2009/2/23 K-1WORLDMAX 日本代表決定トーナメント観戦記 後編
続きです。
あとでテレビを見て知ったわけですが、スーパーファイトはほぼ未放送。
しかしながら、開始時間が押したことも含め、個人的にはやむを得ないかな、という印象。
トーナメント以上のテーマのある試合がなかったし、試合内容にも日菜太、長島、山本の熱戦を超えるものは何もなかったので。
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▼第7試合 日本代表決定トーナメント準決勝 3分3R延長1R
長島
VS
山本
長島は6対4ぐらいで上がってくると踏んでましたが、山本は意外。伸び悩んでると思ってただけに……。
長島の入場は、またもランカ。今日はこれで通す気か。これはもはや単にコスプレの域に留まらず、正式なタイアップではないか。中島愛の「みんなも良く知ってる」がどこのみんなを指していたのかは不明だが、まあオレは知ってたからよしとしよう。
またも自演砲が連射され、山本の顔面を捉えまくる。ロープにもたれこんだ所に追い打ちも叩き込み、闘争心も見せる。しかし今日の山本は粘り強い。ガードの合間から相当被弾したと思ったんだが……。長島はボディも狙い、ラストに一発アッパーも入れて1ラウンド終了。
2ラウンド、ガードからフックを返して長島の顎を上げさせる山本。ガード固めて、間から入ってくる分はもう我慢、と開き直ったか。長島は傷が開きドクターチェック。再開後も左右に飛び回りながら猛攻撃の長島。いや、これは疲れる戦い方だと思うが、それにしてもタフだ。しかし突っ込んだところにカウンターのタイミングが合い、長島は痛恨のダウンを取られる。
3ラウンド、逆転狙う長島、山本も打ち返して再びドクターチェック。ここでストップ。
いや〜ここも熱戦だったが、なんと山本が決勝進出。今日は左ミドルが走ってるし、パンチも粘り強く打ってる。どこがどう、と言うほどの強さはまったく感じないんだが、本日の完成度では、同じブロックの三人よりも上だったか。
長島はここで終わったが、充分すぎるほどのインパクトを残しただろう。ランカ縛りで行くなら、決勝のパフォーマンスが何だったかが気になる。「ライオン」か? ここらへんは本人のブログで語られそうだが。
▼第8試合 日本代表決定トーナメント準決勝 3分3R延長1R
城戸
VS
小比類巻
日菜太ドクターストップ。腓骨骨折と聞こえたが、鼻骨だった。長丁場の試合が続き、ここらへんでノートの残りページ数がやばいことに気づく(笑)。
城戸はもうボロボロじゃないの? ここで白須さんの登場に期待したんだが……。
やはり手が出ない城戸。とはいえ、後半に帳尻を合わせようとする今日のスタイルなら、やや三味線気味かも知れないが……。しかし左を振った後で右のガードがもうブランブラン。完全に右腕は死んだか……コヒさんは相変わらず消極的でロー狙い。
2ラウンド、コヒ対策としてはクリンチを誘うしかないと思うが、城戸にラッシュをかける余力がない。蹴りの応酬から右ハイをガードしたところでやや効かされ、さらに右ストレートでダウン。これで安心したかコヒがロープ際に詰めて滅多打ち。城戸はKO負けとなった。
若手に判定で完敗、さらにベテランにKO負けと、城戸は人生最悪の1日に。組み合わせも含めて全ての運が向いてこなかったなあ。
対して運の向いて来たコヒさん。そして、やはり日本人の中では「火力」が異常。ここ数年、ディフェンスと精神面の脆さで発揮されなかったが、今日は「優勢の時は」攻められる程度にはメンタルも仕上げ、弱った相手を見逃さないように。しかし山本はもうボロボロっぽいし、これは今日はコヒさんなのか?
▼第9試合 スーパーファイト 60kg契約 3分3R延長1R
上松大輔(チームドラゴン/ISKA世界ライト級王者)59.7kg
VS
渡辺一久(フリー/元プロボクシング日本フェザー級王者)60.0kg
場内の渡辺に対する期待感は、結構大きい感じだ。
ワンツーと飛び込みはさすがに速く、場内から溜め息がもれる。上松はローを合わせ、入って来たところにガードからフック。ステップも駆使し、打ち合いは1〜2発に止める。魔裟斗さんのボクサー対策に近い、というか、どうしてもこうなるんだろう。渡辺は接近戦ではフックだが、これがやや精度を感じない。
2ラウンド、渡辺はやや入れなくなる。上松はいいタイミングでヒザも合わせ、ローもきっちり当てる。ただ、澤屋敷もそうなんだが、チードラはこのテンカオが得意なだけに多用しすぎてパンチを合わされる場合もあるだけに、渡辺はここを狙いたい。……と思ったが、やはり初めてもらうヒザに対して、そんな踏み込んでいけないわな……。
3ラウンド、上松は絶対に危ない距離に入らず、渡辺は回転蹴りなどを出し始める。渡辺はごまかすしかなくなってきたか。そんなに腹が効いてるのか? ラスト1分頃に時計を見たのが、もう闘志がなくなってる事を象徴していた。最後は自分の顔面をポカリと殴ってダウン。場内はキョトン。レフェリーはダウンを宣告。何じゃこりゃ。
上松はほぼ危ない場面なし。渡辺はつまんない選手だな……実力がないのをパフォーマンスでごまかして、いったい何をしたいのか。身内の前でカッコ悪いとこを見せたくない、っていう情けないメンタルか?
▼セミファイナル(第10試合) スーパーファイト 3分3R延長1R
佐藤嘉洋(日本/フルキャスト/名古屋JKファクトリー/2006・2007日本王者)70.0kg
VS
セルゲイ・ゴリアエフ(ロシア/アクションフォース/MMA武士道)69.9kg
いや〜、待ってましたよ佐藤さん! 本物の試合を見せて下さい! ……と期待したんだけど……。
ゴリアエフは右ストレートが伸びる。佐藤は右ローを合わせ、距離を取る。今日はあまり前に出過ぎず、固く攻める方針か。右ロー、右ロー、たまに左インロー。ゴリは……全然カットしてない……。ラスト1分、早くも嫌がり始めた……。
2ラウンド、ここまで一切蹴りを出さないゴリ。カットもまったく出来ないし……ほんとにムエタイ経験なんてあったの……? さすがに奥足ローは遠くて狙わない佐藤だが、ほぼ必要なし。左足だけ破壊して終了……。
蹴りの使えないムエタイ選手? 寝技できない総合選手? ……ボクサーにしてはパンチも上手くないし……なんだったの、これ?
さっきの渡辺もそうなんだが、五味に勝ったとかいう話題性だけで呼んで、仮にもジャンルトップ級の選手にぶつけてしまう……。K-1の体質は何も変わってないんだよなあ。こんなつまらない試合に、こっちは高いチケット代払ってるんだぜ? 勘弁してくれ。
▼メインイベント(第11試合) 日本代表決定トーナメント準決勝 3分3R延長2R
山本
VS
小比類巻
……まさか元気いっぱいのコヒさんが上がって来て、その打倒をよたぼろの山本に託さないといけないとは……。国歌斉唱を無視して座ったままメモを取ってたら、隣のオジさんがチラ見してきてうっとおしい。オレは忙しいんだ!
試合前のノリノリの動きがうざ過ぎるコヒさん(笑)。頼む、山本! もうおまえしかいないんだ! この勘違い野郎の鼻っ柱を叩き折って、ケツを蹴飛ばせ! しかし今まで一度たりとも期待も応援もしたこともない選手に対して、声援しなければならんとは。
山本はここまでの試合と同じく、前に出てパンチ。いや同じじゃない。左ミドルがもう出ない。パンチで打ち勝つしかないという戦術面もあるだろうが、それよりももう蹴られないんじゃないか。完全に余裕を持っているのか、左ボディから右のオーバーハンドも振ってくるコヒさん。
そして……出た、組みヒザ。いや、後からこれに対する批判が出ているのを読んだが……事実上、これには反則は取れないよ。流れで見ると「両手でホールドしてヒザ」「片手を放してヒザ」「両手ヒザ」「片手ヒザ」というパターンを繰り返している。片手で押さえてのヒザは、どの試合でもほぼ流されているし、両手ヒザを連打しない限りはブレイクも注意もかからない。ルールを厳密に解釈するなら、ブレイクするべきかもしれないが、「動きを止めない」というのがテレビ向けのK-1ルールの原則である以上、常に動いて上記の流れを繰り返しているコヒさんに対してストップをかけることは無理だろう。強いて言うなら、両手ヒザを二発放った何度かの場面で止めるべきだったろうが、それもほぼ瞬間の判断。ランダムに片手ヒザと両手ヒザが飛んでる場面で、割り込むのは難しいだろう。
この片手ヒザというのも結構危険な動きで、コヒさんも普段ならまず使わなかっただろう。レフェリングも試合と同じく、「この選手はこの動き(反則)をするだろう」とある程度想定してやるものではないか。角田が「セデスがそんな技を出すはずがない」と甘く見ていたとしても不思議ではない。角田を擁護しているわけではないが、現実的に流れをぶった切って反則を取るのは不可能だ。コヒさんにして見れば、相手はボロボロで大きなパンチもないし、自分は余力的にも絶対有利。安心感がこの「火力」を発揮させた。そしてパンチ狙いで首相撲苦手な山本は、この動きに対応できない。
……もう全てがコヒ有利に流れている印象。ダウンする山本。これで終わりか。
だが、運命を断ち切るのは、常に人の意志だ。立ち上がり、なおも追いかける山本。コヒさんは2ラウンドは逃げ切りモード。要所でラッシュはかけ、ポイントはもぎ取る。もはや勝機はないと思われた。
しかし最終、下がり疲れたコヒさんのガードががら空きになったところに、飛び込んでの山本の右が直撃! ダウン! うおおおおおおおっ、来た来た〜っ! これだ、これこそがコヒさんだーっ! オレは信じてたぞコヒさん! あんたの勝負弱さを! あ、ごめん山本を応援します。いけっ、いけ山本〜っ! もう我を忘れて応援したぞ。
しかしながら、やはり余力の差は大きく、ギリギリで精神力をつなげたコヒさんを打ち崩せず。
優勝はコヒさん。ふ……苦い大会となったな……。オロゴン、城戸が揃って心が折れたことで、余裕を与えてしまった。くそっ、日菜太が上がってれば……。これで世界大会にコヒさんが出て来てしまうのは確定。え〜い、ドラゴでもディレッキーでも誰でもいい、この野郎を粉々に打ち砕いてくれ! 希望はホルツケン。
終わったら10時15分! 長かった……。疲れた……。まあ面白かったが、今回も歴史は動かず。というか、コヒさんのせいで逆戻りしたではないか(笑)。やっぱり3月の横浜にしとけば良かったかな。