”戦闘機械獣”『キングスマン ゴールデンサークル』(ネタバレ)
シリーズ第二作!
エグジーとキングスマンに迫る新たな敵……。侵入を受けたキングスマン本部は、謎の組織ゴールデンサークルに爆撃され、エグジーとマーリン以外のメンバーを失ってしまう。同盟を結ぶスパイ組織ステイツマンを頼り、二人はアメリカに向かうのだが、そこでは思いがけない再会が待っていた……。
一作目は面白くなりそうでならなくてもどかしい映画だったな、という印象。この続編もまあ同じ感じで、キャラクター性とかストーリー的な盛り上げにあまり興味がないのだろうな……。
ガラハッドを襲名して活動に励むエグジーを、元キングスマン候補生が襲い、そいつの手引きによって、新生キングスマンはいきなり壊滅させられることに。新アーサーや、前作から引き続き出ていたランスロットもあっさり殺され、犬や友達まで失ったエグジーは、マーリンと共に「ステイツマン」と呼ばれるアメリカのスパイ組織を頼ることに。
まあ一応、泣いたり神妙な顔をしたりするエグジーだが、仲間が死んだからと言って映画自体のトーンは一ミリも変わらないから、ああ脇役を殺して話を転がしたのね、という気がどうしてもしてしまう。すぐにステイツマンの面々が登場し、また新しい仲間に囲まれることになるので喪失感や孤立感は何もないし、コリン・ファース復活で吹っ飛んでしまう。
今回はこのステイツマンの面々が、ジェフ・ブリッジス、チャニング・テイタム、ハル・ベリーなど。悪役のジュリアン・ムーアと合わせて、超豪華キャストだ! いったいどうなるんだ、と思いきや、実はチャニング・テイタムは中盤で離脱、ジェフ・ブリッジスは座ってるだけなど、実質的に単なるゲスト出演だったのだ……。ジュリアン・ムーアも同じセットから一歩も出ないし……。代わりに『グレートウォール』のマット・デイモンの相方が活躍するのだが、まさかラスボスまで彼とは思わなかった。人間をハンバーガーにして食っていたジュリアン・ムーアでなく、この彼がミンチにされるんだが、これも妙にお約束を外すシリーズらしいな……。ここはジュリアン・ムーアをミンチにしないとだめだろう。
終盤には、念願叶って現場に出た途端にマーリンが死んでしまうという展開があるのだが、そこまで人の死があまりに軽いので、全然緊張感がないのだよな。一応、爆死した体になっていたが、続編で両脚義足で復活するんじゃないか。
さらにその後、ステイツマンで後方支援担当だったハル・ベリーが、ついに現場進出します!という展開になって、それがまるでハッピーなことのように語られるんだが、マーリンの末路を考えたら不吉さしかないのだが……。
アクションシーンや絵作りはさすがのセンスだし、長い割にそれほどテンポも悪くない。コリン・ファースも定番芸をやろうとしてずっこけるギャグも込みでさすがだな、という役者ぶり。
しかしセンスとキャラに依存しすぎて、相変わらずお話がほったらかしで、今回はエグジーの成長ものでさえないから、余計に骨のない印象になってしまった。まあ今回は友達の仇を討ってヒロインを救う、ぐらいの話で、彼らはみんなヤク中だけど悪いやつじゃないので、みたいなゆるい話。だいたい職業がスパイで法の番人でもなんでもないんだから、ヤク中は犯罪者か、生かすべきか殺すべきかなんてことがジレンマにも何にもなってなくて、なんでこんな設定を持ち込んだのかな。
二作目も相変わらずだった、という感じだが『パワーレンジャー』に続きゾイドが出たので、15点ぐらい加点はあるかな……。たぶん、三作目は見ない。
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