”バベルの塔”『スカイ・オン・ファイア』
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2018/02/07
- メディア: DVD
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のむコレ第二弾!
密かに開発が進められていたスーパー幹細胞が、トラックでの輸送中に奪取された。かつて妻をガンで亡くし、医療の発展を少しでも助けようとその警備主任となっていたティンボは、トラックを奪回しようとするが、事態は思わぬ方向に……。
のむコレ企画で中国映画が三本まとめて公開され、これを二本目に見た。主演はダニエル・ウー、『GF*BF』のジョセフ・チャン。
がん患者への再生医療を軸にした医療サスペンス……ということなのだが、監督・脚本のリンゴ・ラムがカーチェイスに銃撃戦をガンガン入れるため、ものすごい勢いでリアリティ・ラインが下がっていく。登場人物に誰一人頭のいい人がおらず、全員が無計画にその場の思いつきで行動するために、話が混沌に包まれ、盛り上げるために犬や人が死にまくる!
そんな中で、いつもの何かが取り憑いたような顔をしているダニエル・ウーが、その調子で全員を睨みつけて憤懣を溜め込んでいく。ガンで妻を亡くした警備員だったが、ips細胞の研究所の火災から医者を助けたことで、その細胞の研究をしている巨大ビルの警備につくようになり、先進医療をバックアップしようとする。しかし、巨大ビルは利権まみれで、人の命を救うはずの幹細胞医療は金儲けの道具にされようとしていた……。
振り返ってみるとダニエル・ウー絡みのメインの筋はわりと単純なのだが、ここにジョセフ・チャンとそのガンになっている妹が絡んできて、さらに火災で死んだ博士の息子が三角関係になる。実は二人は兄妹ではなかった……。
香港映画らしく設定が足し算足し算で盛られて行って、さらにアクションも爆発も人死も恋愛も足されていく。こういう作劇をすることの欠点は、登場人物自身やその行動が、単に話をややこしくするための存在に見えて、自然とその世界に存在しているように見えなくなってしまうことなのだな。
後半でジョセフ・チャンが妹と共に故郷に帰ると、急に話がすっきりしてホッとするのである。で、そうなると今度はダニエル・ウーの怨念を止める者が誰もいなくなって、ちょっとやりすぎじゃね?という大爆発が起こるのである。確かにスカイがオン・ファイアしてたわ……。
まあこの大雑把さが、いかにも香港映画という感じだわなあ。しかし、正直、中華映画祭りのクオリティにもちょっと届かない感じで、中国映画版「未体験ゾーンの映画たち」を観たような印象。次回にものむコレがあるなら、これは最低ラインということになるかな……。
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