”そのうちまた会えない”『いつか、また』


 大阪アジアン映画祭2015、八本目。


 中国の最も東にある島に育った三人の男達。住んでいた家を捨て、大陸横断の旅に出る。ある者は新たな仕事先へ、ある者は長年の文通相手に会いに……。トラブル続きの旅の中、彼らが出会った人々、見たものとは……?


 チェン・ボーリン主演のロードムービー。劇場公開も決定しました。さてさて、内容はというと……?


 最初、過疎化した故郷を後にして三人の男が旅立つ。たどり着いたモーテルでトラブルが起き、一人が置き去りにされ……。行方不明の届け出が出され、後でまた登場……登場……しない! いや、オープニングが過去を回想するモノローグになってて、この行方不明になったあんちゃんが語ってるから、別に死んだりしてないことはわかってるわけだが、もう最初から存在価値があったのかどうかもわからんレベルで消えるから驚いたよ。サンバルカンのバルパンサーが消えて、他の二人だけで最後まで行ってしまうような……。何だろう、役者が腹でも壊して入院でもしたのだろうか。それとも漠然とゆるいから分かりにくいだけで、何か演出意図があったのであろうか?
 代わりにコールガールを拾って旅を続けることになるのだが、このあたり、サンバルカンライブマンになったかのようだったな(ライブマンは三人中一人が女性)。


 残った二人はそれぞれに旅の目的を抱えているのだが、どちらも思った形では達成されない。その挫折感とままならなさを味わいながらも、目的地につくまで旅は続くし、たどり着いた先にもまだまだ人生は続く。ただ、目的を果たせなかった旅も少なからず人生に足跡を残していて、消え行くある故郷共々、無意味だったわけでは決してない……。


 犬なんか出してほんわかさせようとか、まあほんとにゆるゆるで、幼なじみ同士の会話もスローなテンポで時間が流れていく。しかしその緩さ、そのもたつきこそが、オープニングの大爆発のような劇的な変化などない現実そのものという感ありで、面白いかというと苦しいがコンセプト通りではあるのだろう。


 しかし、終盤付近のある展開では大陸らしいわけのわからないスケール感が発揮されて、一味違う風味が生まれたな……。絶対オススメなんてことはないが、捨て難い味もある映画でした。なぜか劇場公開もされたので、ご興味ある方はぜひぜひ。

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