"その森の奥で"『トロール・ハンター』
オフ会前に鑑賞してきました〜。POV映画。
差出人不明の、長大な謎の記録映像が通信社に送られてきた。専門家の厳正な調査によって真実と判断されたその映像が、編集版として全世界に公開される。そこには、北欧で熊の密猟の取材に赴いた学生たちが、謎の男と出会い、ある生物と遭遇する衝撃の映像が収められていた……!
学生の思いつきのような形で始まった取材が、段々とやばい方面に足を突っ込んでしまい抜けられなくなる……という展開になるかな〜と思ってたんだけど、そこは北欧の映画。政府の人もいかにも杓子定規なお役人という風情ながら、監禁だ射殺だなどと物騒な方向にはいかない。ならば取材対象自体がとんでもない恐怖の存在かというとそうでもなく、なんせトロールですから……。カメラの向こうにどどんと出現したトロールさん、いや確かにでかいし危険だし人死にも出るんだけど、いかにも賢くなさそうでのどかな雰囲気のトロールさんのルックスに和んでしまうのだよね。
昔、傾倒していた『ファイティング・ファンタジー』というゲームブックの設定においてトロールは、神様が人間やエルフを魔法の土から作ったところを見た神様の下僕が自分もやってみたいと思い、土を盗んで一番最初に作ったものすごく単純で原始的な生き物、とされていた(その後、もうちょっと作りこんで賢くなったのがオークやゴブリン)。単純そうに見える生態といい、いい加減なデザインといい、思い出してすぐなるほどと思わせる設定。ラストの無節操なデカさもそのいい加減さの象徴のようだ。
そういう色んな意味でいい加減なトロールに立ち向かうトロール・ハンターの行動もまた、どこか絶妙な投げやりさを帯びている。最初こそ秘密保持を考えているのだが、段々いやになってきてるのが露骨になってきて、ついに撮影もOKしてしまう。彼にとってはトロール狩りもすでに怠惰な日常の一部と化していて、この延々と続く実入りのないいたちごっこに飽き飽きしているのだね。
トロールの恐怖を描いた映画、と言うよりはあくまでトロール・ハンターの映画で、人間の目線から野生動物としてのトロールを追う。そのため、トロールの生態を解き明かすというよりは、あくまで人間と関わる限定的な局面のみを描くため、怪獣映画、モンスター映画としての趣きはむしろ薄く感じた。トロール・ハンターは熊みたいなおっさんで、うちに出入りしてる大工さんに似てたなあ……。
意外に金かかってそうな映像も含め、のんきで投げやりなテイストと裏腹にかなり真面目に作り込んであって好印象。テープだ〜!と言ってる割にデジタルで映像がめちゃ綺麗だったり、カメラマンが交代してからは手ぶれが一切なくなったり、色々と突っ込みどころも多いが、まあそれも味ですね。途中、ちょっと眠かったけれど、楽しい映画でした。
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