角田レフェリーは三ヶ月の業務停止

 GBRの記事。

>レフェリーの判断と一般の視聴者の方、観客の方が考えるダメージに大きく隔たりがあり、混乱をきたした

 ……この審判部の判断と一般の視聴者の方、観客の方が考える処分に大きく隔たりがあり、混乱をきたすと思うよ。

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 武田が白目剥いてるのに止めなかったシーンのインパクトがあまりにでかかったため、ちょっとそこにばかり話が集中しすぎてるような気がするかな。もちろん、他の選手が目ん玉でんぐり返ったら止めるでしょ!ということはあるんだが、そこを抜きにしたとしても、今回のレフェリングは問題がありありなんだよな。

 第一試合の自演乙の試合のレフェリングも、武田の試合とほぼ同じ問題をはらんでいる。
 まず、スリップと判定されたシーンは、すべて浅いとは言え打撃が当たって倒れているということ。リングサイドから試合を見ているジャッジの方で1ポイントのフラッシュダウンという採点をつける権限がある以上、それに則って処理すべきではないか? 無論、ジャッジはそう取らずに2ポイント引いてしまうかもしれないわけだが……。
 が、今回はそのケースには実はあてはまらない。疑惑の「スリップ」は、自演乙2回、武田が2回、全て2回目以降のダウンだからだ。ダウン一回なら2ポイント、二回目のダウンではプラス1ポイント、これが現在のルールだ。2度目以降のダウンは、1ポイント分のマイナスにしかならない。なぜこういう採点になるのか?というと、これは簡単に解釈すると、「2回目以降はダウンしやすい」からだろう。1度目の時点で頭部や脚には大きなダメージが負わされ、追い打ちの軽い攻撃でも同じように倒れてしまう。そういう状況を採点で再現するために、2回目以降のダウンは1ポイントのみのマイナスになっていると思われる。
 自演乙は最初のフック、武田は第2ラウンドのコンビネーションで最初のダウンを喫した時に、採点上でもすでに2ポイント分の大きなダメージを負っているのである。
 レフェリーがダウンを宣告しない状況というのは、一応は考えられる。最初のダウンの「2ポイント」というマイナスが3ラウンドのK-1ルールであまりに大きな失点になることを考慮して、例えば蹴り際のバランスが崩れた時にジャブを合わせられ倒れた場合。この場合は、すぐ立てる=大きなダメージがないと判断してダウンを宣告しない、これは考えられるレフェリングであると思う。
 が、無論、今回の事例二つはそれには当てはまらない。すでに一度、完全な形でのダウンを奪われた後だからだ。裏を返せば、大きなダメージを受けた選手は、次の当たりが軽いジャブ程度で倒れたとしても、ダウンを宣告すべきであると言える。すでに大きなダメージを受けた後の加撃は、見た目以上の深刻な被害をもたらすからだ。
 角田レフェリーは、一度自ら2ポイントロスのダメージであると判断し「ダウン」を宣告しているのである。その後の打撃がヒットした上での転倒は、1度目と同程度の当たり、ポイントという数字で言うと半分のダメージであったとしてもダウンを宣告すべきなのだ。
 しかしながら、角田は長島と武田の試合で、二度ずつこれを「スリップ」と判定している。1ポイントずつのダウンを宣告する以下のダメージしかなかった、と判断した……ということになる。「信念」とやらをもってそう判断したのだろうか? だが、彼はブログでも常に「興行の事も考えて、高度な判断を下している」と発言している。何が高度かはさておき、興行にとってプラスになることを考え出せばそれは、一つの方向性に自然と結びつくのではないか?

 近年、谷川Pから、こんな言葉が漏れ聴こえるようになった。「素晴らしいKOだったが、早く終わり過ぎて視聴率に跳ね返って来ない」。昨年のバダ・ハリが、セフォーグラウベを撫で斬りにしたことを指してのものだ。K-1の醍醐味である倒すか倒されるかの試合を、倒すことを体現して勝利したのに、こんな嫌味が出て来るとは残念な話だなあ、と当時は思ったものだ。
 これは、興行を預かる上層部が「長い試合」を欲していると言う事でもある。バカな発言だが、谷Pがそう言うのはわかる。視聴率が取れなければ、いずれテレビ中継はなくなり、K-1の運命は風前の灯火になるのだ。最高責任者として、プロデューサーとしての本音なのだろう。
 だが、競技統括プロデューサーもこの発言を聞いて、興行の事を考え出したらどうなるか?

 角田が流されやすい、空気を読む人間である……というのはそうかもしれない。が、そうでなくとも、まず人間というのは流されやすい生き物である、ということが大前提になる。まして、その興行会社からギャラをもらっている人間、そこに所属することで名誉を受けている人間ならどうだろうか。例えばの話、貴方や私がレフェリーをして、「ここでもっと試合が長引けば」「もっと視聴率が上がれば」と思わないだろうか。「そうすれば会社は潰れない」「自分と家族も路頭に迷わない」そんなことを考えてしまわないだろうか。当然、考える。はっきりとそう言葉にしなくても、頭のどこかで考える。考えてから試合のレフェリングに臨む。
 脳裏にあるのは、倒し倒されつつ、幾度も元気に立ち上がって挑み続ける大打撃戦だ。視聴率の取れる理想の試合だ。だが、実際の試合はそう上手く運ばず、防御ザルのルーキーやロートルは、軽い当たりでふらふらと倒れ込んでしまう。「……(ダウ〜ン!)」……言葉が……出て来ない……。いや、そんなに効いてないんじゃないか? そもそも、パンチはちゃんと当たってたかな? スリップでいいんじゃないか? スリップなら谷Pや、TBS担当者の視聴率取れてのほくほく顔が頭をよぎり「角ちゃん、ナイスレフェリング!」、対比するように、K-1という栄光が失われ、単なるマッチョな年寄りの元タレントになった自分の姿が浮かぶ……「止めるの早いよ〜!」。
 そんな状況で、まともなレフェリングができるのか? 完全に顎をぶち抜かれたり、腹を押さえて悶絶すれば、もちろんダウンを宣告せざるを得ない。だが、当然あり得る微妙な当たりの際、いちいち興行の事を判断の要素に入れていたら、絶対にダウンの宣告、ストップのタイミングは遅くなる。ある一定のタイミングまで遅くなるのではない。徐々に、だが確実に遅くなって行く。人気選手の試合ならば、長く続ければ続くほど視聴率は上がるからだ。
 谷PやTBSの幹部が、「あんまりダウン取ったらダメよ」と言っているかというと、これは絶対に言っていない。そこまでバカではない、ということもあるだろうが、それよりもまず言う必要がないからだ。彼らから支払われる金で動いている人間が、彼らの意向を汲み取らないわけがないからだ。

 もう一つ、角田レフェリーが問題の長島、武田戦を裁いているのはなぜか、という点。
 これはもちろん、彼自身もまた視聴率要員である、という事に他ならない。一般層にも知名度のある彼がリングに立っているのを見て、仮に長島、武田、クラウスを知らない人がふとテレビをつけても、「あ、知ってる人が出てる」というだけでその試合が終わるぐらいまでは見続けるかもしれない。ぎりぎりのところで続けられている視聴率戦争は、おそらくそんなところまで来ている。
 そして、角田自身も確実にそれを自覚している。彼のタレント志向が、はっきり言われているにしろいないにしろ、それを嗅ぎ分けていないはずがない。そして、あれだけテレビ出演している以上、格闘技放送というコンテンツを超えて、テレビ放映の裏の仕組みがどうなっているかも身体で感じているはずだ。
 選手が長く試合を続け、彼自身もテレビに映ることによって視聴率は上がる。ファンも長く試合を見られる。視聴率が上がればテレビ局は儲かり、K-1もスポンサーがついて上向きになる。何一つ悪い事はない。
 早く止めてしまえば、「仲間」のはずの谷Pからは「視聴率取れなかった」という嫌味、TBSからは無言の圧力、自分は目立てないし、「壮絶な散り様」でなければならないはずの引退試合を見た視聴者と観客は物足りない気分になり、当の武田に至っては「もっとやれた」とまでいうかもしれない。そして評価すべき格闘技ファンも、当たり前のこととして何とも思わないだろう。喜び、「正当なレフェリングだった」というとしたらクラウスぐらいだろうか。
 ……こんな意識が重なって、ストップが遅くならないわけがない。

 この病根は、大成敦氏以下、他のジャッジにも多かれ少なかれ根付いているはずだ。
 主催者の下で審判部が働いている以上、必然的にそうなる。
 もう何度も言うまでもないだろうが、現体制の審判部は即日解散し、ジャッジとレフェリーは外部に委託すべきである。オランダから来てもらったほうがまだマシだろう。

 さて、角田レフェリーだが「お客さんとの意識の差を埋めるためにも、客観的にK-1を見たい」と言ったそうである。素晴らしいことだ。直ちに現在の職を辞し、K-1と利害関係のない地点に行くべきである。そうすれば、本当に今までと違う視点から物が見えるのではないだろうか。
 石井館長に「止めるのが遅い」と言われた猪狩レフェリーは、52歳でレフェリーから離れている。主に年齢、肉体的な衰えが原因か?と当時は言われたが、角田ももう48歳。それに近い年齢まで来ているし、いくら鍛えていても限界はある。今回のレフェリングは年齢による動体視力の衰え、とでもいうことにして、潔く去るべきではないか。後は、谷Pと一緒に本当に興行屋になって、解説でもすればいい。それでもレフェリーをしたければ、外部に所属すればいい。外国語が堪能なのだ、海外のキックボクシングなら裁けるんじゃないか?

 スポーツとして、競技としてやっていくなら、もう彼のような存在は、作り出してはいけないのだ。

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