”背中に噛みつくんだクマ〜”『レヴェナント』


映画「レヴェナント:蘇えりし者」予告1(150秒)

 ディカプリオがついにアカデミー賞受賞!

 未開拓のアメリカ西部を駆ける狩人たち。現地人の襲撃を辛くもかわした彼らだが、息子と共に参加していたヒュー・グラスは帰路で熊に襲われ重傷を負う。長旅に耐えられないと判断された彼は、息子と二人の仲間と共に残されるのだが……。

 相変わらずピンとこないイニャリトゥ監督作だが、今作はシンプルすぎるぐらいシンプルな話。熊に襲われて大怪我を負ったデカプー。山中で治療も受けられず足手まといで死を待つばかり。息子と仲間が残ってて看取ってくれることになったが、敵の追撃を恐れて焦れたトム・ハーディが、息子を殺して彼を置き去りにしてしまう。しかしここから驚異の回復力を見せたデカプーの大逆襲が始まる……!

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 話はまあそんな感じだが、映像と音響が素晴らしくて、延々と続く荒涼とした冬の山林を自然光のみで撮りながら、こんなにもクリアで、デカプーの顔アップを延々映しながら背景まで楽しめてしまうような映像ができるんですね。
 そうは言っても風景と顔アップだけでは退屈するところだが、序盤の襲撃シーンの臨場感、中盤の馬上追跡劇からの崖転落など、画面が動き出すと大興奮。すごい撮影だ!

 そして何よりも熊、クマ、クマーですよ。いやあ、やっぱりクマって丸くていいですね。単発のライフルと小銃持ったきりのデカプーに突撃してくるクマの大迫力、一発で押さえつけられあちこち噛まれる! 痛い! 痛そう! でもクマはかわいい。
 噛まれながらも死んだふりでやりすごしたデカプー、銃を拾い、ナイフで反撃! ついにクマに深手を負わせて相打ちに……。ここでこの母熊の連れていた子熊二頭が、デカプーの仲間がやってきたので逃げてしまうわけですが、もうここからこの子熊だけ追いかけて『子熊物語2』にしても良かったぐらいですね。
 倒した証として熊の爪が切り取られるが、ここは毛皮全部取って欲しかったなあ。常にデカプーが熊の毛皮かぶってたらかなりの萌え映画になったような気がする。

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 瀕死のデカプーはトムハによって放置され、もうナルニアなんか出てられない歳になったウィル・ポールターも騙されて追随。息子は殺される……。
 瀕死デカプーはここから執念で蘇るのだが、途中でサモハンみたいなルックスのおじさんにちょいちょい手当してもらったとは言え、やっぱり凄まじい回復力に見えるな。死ぬほど寒いロケ地で実際に寒さに震え、実際に生肉を喰らい、全身に傷メイクして馬の体内で暖をとるデカプー。ゼーヒー言ってるだけでセリフもない。これは演技なのか素なのか、もはやその彼岸に到達したかのような……。

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 デカプーの加わっているハンター達の雇い主がドーナル・グリーソンで、どことなくボンボン臭を漂わせる感じ。契約には厳しいが信義を重んじる善人で、なかなかいい役。ただまあ、最後はいつものドーナルらしく役に立たないのだが……。

 駆け込みで慌てて見たが、好みではないにしろしっかり見所のある映画で良かった。あの馬上シーンがもっと続いてればなあ。100分ぐらい走ってても良かったのに……って、そりゃあ『マッドマックス』か……。

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