。

 ゴリラが他に比べてあまり大きくならないのは、まあ生存に向けての都合だろう、というのは簡単にわかってしまうので、もう一工夫欲しかったかな。狼にも苦戦し、ゴリラだけでは勝てない、ロック様がいないと……と思わせる絶妙なパワーバランスであるとも言えますが。本人は巨大化こそしないが、生身で怪獣同士の戦いのパワーバランスを変えてしまうドウェイン・ジョンソン、やっぱり半端じゃねえな。

 解毒剤で大きさは戻らないけど、心は元に戻る、というのはまさにゴリラのジョージ君のための設定で狼やワニは心がどうにかなってもやっぱり暴れまくりそうだな。ゴリラ的には生存フラグが立っているとも言えるので、ここはあえてもう一回薬を飲んで、キングコングになってからワニを倒す、という展開でも良かったかもしれない。ロック様に別れを告げ、髑髏島へと猿、じゃない去るジョージ……まあ現代では衛星とかで簡単に見つかるんだろうけど!

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 今作の製作はセクハラで干されたブレット・ラトナーの会社だが、この『ランペイジ』をもってワーナーとの契約は終了となりました。もう続編はなかろう。その最終作品のラストで、散々引っ張ってきた手話ネタを使って、セクハラ下ネタしてたのがまた象徴的だな。ひどすぎて面白かったが、こりゃダメだ、という感じでしたね。

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