"ワイルドに変身!"『28日後…』

 ダニー・ボイル監督作。


 研究所で実験が行われていた「レイジ」ウイルスが流出。瞬く間にイギリス全土に広がり、ロンドンはゴーストタウンと化した。感染開始から28日後、自動車事故により病院で昏睡状態になっていたジムは、一人目覚める。廃墟となった街に出て、凶暴化した感染者に襲われた彼は、生存者であるセリーナとマークに助けられるのだが……。


 劇場公開時は見逃して、『28週後…』の公開前ぐらいに観たんだっけか、たしか。今回が二回目。


 久しぶりに観たら、昔より随分と面白く感じた。そんなに金かかってないと思うけれど、冒頭の赤い二階建てバスがひっくり返ってるカットなどは、そこだけでロンドン壊滅を印象づける。その中で、髭もじゃでワイルドな感じになっちゃってる男が街を一人さまよう……って今では知ってるけど、これがキリアン・マーフィなんだよね。髭を剃ったら、いつもの神経質フェイスが復活! でも後半にかけてはやっぱりワイルドになっていくぞ!
 キリアン・マーフィナオミ・ハリスって、異色の取り合わせだよな〜。今から新作のキャスティングしても、絶対この二人をヒーローとヒロインに設定しようということにはならないよね。メールボーイだったキリアンが最初は頼りなくて、サバイバルしてきたナオミが場を仕切るわけだが、後半にとっ捕まってピンチになると、ナオミ・ハリスが動きにくいドレス姿で女性を強調させられるのに対し、ひ弱そうだったキリアンが半裸のワイルド野郎になって大活躍。後半の兵士たちのコミュニティの描写も相俟って、ありきたりだが面白い。


 「感染者」ということで、走って来るゾンビもいやな感じ。あまりじっくり映さないところが、また恐怖感を煽るしハラハラさせるね。この設定なら続編のトーンの方が盛り上がるとは思うが、今作も捨て難い。のどかなシーンが続いたところで、猛ダッシュによって突如画面上のリズムが反転する。追いかけて来てた感染者たちが、車が走り去った後にまだ見えてるのにすぐに立ち止まってしまうシーンには、ちょっと首をひねったが……。


 もうすっかり評価の定まった作品、という印象。ブルーレイも欲しいな。