肩車

 自分は結婚していて子供はいないのだが、甥っ子と同居している(以下、甥ぞう)。同居家族は、妻、母、妹、甥ぞう、あとは猫2匹である。

 妹は仕事を持っていて、帰宅が間に合わないことも多々あるので、代わりによく保育園のお迎えに行く。今年、5歳になるので、あと2年弱はこのお迎えが続くはずだ。4歳児の成長たるや、日々言うこともやることも変わっていってすごいもので、これからどういう風になっていくのか全く先が見えない。おじさんというのは、まあ実に気楽な立場で、教育方針とかに特に口を出すこともない代わりに、お母さんが絶対教えないような遊びを色々と教えていってあげたいと思っている。

 保育園の帰り際、自転車でお迎えに来ているご家族が多いので、甥ぞうはそれが羨ましいようである。仲良しの子の自転車に一緒に乗ろうとしたりしがみついたりがなかなかしぶとく、お母さんはそれに辟易して、自分がいる日でもおじさんにお迎えを頼んだりする。
 もちろん、力でひっぺがすのは簡単なのだが、「バカー!」と泣かれたりして後味が悪い思いをしたりするので、なんとか円満に帰ってきたい。

 こちらも自転車を投入するというのは一案だったが、他の園児と違い、うちは歩いて50mの距離である。何処かからの帰りに直接まわり、クロスバイクのフレームにまたがらせて帰ってきたことはあったが、毎回出すのも面倒だ。妹は時々、子供用の席を取り付けて乗せてあげたら、というのだが、常時つけておくならまだしも、自分の外出用クロスバイクだから付け外しが必要だし、安全面で不安なのでそのアイディアは棚上げになっている。

 ではどうするか、と思って最近やり始めたのが肩車である。2歳ぐらいの頃に一度試したが、その頃は頭に捕まるということがわからなかったので、不安定だった。体重は増えているが、今の方がやりやすい。これは世のお母さん方の自転車と比べてもなかなかレア感があったようで、甥ぞうも喜び、現在ブーム中である。

 肩車というと、亡父は肩車した時にオレの顔面を鴨居に直撃させて母に非難されたそうで、当の本人としても、あまり記憶がない。代わりに思い出すのは、いつもこれである。

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機動戦士ガンダムSEED』より

 この父アル・ダ・フラガ、と、息子ムウ・ラ・フラガは、後に親子仲がものすごく悪くなり、父親は自分のクローンを作って後継者にしようと企むという設定。息子は父親について「ひどい親でいい思い出はない」と語る。が、こんな写真も一方では残っていて、大富豪という設定だが肩車なんて庶民的なこともするのか、と思ったりと、後の話とイマイチつながらない、すっきりしない違和感のせいでかえって印象深かったりする。

 今、だいたい体重16キロで、「おれ4歳やから重いで」「なんで赤ちゃんのおれは肩車危なかったん?」と言いながら乗っかっている甥ぞうは、いつかこの頃のことを思い出すのかな、と考える。いつか彼自身子供を持って、その時、オレがいなくても、ふと思い出してくれたらいいな。


 あまり本は読めていないが、読書メーターにちびちびと記録をつけている。近頃は、月に2〜4冊か。一番読んだ年は主にミステリーやホラー小説を確か248冊読んだのだが、あれは98年か99年だったか。若かったとしか言いようがない。

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