『シャッターアイランド』


 昨年から公開延期になっていた、スコセッシ監督のサスペンス、やっと公開。


 孤島の精神病患者収容所から消えた一人の女性患者。連邦捜査官のテディは、相棒と共に捜査に訪れる。しかし、夜ごと悪夢を見るテディは、大きな秘密を隠し持っていた。それは、放火によって殺された妻を殺した犯人が、この島に移送されたということ……。


 「衝撃のラスト」を売りにした宣伝で、実際に衝撃を受けることは、ないとは言わないにしろ、まあ10本中1本あればいい方なんである。期待するとバカを見ることはまあ間違いない。特に今回はその宣伝が過剰で……。物凄いハードルを上げているなあ、という印象。で、原作を読んだ知り合いが軒並み何の期待もしていないのである。これは非常にまずい……。


 まあでも一応、事前情報を仕入れずに観に行って来た。
 やっぱり主人公の見る「幻覚」に話の展開を頼ったり、大きな情報が一人語りで提示されてしまったりすると、必然的に選択肢は狭まる。この手のトリックの常套手段だからなあ……。曲がりなりにもフェアに描こうとすればするほど……。映画では「幻覚」を簡単に実際の映像として処理できるので、後からそれを「幻覚でしたよ」と暴露するためには、それを見ている状況を限定する必要がある。夢として描いたり、主人公が一人の時に限定したり、まずまず真面目にやっていたと思うが、全体に中盤が間延びした分、やはりやりすぎだった印象。その中にも細かい伏線は張ってあるんだが。


 このテーマなら、クローネンバーグばりのはちゃめちゃな展開になった方が鮮明になるんだがなあ。まあ原作もそんな冒険した(と言うか狂った)ものじゃないし、映画もそこまで突っ込んだ物にはならなかったわけか。


 スコセッシ演出も大仰で緊迫感あるし、デカプーの演技も相変わらず手堅い。キャストも地味に揃えてるし、あの話で大作感を出すのはさすがであるがなあ。


 あ〜、つまらんかった。しかし、あれこれ考える途中経過を楽しむのもミステリの醍醐味。オチだけが全てではない。時間の分はなんとなく楽しんだ気分にもなりました。

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