”彼女は二度泣く”『女神は二度微笑む』
インド映画!
ロンドンからコルカタにやってきた妊婦ヴィディヤ。突如、連絡が取れなくなった夫を探しに来たのだが、滞在先にも勤務先にも、彼の記録はまったく残っていなかった。代わりに浮上する、夫と瓜二つの男とは何者なのか? 現地警察に捜査を求める彼女に、国家情報局までもが接触し……。
インド映画と言うと、まあ浅薄なイメージだと「踊る」と「長い」なんだけれど、これはどちらもない映画。たぶん、こういう作品も相当数あるんだろうね。
インドを舞台に、本邦の「地下鉄サリン事件」よりもっと強烈な毒ガス散布事件をオープニングにして、夫と連絡が取れなくなったインド系イギリス人の女性がやってくる。妊娠中で身動きも取りづらい彼女は、乏しい手がかりを頼りに夫を探すのだが、そもそも知らされていた滞在先、職場に夫は存在しておらず、そもそも夫が何者だったのかもわからなくなってくる……。代わりに浮上してくる、夫と瓜二つの男ミラン・ダムジ……。インド政府がひた隠しにするミラン・ダムジの正体とは? 彼は夫と同一人物なのか?
彼女と、彼女と仲良くなる新任の警官の目線を通じて、事件が解き明かされていくのだが、夫の手がかり自体は一向につかめず、代わりに同じ顔のミラン・ダムジを追う展開が続く。その背後には大きな陰謀が隠され、やがて依頼を受けた殺し屋が動き出す……。ミラン・ダムジの手がかりに触れた者は次々と殺されるのだが、この殺し屋のビジュアルがナイス! なぜ出てきたのかよくわからない中年の太ったおじさんが、いきなりサイレンサー付きの銃を取り出してパスパスパス! 職場では無能な男を装っているが、裏の顔を持っているという、非常に怖いキャラ。この殺し屋が妊婦に迫る緊迫感が中盤を盛り上げる。予告編の電車突き落としシーンはフェイクなのだが(本編でもインターミッションの前後になっている)、そういうハッタリも含めて何をやらかしてくるかわからない存在感があって良かったですね。
スパイものっぽい謀略サスペンスが続き、とはいえ主人公は妊婦なのでバルクールやるわけにもいかずまあまあ地味。ちょっと動くところは、手伝いをしている警官君が代わって動き回る。さて、そうこうしている内に捜査は「ミラン・ダムジの足取りと正体」にじわっと迫っていく。彼こそが冒頭の地下鉄毒ガス散布における重要容疑者であり、それゆえに姿を消しているのだ……。
……なんか、夫のことが段々とどうでも良くなってきてない?と違和感を抱いたら正解。なかなかよくできていると思うが、さすがに終盤になってくると前述の違和感に加えて「出来過ぎ」な展開があることで、その裏にあるものがぼんやりと見えてくる。これも、ちゃんと真面目に伏線張ってる証拠なんですがね。
大傑作!とは言わないが、面白いサスペンス・ミステリで、頭を使ってあれこれ展開を考えていく醍醐味を楽しめましたよ。
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