"ワインセラーの奥に"『飛び出す 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』
『悪魔のいけにえ』の続編?
ヘザーの元に届いた一枚の手紙、それは場所も知らないテキサスの片田舎に祖母がいて、自分に財産を残そうとしている、というものだった。両親を問いつめ、実の親ではないことを聞き出したヘザーは、戸惑いながらもテキサス州ニュートを目指す。三人の友達と、ヒッチハイクで拾った男とたどり着いた先は、望外の大邸宅。はしゃぐ若者たち。だが、その屋敷には、何かがいた……。
第一作目はほとんど記憶になくて、『テキサス・チェーンソー』が辛うじてうろ覚えかな……というぐらいのファンとも呼べない観客だが、一応、ラストからつながっている、ということはぼんやりとわかったのである。しかし、サブタイトルからしててっきり一家がもっと沢山生き残っていて、総がかりで逆襲するのかと思いきや、生きてたのはレザーフェイスさんともう一人だけであった。しかも20年ぐらい月日が流れてるので、この皮かぶってる人(誤解を招く表現)ももはやいい歳だよな……。でもあんまり成長はしておらなんだよ。
知りもしなかった故郷で財産を受け継いだ自分が、実は一族の重要人物であったことに気づく……というパターンと、美女と野獣的な組み合わせを、『悪魔のいけにえ』に代入してでっち上げた後日談で、確かにストーリー的には続いているが、さすがに別の話になりすぎなんで、「続編」というよりはやはり「スピンオフ」ぐらいに捉えておくのが無難だろう。もちろん、同じキャラクターが正当な権利の元に製作されているわけだが、例えるならば、レザーフェイスと主人公が家族になってしまうあたりも踏まえて、『ドラゴンクエスト』と『ドラゴンクエスト・モンスターズ』のような関係であると思っておくのがちょうどいいような気がする。
しかし細部は実にいい加減で、お屋敷の美術が小綺麗すぎて、屠殺場含めてまったくおどろおどろしくなかったり、友達を見捨てるのは浮気野郎どもだったからいいとしても主人公がそれに気づく描写がなかったりするあたり、適当そのもの。十数年の時間経過も、その間に何が起きていたかなどまったく考えられてなくて、まさにタイムスリップしたかのようだし。設定のための設定だらけですね。
イケメンの警官が裏切り者だったのにそれを成敗せずに忘れ去っていたりするあたりもおかしい、と思ったが、あれはイーストウッドの息子なのね。若い内に惨殺の一つもされておけばいいのに、イーストウッドの息子って偉いんですね……。
デジタル3Dで撮られた「お綺麗なお化け屋敷映画」の系譜に連なる一本でした。まあ怖さえ求めず、単にアイコンとしてのレザーフェイスへの萌えだけを期待すれば、それなりに……。
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