『マッハ弐』


 1400年代、タイ国激動の時代……。時の宰相の一人の息子であったティンは、他の宰相の裏切りによって両親を失い、奴隷商人に拾われる。盗賊団に救われた彼は、そこであらゆる武術と武器を身につけ、たくましく成長した。盗賊団の後継者候補となったティンだが、その胸中には常に両親の復讐があった。育ての親となってくれた首領に見送られ、旅立つティン。だが、その先には、あまりに過酷な闘いが待ち受けていたのであった……!


 いや〜、いろんな意味で凄過ぎる映画でしたね……。
 え〜、まず『マッハ』のタイトルがついてますが、粗筋読んでもらえればわかりますが、まったく前作とは関係ありません。いきなり史劇!? でも、よくある日本で抱き合わせ邦題つけたパターンでもなく、原題もちゃんと『ongbak2』です(笑)。


 仏像やら象やらを奪われて来たトニー・ジャーですが、今回奪われたのは家族の命! と、いうことで超がつくシリアスモード。常に怒りに満ちた表情で、リアルヒッティングも迫力3割増!
 盗賊団にはあらゆる人種が集まってるので、武術も多種多用。なぜか日本の居合いやら、柔術まであるのが謎ですが、ジャーはことごとくマスターしていきます。酔拳もあるよ! 彼のアクションは華麗さよりも無骨で痛そう。凄まじい切れはもちろんですが、他のアクション・スターにはない打撃の重さを感じますね。ムエタイは少ないですが、決めのところではやっぱり飛びヒザ!
 象の背中を飛び移る恐怖のスタント、クライマックスではそのまま背中の上で闘い続けるなど、異常なアクションを連発。で、100分以上ある映画で、ほぼ全て闘いっぱなし!ジャーさんはほとんど台詞もなく、ただただ肉体言語で語り続ける……!


 いや〜、しかしアクションは凄いし、家族の殺されるところなど、話も作ってそれなりに演出してある。これは傑作なんじゃないかと思ったんだが……。


 なんと、クライマックスで、仇の一人を倒すものの、ジャーさんは黒幕に捕まってしまう! そしてナレーションで、


「彼は拷問にかけられて死んだ」


 と言う事になってしまうのだ! そして、こう続く。


「きみたちの祈りがあれば、彼の運命は変わるかもしれない」


 ……未完! なんじゃこりゃあ!?
 制作費が尽きたとか、アクション撮り過ぎで尺がなくなったとか、色々あるんだろうが、とにかく尻切れとんぼにも程がある。『レボリューションズ』が約束されてない『マトリックス・リローデッド』だな……。
 ジャンプの十週打ち切りでも、もうちょっとマシな終わり方するだろう。祈りがあれば、続編も作るかも、ということで、一応本国では製作開始したらしいが、果たしてこの物語の続きは描かれるのだろうか?

 まあしかし「タイではよくあること」と割り切れば(ほんとはどうか知らんが)、それ以外はすごい映画である。トニー・ジャーは、まさに闘神だね。