”砕く。砕く”『ライフ』


映画『ライフ』予告2 進化編

 ジェイク・ギレンホール主演作!

 6人の宇宙飛行士が集まった国際宇宙ステーションで、一つの実験が開始されようとしていた。火星の地表から休眠状態で採取された謎の生物。刺激を受け、酸素を吸って少しずつ目覚め成長して行くそれは、脳と筋肉のみで構成された強靭な生命体だった。かつて火星に君臨し、そして滅ぼした力が少しずつ牙を剥き始める……。

 監督はダニエル・エスピノーサ……『デンジャラス・ラン』と『チャイルド44』か……なんかイマイチな映画ばっかりやん。

chateaudif.hatenadiary.com
chateaudif.hatenadiary.com

 共演はライアン・レイノルズレベッカ・ファーガソン真田広之と豪華キャストですよ。そんな彼らを含めた6人のステーション勤務の宇宙飛行士たちが、火星から持ち帰られた謎の生物のサンプルを実験。ゾウリムシみたいな小さな生き物にあれやこれや刺激を加える。実験担当は両脚が麻痺していて、この生物の秘密を解き明かせば治療の道が開けるのでは、と期待を寄せる。生物はまさに考える筋肉と言える……って、これは『寄生獣』の設定に似てるな。
 生八つ橋ぐらいのサイズに成長した生物は「カルビン」と命名される。二重に隔離された実験室内で少しずつ動き始め、手袋の上からまるでコミュニケーションを取ろうとするように巻きつく……。
 じわじわと大きくなっていくカルビン君なのだが、まだ手のひらぐらいのサイズなのに物凄く力が強い。握手が強烈! 東宝のドゴラを思い起こさせるデザインで、結構器用に道具まで使い始める。仲間を助けるために実験室に入ってきたライアン・レイノルズをまず血祭りに!

 このカルビン君のひらひらとした動きが秀逸で、無重力空間にいかにも適応してそうな軽さと優雅さ、広がっては抱擁するようなアクションがトレードマーク。序盤、人間がこのステーション内でどれぐらいの速さで動けるか、を見せてくれるのだが、それを徐々に上回っていく。『ゼロ・グラビティ』後の宇宙映画ということで、あのステーション内の表現もモンスターパニックにきっちり踏襲しちゃうあたりが心憎いですね。

 カルビン君、最大でも中型犬ぐらいのサイズにしかならないのだが、この全然強そうじゃないサイズ感なのに、捕まったらもう終わりというタフさと得体の知れなさを出してきていて、実にいいですね。ただ、一人殺して食ってからは、身体が内側から血の色に幾分染まって、顔っぽいものができて、その得体の知れなさはちょっと薄れたかな……。この成長後のデザインはいけてない。ドゴラで通せば良かったのに。
 ただ、最後にポッドに「同乗」するカットは、「顔」があるがゆえのシュールさがあって面白かった。

 メインの登場人物は6人だが、一人一人、結構ねっちりといたぶり殺していく手順もいいし、最初に殺されるやや軽薄げな役回りを買って出たライアン・レイノルズの漢気も良し! 真田広之の活躍で中盤も締まり、地球に帰りたくないマンであるジェイク・ギレンホールが渾身の決め台詞をラストに食らわせてやっぱりいつものメンタル病みキャラであることを強調! キーパーソンであるはずのレベッカ・ファーガソンの何もしてなさもこれはこれでありか……。
 アリヨン・バカーレさんの、隔離失敗の発端を作っちゃって以降のメンタル弱げ感も面白かったな。ちょっとした同一化願望みたいなものが、最後に効いてくる。

 丁寧に作ってるが、やっぱりジャンル映画のパターン化にはまっている感は否めない。……が、それでいいんだ! B級SFホラー作りたいんだ!というマインドが感じられて、これはこれで良し。多くを期待しなければ大変面白かったですね。オチもまあだいたい読めるけど、だからこそ「キター!」という気持ちになれるわけでね……。