"無間に続く道"『リベンジ・オブ・ザ・グリーンドラゴン』


 スコセッシ製作! アンドリュー・ラウ監督!


 1983年、ニューヨーク・クイーンズ地区。不法移民として中国からやってきたサニーは、同じ年齢の少年スティーブンとその母親と暮らすことに。レストランの雑用係としてこき使われていた二人だが、地元の最大手ギャング「青龍」に加わり、そこで頭角を現していく……。


 『インファナル・アフェア』のアンドリュー・ラウ監督が、そのリメイク版『ディパーテッド』を監督したマーティン・スコセッシとコンビを組んで撮った実話の映画化である。いや、結構強烈な話なので、エンドロールで実在の人物の写真が出た時は「マジで!?」とちょっと引いたわー。


 さて、この二人が揃った以上、その演出は……当然『インファナル・アフェア』! いいシーンでも緊迫したシーンでも、ことあるごとに屋上に上がりたがる登場人物たち! 完全にあのカットや!


 ニューヨークのクイーンズ、中国からの移民が大量に住み着きチャイナ・タウンになった街で、主人公とその友達は子供の頃からマフィア「青龍」に加わることになる。暴力のみが物を言う世界で成長した彼らを操るポールという男……。激化する他のマフィアとの抗争、そして仲間同士でも無能な人間や裏切り者は粛清される。銃を突きつけ合い対峙する男たち……また『インファナル・アフェア』やん! いわゆる潜入捜査ものではないにしろ、組織内部の裏切りや内通を描く手触りは非常に似通っていて、緊迫感の出し方もそっくり。


 まあこの二人が作ったらそれはそうなるだろうなあ。仮にアンドリュー・ラウが、「いや、あれはそろそろちょっと……」と言ってたとしても、スコセッシが「やって見せてよ!」と言ったらもう断る理由がなさそうである。


 無名の中国系キャストでメインを全て固め、この非常に殺伐とした話を隙なくまとめているあたりはさすがで、中だるみしそうになったら『インファナル・アフェア』やればいいんだから、ファンにはたまらんわな。レイ・リオッタなんかもちょろっと出てます。アンドリュー・ラウは本国では『フライング・ギロチン』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20140113/1389589446)なんか撮ってどうも底抜けな感が否めなかったのだが、やっぱり舞台を変えてお家芸を復活させただけでこんなに面白いのね。


 ラスト、ついに見つけ出した仇に迫る主人公。銃を突きつけ……この最後の最後も「また『インファナル・アフェア』や!」と叫びたくなってしまった。もう一回『インファナル・アフェア』を観たくなったあたりも含めて大満足。

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