”箱を開けた先”『ディストピア パンドラの少女』(ネタバレ)
ゾンビ映画!?
奇病が爆発的に蔓延した近未来。残った数少ない人間は、ハングリーズと呼ばれる感染者を避け、壁に囲まれた基地内で暮らしていた。イギリスの田舎町にある基地で暮らす少女メラニーは常に拘束され、仲間とともに教育と実験を受けていた。感染者が基地内に侵入した日、メラニーは自分と世界の秘密を知る……。
これは予告編だけ見て楽しみにしていた映画。最初の特報でもぼんやりとゾンビものなのかな?と思っていたが、やっぱりそうだった。主人公は拘束された少女で、何かに感染していて、大人との接触を禁じられている。同じように捕まっている小年少女の教師役にジェマ・アータートン。今回はエロさ完全封印でセーターなんか着てますよ(いや、もちろんそれこそがエロいんだ、と思う向きは別に否定しないけど……)。しかし顔ちっちゃいな! グレン・クローズがめちゃ顔でかく見える!
植物由来で胞子によって感染する、という今作オリジナルの設定に則って話が進む。感染した妊婦の胎児がゾンビ化して成長し、母体を食い破ったというのが主人公ほか、感染したが理性を保っている者たちの設定。これは……『ブレイド』だな……。ある種のハイブリッド的存在として設定されている。
ストーリー展開がすべてこの設定とシンクロしていて、どこを取っても不可分で遊びがない。ゾンビも単に腐るのではなく、症状が進行するとどんどん植物が発達して身体が覆い尽くされてしまう。で、さらに進むとどうなるか……?というのが肝。
それと並行して、主人公の少女を、感染していない人類との中間の存在として対置する。……が、こちらは相互理解のための架け橋としての存在ではなく、やはりすでに人間とは異質の存在である、ということがじわじわと表現されていくのである。「猫」のシーンが象徴的ですね。
ものすごくわかりやすく「パンドラの箱」の逸話が紹介され、主人公のメラニーこそが「パンドラ」に当たり、最後は当然「箱」が開けられる展開になる。そこに入っていたのは希望なのか、希望だとすれば、それは誰にとって何にとっての希望なのか?
ハングリーズというネーミングが『クレイジーズ』っぽくて、ゾンビ共々ロメロさんオマージュなのかな。ほぼゾンビの第1世代と主人公ら第2世代のギャップが大きすぎて別物感があるし、おなじみ噛まれて感染と胞子吸って感染が直感的に結びつかない座りの悪さなど、今作ならではの設定と『ゾンビ』の食い合わせ感の問題も少々。さらにこのオチは『アイ・アム・レジェンド』の原作か……? ということで、色々詰め込んでいるわね。
そんなこんなで、設定的には新鮮味はないはずなんだが、主人公のキャラクターなどでフレッシュさを出していて、まずまず面白かったところ。
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