“その旗を掲げよ”『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』


戦狼/ウルフ・オブ・ウォー - 映画予告編

 のむコレ第一弾!

 特殊部隊「戦狼」の元隊員レンは、任務中に行方不明となった恋人の仇を探し求め、アフリカを旅していた。だが、内戦の勃発により現地在住者が危機に陥ったことで、同胞を助けるべく戦いに再び身を投ずる。

 中国で馬鹿当たりしたウー・ジン監督・主演作。ウー・ジンはこれで中国本土でもスーパースターの仲間入りだそうですよ。最近、Netflixに加入して第1作を観ました。今作は続編なのよね。
 一作目は、命令違反して人質を守るために標的を射殺したスナイパーのウー・ジンが、ユー・ナン隊長率いる腕利きのはぐれ者ばかり集めた戦狼部隊に左遷され、そこで初陣を迎えるという話。模擬弾を使った演習中にスコット・アドキンス率いる傭兵部隊の急襲を受け、仲間を失いながらもこれを撃破し黒幕を捕らえたウー・ジンであった……。
 CGがちゃちかったり、ミリタリーマニアこそ喜びそうだがアクションシーンが地味だったり、正直パッとしない内容で、これの続編が大ヒットと言われてもにわかには信じがたい。

 さて、今作では戦狼部隊を抜けてアフリカにやってきているウー・ジンが……って初陣やったばかりなのにもう抜けてるのか! 死んだ仲間の遺族を追い払おうとする地上げ屋を蹴り殺したせいで除隊、服役していたが、その間に恋仲となっていたユー・ナン隊長がアフリカで任務中行方不明に。現場に残されていた螺旋の入った弾丸だけを頼りに、彼女の仇を探して各地を渡り歩いているという話。戦狼だったのは一戦だけだし、もうやめてるし、このタイトルでいいのか……?と思うのだが、「一度入れば、戦狼は死ぬまで戦狼だ」という強引な台詞がありますんで……。

 中国資本だが、舞台は完全にアフリカ。ところでオープニング前にやたらと製作会社のロゴがいくつも出てきて、まだ終わらんのか!と思っちゃったよ。すごいマネーが集まってるな……。
 アフリカ某国で内乱が起き、元上官と連絡を取ったウー・ジンも成り行きで在留する同胞たちを助けることに……その最中、現地の知り合いであるアフリカ人少年のお母さんを助けるのと、現地の反乱軍が狙う病原菌の鍵を握る少女を守るのを同時にやらないといけなくなる……。なかなかやることが多くて少々とっちらかった話なのだが、最終的に一箇所の工場に全員が集結してそこさえ守ればよくなるので無問題である。

 ミリタリー趣味は相変わらずなのだが、工場のロケーションが面白くて、その分ウー・ジンも様々に身体を張り、高いところに登ってワイヤーで吊られることに! 前作は単なる林で絵的に退屈だったのも響いたな。
 さらにサブキャラも、元軍人のおっさんにミリタリーマニアのボンボンという異色の取り合わせで、何となく同じような軍人がいるという状態からも脱却。守る相手も民間人に少女なので、非常にわかりやすいですね。
 工場はボンボンの父親の中国企業が所有していて、現地のアフリカ人も従業員として抱えているのだが、内戦が起きたので中国人のみ引き上げる、ということになる……。しかしウー・ジンが「全員で一緒に脱出だ!」とぶち上げ、ボンボンも男気を発揮しそれに追随。

 反乱軍は戦後の外交を考えて中国政府とはことを構えたくないので、中国人には手を出さないということになっている……はずなのだが、『キャプテン・アメリカ』のアクションチームと共に出張ってきたフランク・グリロが内乱の中でさらに反乱して軍を乗っ取り工場に襲ってくる。脱出を決意した従業員たちはその夜、工場敷地内で祭りを開いていて、そこにドローンの襲撃が……。えっ、なぜ祭り……というぐらい無防備に騒ぎすぎで、ミリタリーマニアが持ち込んだ武器を装備した警備兵も一応いるのだが、ドローンと傭兵には歯が立たずすぐにウー・ジンと元兵士のおっさんが孤軍奮闘することに!
 一回、完全に追い詰められて、もうこりゃ逆転しようがないんじゃというところからギリギリで助かる、という展開が何回かあるので、割合緊迫感がある。ウー・ジンは途中で病気にかかったりして新薬の人体実験されたりと、なかなか忙しいが、意地でも見せ場は人に渡さないのな。

chateaudif.hatenadiary.com

 工場は一回占拠されるんだが、ウー・ジンが単騎でカチコミをかけて奪還し、おっさんとボンボンと共に増援を迎え撃つ! しかしやっとの思いで壊滅させたと思ったら増援が倍、戦車3台沈めたと思ったら今度は5台と、全然敵が減らずまた追い詰められる……。ウー・ジンはほぼ無双状態なんだが、ちょっとずつダメージを受けて段々とピンチに。絶体絶命の彼は、同胞が撃たれるその光景をリアルタイムでスマホで通信! 近海の中国艦艇に全てを伝える……。映像を見て涙にくれる乗組員! ショックを受ける艦長は……ミサイルの発射を申請! 次々と戦車が吹っ飛び、大逆転!
 いやはや、アパッチが助けに来たり艦砲射撃が飛んできたりのアメリカ映画とほぼ同じことをやっていて、中国もここまで来たか、と思わせられた。さすがは大国様だな……。

 クライマックスはきっちりステゴロ対決で締め、次作に続く引きは『ワイスピ』オマージュかと思わせるところ。最後までてんこ盛りを貫いた娯楽大作で、一作目よりは遥かに面白くて満足ですね。もちろん続きます!

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