”幽霊を追え”『トリプルX 再起動』


『xXx<トリプルX>:再起動』予告

 あのシリーズが復活!

 謎の男ジャンと仲間によって奪われた秘密兵器「パンドラの箱」。それは宇宙に浮かぶ人工衛星を自在に墜落させる恐怖の兵器だった。正体の知れないジャンに対抗するため、伝説のカリスマ、ザンダー・ケイジが呼び戻される。

 第一作の後、ギャラでもめて主演のヴィン・ディーゼルが降りてしまった、という『ワイスピ』シリーズと同じ展開になっていたこのシリーズ。結局二作目はアイス・キューブが主演するというわけのわからないことになっていたのだが、今作はその設定を逆手に取り、色々とつじつまを合わせて復活させることに成功した。

 新たなトリプルXとしてサッカー選手のネイマールJr.をスカウトしていたサミュエル・L・ジャクソンが、人工衛星の墜落により死亡。時を同じくして、身元不詳の謎の工作員たちによってCIA本部が急襲される。襲ってきたのは「宇宙最強」ドニー・イェン、「ムエタイの神」トニー・ジャー、「UFCミドル級王者」マイケル・ビスピン……強すぎるだろ!
 対抗できるのは、奴しかいない……! ということで呼び戻される伝説の「X」ヴィン・ディーゼル

 まあ普通に観てれば、十分ぐらいでだいたい敵の正体とかわかってしまうと思うが、そのあたりは一応伏せておくとしよう。なにせキャストが多いので、全員分の見せ場を割り振ったら活躍がちょっとずつになっているので、ドニーさんは果たしてどうかな……と思ったら、総量こそ大したことはないが、きっちりインパクトは持って行っていたぜ……。冒頭の突入シーンのありえなさ、なぜかバトルの最中に上着を脱いでタンクトップになり、また着るんだけど少々着崩れてるという謎展開……。バイクスタントのシーンなどは「あとよろしく」と言わんばかりにスタントマンに任せてるっぽい力の抜きようだが、その代わりに生身のパートは力が入っている。ハイウェイ上で走って追跡する短いシーンがあるのだが、細かいカットの中でもいわゆる「'97走り」をしてるドニーさんがはっきり視認できるからな……。
 仲間との関係性やバディ感、クライマックスのアクションなど、ハリウッド映画らしいバランスながらゲストの域を超えたメインキャストの立ち位置を確立していて、なおかつピンの主役じゃないヴィン・ディーゼルというスターとの共演ならではの、クール味のある美味しいポジションでもある……。いやはや、これは参りましたな。

 で、内容のバカバカしさ加減と軽妙さも手伝って、これは結構、中毒性のある映画になっているんじゃないか。なにせ全編気持ち良さとカタルシスしか追求していない作り。ワイスピを凌いで明るい。さらなる続編を睨んで、お約束を確立させようというような台詞も飛び出す。散漫さもあるが、頭を空っぽにして最後までキャッチフレーズとともに突っ走るセンスはいいんじゃないかな。

 非常にサービス精神旺盛な映画で、シンプルに盛り上がりました。終わるとまたドニーさんの大活躍を観たくなるな……。

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