"筋肉もカーアクションもMEGA盛りですよ"『ワイルド・スピード MEGA MAX』


 え〜っと、一部で「吐き気をもよおす」とまで言われた邦題のひどさも話題? シリーズもう五作目! 試写で鑑賞。


 服役するはずだったドミニクを護送車から助け出したブライアンとミア。かつての仲間を頼り、リオデジャネイロに逃れた三人だが、現地で新たな陰謀に巻き込まれることに……。一方、FBIの裏切り者ブライアンを追い、最強の捜査官と言われる男ホブスもブラジルに入国していた。自由を求め、ドミニクたちは最後のヤマに挑む……!


 ポール・ウォーカーの決め顔で終わった素晴らし過ぎる前作ラスト(当時は「頭わり〜な〜」と思ったが、思い出してるとじわじわ来るから不思議だ)から、ちゃーんとつながってオープニングが幕を開けます。しかし……まあいきなり無茶だったな……。冒頭の救出計画が死者ゼロというのは明らかにおかしいし、オレがあの方法で助けられたら間違いなく死んでいるし、例え死ななくても絶対に「殺す気か!」と切れている……。ヴィン・ディーゼル、頑丈すぎるだろ……。


 筋肉野郎のヴィン・ディーゼルを追うのが、今回から登場の最強捜査官(ほんとにこう字幕が出るんだよ)ドウェイン・ジョンソンことロック様。舞台がブラジルはリオデジャネイロなのだが、斜面に建てられまくった掘っ建て小屋の上で、この筋肉野郎二人が怒濤のバルクールを繰り広げる。つやつやと輝く筋肉の塊が宙を舞い、今にもトタン屋根をぶち抜きそう! なんというド迫力だ! 
 その側でポール・ウォーカージョーダナ・ブリュースターも夫婦で逃げるわけだが、こちらはじゃあ迫力なしかというとそうじゃない。先のシーンでジョーダナさんが実は妊娠していることが明らかになっており、おいおい、妊婦がそんな飛び回ったら危ないだろ!と別の意味でハラハラする。
 個人的に今作最大のハイライトは中盤に激突する、二つの筋肉であった。ディーゼルとロック様がついに直接対決! 凄まじい肉と肉のぶつかり合いは、もはや怪獣映画、キングコングVSフランケンシュタインの様相を呈する。しかし、ロック様のキャラは知性派でもあったのだが見せ場が筋肉対決のシーン中心で、ちょっと中途半端だった。まあダブル主役がいて、その次の位置だからしようがないのだが、主演作『ファースター』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110525/1306250544)の方が彼の魅力を引き出してたね。


 今回はレースは少なめで、泥棒とカーチェイスにほぼ特化。『1』『2』『3』『4』からの登場人物も続々と集結し、ヴィン・ディーゼルの下でチームを組むと言う展開。まあこっちは誰だっけ?状態でほぼ忘れてたのだが……。プレス観て『2』の人が再登場と知ってびっくりしたり。もう『2』『3』はほぼなかったことになったのかと思ってたが、律儀だね〜。『4』のやたらマブいモデルの人だけは覚えてたが、前回ちょっとヴィン・ディーゼルとできかかってたのは、もうなかったことになったのね。
 いい加減マンネリになるんじゃないかと毎回思うんだが、何だかんだいって言って、車のアクションではきっちり意表を突いて来るのがこのシリーズの偉いところだな。無茶だろ! ということを実車で平然とやるからな。今回もドキッとするようなカーアクションの連発で、スピード感も満点。「長く愛されるシリーズ」としてのお約束感まで出てきた。もちろん色々と突っ込みどころもあり、普通の車とは頑丈さのレベルが違う、ロック様の愛車は本当に何されても無傷。そして絶対に壊れないという触れ込みの金庫。だからってここまでしなくても、という展開に……。


 過去作品のキャラの総登場に加え、メインキャラのファミリー化も進行。かつていがみ合い、張り合っていたヴィン・ディーゼルポール・ウォーカーの二人も妹・嫁を間に挟み、お互いの命を助け合った間柄となってすっかり打ち解けてしまった。『リーサル・ウェポン4』的なぬるさを獲得するまでには到っていないが、やはりシリーズを重ねるごとにソリッドさは薄れていくわけだね。しかしながら、今作は集大成的な内容となり、締めくくりとしてふさわしかったのではないか。
 ……と思いつつ、エンドロールに入った……んですよね。ところが、ここでまさかの引きがっ! ええっ、マジですか!? なんてこったい……まだ続くの? で、あの人がまさかの!?


 いや〜、驚いたね。それでは皆さん劇場公開をお楽しみに! 次作『ワイルドスピード GIGA MAX』(仮邦題)でお会いしましょう〜、さようなら〜!