”守りたいもの”『ワイルド・スピード ICE BREAK』(ネタバレ)
シリーズ第8弾!
レティとのハネムーンを過ごすドミニク。だが、新たな敵の魔手が迫る……。ホブスの頼みで重要ミッションに参加したドミニクとファミリーたち。しかし、意外な男の裏切りによりホブスは投獄されることに……。
前作はあまり映画としては評価していないのだが、オープニングは最高、エンディングはポール・ウォーカーにどうしたって泣かせられる作りなので、トータルの満足度は高かったですね。
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さて、ブライアンの離脱を経ての続編。ハネムーン中のヴィン・ディーゼルに接触してくる新たな敵、シャリーズ・セロンが接触してくる。なぜか彼女に協力し、ロック様や仲間との共同ミッションの際に裏切るヴィン・ディーゼル。なぜ彼は敵に回ったのか?
この謎を軸に、空中分解しかけのファミリーには、ロック様に加えて収監されていたジェイソン・ステイサムが助っ人として参加して新チームでセロン一味に対抗することに……。あ、スコット・イーストウッドも出て来て、みんなにいじられます。
ここ数作の全てに、実は天才ハッカーシャリーズ・セロンが黒幕あるいは共犯者として絡んでいた!という後付け設定が飛び出して、話の作りは少々雑かな、と思う。実はドムが裏切ったわけは、人質を取られていたことが原因で、それはミシェル・ロドリゲス不在時だけの恋人エレナと実はその間に密かに生まれていた赤ん坊だった……というのも、今作から登場の壮絶な後付け。ドムは赤ん坊の存在を知らず、人質にされて初めて知ったという設定。さらに、任務に手間取ったことを咎められたドムの前でエレナは殺されてしまう……。うーん、これは完全な作劇の都合だな……。あとでレティ以外に母親がいると話がややこしくなるから殺しただろ……。
そんなお話の強引さはさておき、アクションシーンは今回は整理されていてやたらと見やすい。一時期、誰も彼もが殴り合いしてて、もう車映画じゃなくなってきたな、と思いかけていたが、今作はヴィン・ディーゼルは車の運転すごすぎ! ロック様は筋肉が無敵! ジェイソン・ステイサムは射撃と格闘が速すぎ! と、キャラごとの個性に合わせて役割分担、見せ場の分担が為されている。ステイサムの機内バトルは若干『トリプルX 再起動』と被っているが、そろそろいい歳かと思ってたけどステイサム史上においても稀に見るキレキレっぷりではないか。前作のオープニングで「すでに全員倒してました」という演出の裏で、実はこういうことが起きてたんだね……!と想像させるに充分ですよ。
さらに、「ファミリー」と口癖のように言ってるのがブライアン不在でますます空洞化しないかと心配されていたところを、安直に口だけで言うのじゃなく今作のテーマにまで昇華させたあたりも良し。今までのファミリー、新しいファミリー、ジェイソン・ステイサムというライバルキャラのファミリーを対比させて、互いに受け入れ合う過程を印象付ける。F・ゲイリー・グレイ監督による大変手堅い物作りですね。
中盤の「ゾンビタイム」もクライマックスの「アイスブレイク」も、まあここまで来たかという感じではあるが、全て自動車ならではのアクションで統一していて、これは今作において一旦仕切り直しを図った成果だろう。
さて、赤ん坊を無事に助け出してのおなじみBBQ。まだファーストネームを決めてなかったので、
「紹介する……新しいファミリー、ブライアン!」
わーっ、パチパチパチ……! うむむむむ、実は死んでるんだけど、作中では死んでない設定になっていて、でも扱いは完全に死んだことになってるブライアン……! 感動的だが1〜2割ほど釈然としない引っ掛かりが残るラストでありました。
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