”Lilliput of Rock”『ガリバー旅行記』

 かの名作を、まさかのJB主演で映画化!


 新聞社で働くガリバーは、もう10年もこのポジションにいる落ちこぼれ。入社一日目の後輩が上司になってしまったり、旅行部門の女性記者ダーシーに惚れてるにも関わらず口に出せなかったり、いいとこなし。一念発起した彼は、旅行ガイドの記事をwebからのコピペででっち上げ、ダーシーからバミューダ・トライアングルの取材を受けることに成功する。だが、彼女に認められるために旅立った船上、ガリバーは巨大な渦潮に巻き込まれてしまう。たどりついたところは、小人の国だった!


 3D字幕版で鑑賞。
 当たり前だが、巨大なジャック・ブラックを表現するために、下からの仰角視点が多用される。わざわざ見上げなきゃならんだけでうざいのに、見上げた先がジャック・ブラックなんだから、そのうざさが異常! しかし小人の国の人たちはみんないい人すぎる! もっとぞんざいな扱いでいいんだよ、とつい思ってしまう。


 取り柄のない(と自分で思っている、社会的にそう認知されている)男が、環境が変わったことで「大物」として認知されるという構造は『スクール・オブ・ロック』と同じで、後半に化けの皮が剥がれるとこもそっくり。
 一種のカルチャー・ギャップものでもあり、閉鎖された空間に持ち込まれる異なるカルチャーが、通り一遍のものではなく、ボンクラの極みであるジャック・ブラックのキャラクターであるところがまたもう一段上のおかしみを生む。こういう異文化への「侵略」というのは、アメリカ映画において定番なのだが、安直にやられると正直むかつくこともある。が、「こちら」で受け入れられないジャック・ブラックが、ああいう人なんだけど実は真っ当な価値観や優しい心根を持っていることもちゃんと描かれているので、嫌味にならない。まあ、クライマックスで突然ミュージカル映画になってしまうあたりには驚いたが……(笑)。
 船団を綱で引っ張るシーンや、続編の「巨人の国」あたりもフォローされていて、そこそこ原作のエッセンスも感じられたところも良かった。


 ダーシーまでが小人の国にやってきてしまうあたりは、ちょっと展開がうまく行き過ぎで、ややもったいない。小人の国で成長した主人公が、現実の世界においても大きく成長しているからこそ、「人は変われる」というメッセージがどこの世界でも通じる普遍性を持つのであって、そこは小人の世界を知らない人間を尺度にした方が、より明確に表現できたはず。小人側にもホレイショというキャラクターがいて、それでバランスを取っているわけだが、もうちょっと深みを出せたかな、ということで少しだけ残念。
 あと、最後の戦いもぜひ下ネタで決着をつけてほしかったかなあ。くどいか……。


 85分という素晴らしいランタイムで、定番のジャック・ブラック節を楽しめるなかなか良い映画でした。しかし3Dいらね〜! 1000円で見れたら最高の映画だったのに!

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