”キューブに託して”『スノーデン』(ネタバレ)
オリバー・ストーン監督作!
香港の高級ホテルでジャーナリストたちと落ち合うために現れた一人の青年。彼の名はエドワード・スノーデン。NSAに勤めた彼は、アメリカ政府の開発したネットワーク監視プログラムの存在を知り、それが他国をも監視下に置いていることを暴露する。すでにプライバシーはない……。
エドワード・スノーデンによる告発を描いたドラマということで、事実関係は証言通りに実話として押さえつつ、彼のCIA勤務時代と決断の過程を追っていく。
まあ正直、スノーデンという人物に対する美化はあるのだろう、と思っていたが、作中で描かれる盗聴・監視のとてつもない規模と違法っぷりに比べたら、それを告発した人間が好人物だろうが小人物だろうが別段どうだっていいという感じではある。
演ずるはジョセフ・ゴードン・レヴィットで、相変わらずのなで肩ぶり。またこの人の繊細さと同居した芯の強さみたいなものの演技が絶妙で、さらにこのスノーデンという人の数字を扱いロジカルであるがゆえの潔癖さみたいなものが噛み合って、この前代未聞の暴露劇がいかにして起きたか、につながってくる。
葛藤を重ねて重ねて、ついにデータの持ち出しを決意するあたりはものすごくフィクショナルな演出がされていて、そこで描かれるクソ度胸には映画ながらびっくりしてしまったね。なんという綱渡りだ……という感じだが、綱渡りといえばJGLなんですよ。
実際にこんな持ち出し方はしなかったろう、と思いつつ、この実話と虚構のバランスが心地よくて、さすがに見せるな……と思っておったのだが、衝撃はクライマックスにやってきた。ロシアに亡命したJGLが、モニター越しに講演会に登場……というところで、まさかのスノーデンさん本人に交代! えええええええ!
なんだこの演出は……これは……ありなのか……とにかく度肝だけは抜かれたわ……。しかし本物が登場して、「ここまでは全て本当の話なんですよ!」とアピールすると、逆に途中の大ウソなんだけどエンタメですから!とぶっちぎった部分の虚構性がマイナスの意味であらわになってしまうような気がするなあ。ソフト化の際はJGLエディションとして、本人の登場しないバージョンとか入れても面白いかもな……。
オリバー・ストーン人脈か、ニコラス・ケイジも出演。悪役じゃないがさりとて重要でもない、ほとんどゲストみたいな扱いで、この人は最近、金回りとかどうなってるんだろう、と心配になってしまったね。
『アイ・イン・ザ・スカイ』に続いての「オバマの8年」を描いた映画でもあり、現在進行形の「トランプのアメリカ」にも通じる一本として、今まさにこの時代に観ておくべき映画でありましたね。さあ、世界はいずこへ向かうのか? それもまた我々次第ということを忘れないようにしたい。
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