コワすぎ!な電子書籍

 ここ三年、「カナザワ映画祭」でやっている「映画の生体解剖」対談が去年からkindle書籍になってます。白石晃士監督が参加したその昨年分を収録し、『貞子VS伽倻子』についての解説、裏話を特典で加えたのがこの本であります。
 去年は日程が合わず、この対談も聞けなかったので嬉しいですね。オマケ分は新作について完全にネタバレしてるそうなので、僕も見てから買おうと思っております。


 一昨年分も発売中!

 さらに読み応え抜群の書籍版もあるよ。これは紙本。

映画の生体解剖~恐怖と恍惚のシネマガイド~

映画の生体解剖~恐怖と恍惚のシネマガイド~

 白石監督といえば、こういう本も発売されてますが、これなんかも電書で出さないかなあ。

 『貞子VS伽倻子』ノベライズ。

貞子VS伽椰子 (角川ホラー文庫)

貞子VS伽椰子 (角川ホラー文庫)

”君は昨日何をググった?”『エクス・マキナ』


映画『エクス・マキナ』予告編

 ドーナル・グリーソン主演作!

 検索エンジンの会社で働く若きエンジニアのケイレブは、普段は姿を見せない社長の山間の別荘で、一週間の研修を受ける権利に当選する。仲間に羨まれながら別荘にヘリで向かったケイレブ。出迎えた社長が彼に命じたのは、実用段階に入ろうとするAI「エヴァ」のチューリングテストを行うことだった……。

 『リリーのすべて』でアカデミー助演女優賞を獲得したアリシア・ヴィキャンデルちゃんが、今作ではアンドロイド役でまたも演技達者ぶりを見せております。そのアンドロイドの製作者であるカリスマ社長がダメロンことオスカー・アイザック。そしてダメロンと同じくEP7組のドーナル・グリーソン……。

chateaudif.hatenadiary.com
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 オープニングは、一社員であるドーナル・グリーソンが抽選で選ばれるところから。このあたり台詞なし演出で超展開早い……んだが、招待を受けた彼が社長の別荘に行ったあたりからは同じセットで延々会話劇が続き、あの序盤のテンポはなんだったんだ、と思わせる。そのギャップもたぶん狙いなのね。
 ここからは7日間の研修が一日ずつ追われ、その中でアンドロイドであるエヴァの「チューリングテスト」を行うグリーソン……。ところで、素朴な疑問なのだが、チューリングテストってこうやって直接メカのボディを見ながらやってもいいの? 余計な先入観が入りそうな気がするのだが。

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 社長業は割とほったらかしで、お手伝い兼愛人のキョウコさんの作る寿司を食べつつ、呑んだくれているダメロン社長。序盤はグリーソンとの会話シーンが多くてなかなか眠い作りなのだが、後半からじわじわと不気味さが増してくる。最初は抽選で選ばれたと思っていたドーナルくん、これは実は最初から仕組まれていたことではないかと疑いだす。
 「検索履歴は全てモニターしている。検索履歴を見ればどういう人間かわかる」と言うダメロン社長。当然、ドーナルくんの履歴も知られているわけで……。

 「僕は実はアンドロイドなんじゃないか? 実験されてるのは僕では?」と、急に明後日の方向に気を回して自分の皮膚を切り開くドーナルくんだが、幸い生身でした。そこまで豪快なオチはなかったとすると、じゃあ実際に仕組まれているのはもう少し繊細なニュアンスの仕掛けということになる。

 特殊メイクのつなぎが自然で、アリシア・ヴィキャンデルちゃんの身体がマジに透けているように見えてすごいですね。AI役ということで、『UNCLE』や『リリーのすべて』と違って、全然押しの強くないキャラクター。生まれたて、ぼんやり、おっとり、小柄で何だか守ってあげたくなるような……。
 それに対し、どんどん同情心を抱くドーナルくん。実験終了後の「処分」を匂わせるダメロン社長。AIの人権みたいな難しい話にも行きそうなのだが、それよりもドーナルくんの同情心が恋愛感情にやがて発展していくように見えてくる。

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 見てて『ルビー・スパークス』を思い出したのだが、あれとは対照的な話かな。恋愛対象が生命なき虚構の女であるのは共通しているのだが、ポール・ダノとドーナル・グリーソンのキャラが対照的。かの映画のポール・ダノが作家として才能に恵まれ、それゆえにルビー・スパークスを生み出してしまうのに対し、ドーナルくんはエヴァにただあてがわれただけ。思えば『FRANK』においても、ドーナルくんはアーティスティックな才能が欠片もないキャラを演じていた。作家ダノがその好きに人格を書き換える才能ゆえに暴力性を露呈し支配欲をあらわにしていくのに対し、何も持たない童貞グリーソンはその優しさゆえに逆にコントロールされていくのだな。

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 今作中でそのドーナルくんと対照的な場所に配置されているのはダメロン社長で、成功者、大金持ち、科学者としての才能、剥き出しのセックスアピールなど、ドーナルにないものを持っている男。そんな彼に検索履歴から童貞であることを見透かされていた……というのは、頭に血がのぼるような実に悲しい設定ですね。果たしてドーナル・グリーソンは圧倒的童貞力を発揮し、やっぱり所詮、童貞は童貞だった……ということになってしまう。『鑑定士と顔のない依頼人』にも通じるな……。

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 SFとしては非常にシンプルで、登場人物はわずかでテーマもきっちり語り切っていてわかりやすい映画でありました。『her』のような成長譚には結びつかないあたりの底意地の悪さも味ですね。

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無料の電子マンガだけを読む!

 今月もカードの支払いがやばい! でも物欲が爆発してるよ! そんなカード締め日一週間前ぐらいの苦しさは筆舌に尽くしがたいですね。しかしそんな物欲をちょいちょいなだめてくれるのが、無料の電子書籍
 一巻無料……一〜三巻無料……一巻期間限定お試し無料……そんな漫画の数々を、ちょいちょいちょいとポチれば、物欲も解消、時間潰しも出来て一切お金もかからない。映画化、ドラマ化されて気になってたあの漫画もこれでちょいちょい読めば予習もバッチリですね。そんな感じで、僕も『海街diary』やら『重版出来!』やらを一巻だけ読んで満足したりしております。


 さあ、今すぐkindleストアにGO!と言いたいところですが、ライブラリにこの無料漫画が溜まってくると、実は目障りでしようがないんですね。特に期間限定のものは一定期間を過ぎると読めなくなるんですが……なんと、だからと言って勝手に消えてはくれない! えっ、なんで……と思いますが、そういう仕様なんで仕方がない。消すにはamazonのマイページに行って、購入済みのデータを自分で管理、消去しないといけません。うわあ、これは面倒だ。しかもブラウザでやるから操作性もイマイチだったりして……。

 今までkindle中心に紹介してきましたが、ここで役立つのがこれ、「LINEマンガ」。

 今や誰もが入れてるアプリ「LINE」ですが、その関連の電子書籍アプリ。マンガのみに特化していますが、品揃えはほぼkindleと同じで、無料版もだいたい同時期にラインナップしてます。もうおわかりですね。このアプリ……期間限定は終了と同時に勝手に消してくれる! これで面倒なデータ管理にはさようなら。
 欠点はスマホタブレットでしか見られないことですが、あくまで無料のコミックを読むためだけと割り切れば十分だと思います。
 実際のところ、有料の本はkindle、無料のマンガはLINEマンガということで使い分けてますが、これだとLINEマンガには一切お金を落とさないので、なんだか申し訳ないような気もしますね。まあこのスタイルは当分続けますが。

今日の買い物

『ウォールフラワー』BD

ウォールフラワー スペシャル・プライス [Blu-ray]

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 公開時の感想。
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『ドラゴンロード』BD

ドラゴンロード エクストリーム・エディション [Blu-ray]

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 DVDから買い換え。エクストリーム・エディションをチョイス!


『サンダーアーム』BD

サンダーアーム/龍兄虎弟 [Blu-ray]

サンダーアーム/龍兄虎弟 [Blu-ray]

 DVDから買い換え。ジャッキーが死にかけた映画。

”分かたれたもの”『ヒメアノ〜ル』


ヒメアノ~ル Himeanole (2016) 実写映画予告編

 吉田恵輔監督作!

 ビル清掃会社で働きながら、未来に希望を持てない人生に焦りを覚えていた岡田。年上の同僚である安藤に、人は迷いや焦りがあるから生きていけるんだと諭されるが、安藤自身は恋に情熱を傾けているという。安藤が想いを寄せるユカという女への接触役を頼まれた岡田は、彼女が働く店で、高校の同級生であった森田という男と再会するのだが……。

 『ばしゃ馬さんとビッグマウス』『麦子さんと』『銀の匙』が一時期立て続けに公開され、いずれも大ヒットとは行かなかった吉田恵輔だが、きっちり下地にはなっていたのかな。今作はまた人気コミックの映画化! 主演はV6の森田剛だっ!

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 予告見たら森田剛は悪役で、主演は濱田岳にしか見えないのだけれど、タイトルの「ヒメノアール」のアノールはイグアナ科のトカゲで、ヒメがついてその小さなものという意味。タイトルの出方からしてもこれは主に森田剛のキャラにかかっているわけで、社会の中ではそれだけ彼が小さな存在であることを示している。

 濱田岳ムロツヨシ佐津川愛美の三角関係のくだりは、古谷実の原作漫画の会話シーンが監督のテイストにばっちりはまっていて、居酒屋でのトークのあたりの落ち着かなさなど、まあこう言うのをずーっと見ていたいなあ、と思わせる。この辺りは『ばしゃ馬』からおなじみで、このいたたまれない気持ちにさせる会話シーンはオンリーワンの切れ味があるぜ。
 さらに佐津川愛美をストーキングする森田くんこと森田剛が絡んで、事態は四角関係に。言うまでもなく『さんかく』のストーカー、家への嫌がらせ描写を思い出させる。さらに唐突にも暴力シーン、惨殺シーン、レイプシーンが飛び出し……内容は全く違うが『銀の匙』でポイと屠畜シーンを放り込んでくる手際も連想させたところ。これは全てにおいて吉田恵輔作品の集大成になっているんではなかろうか。

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 しかし、ねちこく人物描写できる人は、結局なんでも撮れるのだな、と思わせるバイオレンスシーンの完成度が素晴らしい。躍動感とぎこちなさの双方が存在する生身の肉体のぶつかり合い。生々しい流血。カメラワークの不穏さも手伝って、嫌な空気感が全開だ。

 森田剛の演技が素晴らしいのだが、SMAP解散騒動を思い起こせば、一見明るく楽しげに振舞っているアイドルが実は独立もままならない事務所の奴隷である、なんてことは明らかであり、V6も無論例外ではない。さらにそのジャニーズ事務所の特異性を鑑みるに、森田剛もジャニーさんのケツの穴を舐めたことがあって当然なわけで、そう考えると屈辱的な体験に端を発したと思しき今作の狂気描写も、あながち現実の彼と乖離しているとは思えないのである。それが演技にリアリティを与えているんだろうなあ……。

 濱田岳の安定感は言うに及ばずだが、ムロツヨシはちょっとオーバーに感じたところ。目を合わさず能面のような表情で録音された台詞をしゃべってるような感じは、確かにコミュニケーションに難のある人の特徴だが、ちょっと表情豊かで面白い彼の個性と合わなかった感がありますね。
 ところで、ムロツヨシ絡みのシーンは後半に撃たれちゃうところが意味深で、なんか股間を撃たれてるように見えたり、病院で変わらぬ友情を誓ってから目を閉じ、外で濱田岳が泣き崩れるものだから、もう死んでしまったんじゃないかという気さえしてしまう。

 原作ではついに交わらない両者が邂逅するクライマックスはやはり映画ならではで、道を違えてしまった者たちの悲哀も感じるところ。
 ここまで言及してなかったが「麦茶」のくだりには『麦子さんと』の存在がちょろっと感じられたね。やはりああいう「お母さん」や「田舎」「家」が、監督の原風景なのかな。このあたり、急に情緒的にウエットになって、森田剛もおっさんなのに高校生役で、映画の狙いではないのだろうが、それがまたより気持ち悪くて良し! ラストで感動とか言われても「えっ」となってしまうのだが、そう受け取らなければこれはこれであり。

 哀しくもおぞましく、一切の描写に妥協がない素晴らしさ。やはりこの監督は信用できるな……田舎ネタ以外はね! 今後も過去に逃げ込まず、都会の砂漠で映画を作り続けていってほしいものである。

電子書籍のある本・ない本

 出版社のポリシーなのか、作家自身の方針なのか、あらゆる本に電子版があるとは限りません。先日、西原理恵子が「電子書籍は印税が安いからいらん」と言っていたというようなことを聞きかじりましたが、そういう理由もあるでしょうし、塵も積もればの精神で出している人もいるのかもしれません。
 同じ作家でも、ある出版社から出ている分はあったり、一時期以後の本のみあったりと様々です。全く出てない作家もいますね。一時期よく読んでいた古川日出男なども、全く電子版は出していません。短編集などさっと読みたいものもあるんですが……。

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

LOVE

LOVE


 さて、amazonで探してもいいんですが、最近、自分はこちらを利用するようになりました。

電子書籍の司書さん

電子書籍の司書さん

 これは要はkindle本に特化した検索サイトで、自分が最初の頃にやっていた特定の作家、出版社などに絞って検索する場合に向いています。後々触れますが、新刊ならぬ旧作、以前には出ていなかった本が突然電書化されることもままあるわけで、定期的なチェックが必要ですが、どうしても煩雑な作業になります。それを利便化してくれるのがこれ。
 お気に入りの作家のどの本が電書化されているか、どれがセール中でどれがそうでないのか、一目でわかります。前回取り上げた、定期的にセールやっている手塚治虫漫画なんかも、あっさりと絞りだせますね。

Kindle Paperwhite Wi-Fi、ブラック

Kindle Paperwhite Wi-Fi、ブラック

電子書籍の新刊、セール情報を仕入れよう

 最初のうちは、持ってる本を買い換えるだけだったので、ピンポイントで検索していればそれで済みましたが、途中から新刊なども欲しくなってきます。また、時々ある20%~50%引き、あるいはポイント還元のセールなども併用すると、より効率良く収集できることに気づきました。

 が、何せamazonを眺めていても膨大な情報量があり、しばらくは定期的に自分のほしいものリストを眺めて値下げになっているものを探すぐらいでどうにかしていましたが、欲しい本が増えれば増えるほどこれは面倒になってきました。
 さらに月一セール以外の突発的に始まる割引などもなかなかチェックできず、気付けば大量の本が割引になっている、あるいは先日買ったばかりの本がセールになっている、などなど……。

 では、手っ取り早くその手の情報を収集したいと思った時に見つけたのがこのサイト。

きんどう

kindou.info


 マメな新刊情報とセール告知で、業界最大手らしいサイト。中の人がこれだけで生活しているというのも話題になりましたが、とりあえずここを定期的に見ていれば、どういうタイミングで新刊が出ているか、いつからいつまでセールがやっているか、だいたい把握できます。

Kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話

Kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話

 ここ一年ぐらい、このサイトをチェックしていますが、出版社別のセールのタイミングや、どういう本は割引になり、どういう本は定価で売り続けられるかもぼんやりと見えてきています。

 ただ、ここもかなりの情報量を抱えているので、興味のない情報も多数流れてくることになります。自分はラノベは読まないし、実用書の類にもあまり関心がないので、もう少し好みのジャンルに絞って情報を得たいな、と思うことがあります。
 そういう方は、類似のサイトも数多くありますので、コミック中心などややジャンルの偏ったものを探してみればいいと思います。

 最近買ったのは、99円でセールしてた手塚治虫作品。

日本発狂

日本発狂