2008/12/6 K-1 WORLD GP FINAL 試合感想

 いや〜ついに来ましたねえ。
 というか、事前記事とか全く書いてなくてすいません……(笑)。また書けるようになったら書くんで、気長にお待ちを……。

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▼第1試合 K-1 WORLD GP 2008 FINAL8 3分3R延長1R

ピーター・アーツ(オランダ/チームアーツ)
VS
バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム) 


 あ〜、これが第一試合とかありえんね。
 仕掛けたのはバダ・ハリ。右ストレートが伸びて、いきなりアーツの顔面を抉る。速い速い。アーツは前に出てロー狙いだが、バダ・ハリはジャブから冷静に速攻! アーツのジャブの圏外から伸びたストレートとフックがまともに入り、アーツは早くもダウン! つ、つええ〜!
 完全に足にきてるアーツに、さらに攻めるバダ・ハリ。しかしなすすべなく潰されたセフォーグラウベとはやはり違う。必死の防戦ながら体勢を立て直し、右ストレートのプレッシャーでリング中央に押し戻す。ハリもしかし無理をしない。
 2ラウンドに突入。アーツ不利は間違いないが、どうにか立て直しつつある。しかし、やはりダメージが大きいか、プレッシャーがまったく機能しない。ハリのフットワークも軽いのだが、自分の距離に捉えられない。そして、やや遠目の距離から伸びてきた、ハリの必殺技の一つバックスピンを、ガードの上ながらもまともに食らう。レコを倒した最速の一発ではなく、ややモーションの見える大きな蹴りだったのだが、これを外せなかったあたりがダメージの大きさか。さらにオランダ時代の得意技の飛び膝からフォローのフックをふるい、このラウンドもダウンを奪う!
 よろよろのアーツだが、それでも必死に立て直しを計る。ハリの攻撃を単発のみのヒットでぎりぎり凌ぎ続け、回復を待つアーツ。だが、何発目かのストレートがヒットし、ロープ際に後退したところで、レフェリーが割って入った。

 ちょっと早いかとも思ったストップだが、長年のダメージの蓄積を考えると、まあやむを得ないか。それにしてもハリ強い。パンチの見えていない序盤で勝負を決定付け、冷静に強打を狙い続けた。アーツも作戦はあったのだろうが、最初のダウンで全てが狂ったままジ・エンド。

 暴君は陥落し、新たな時代が動き出す。

▼第2試合 K-1 WORLD GP 2008 FINAL8 3分3R延長1R
エロール・ジマーマンスリナム/ゴールデン・グローリー)
VS
エヴェルトン・テイシェイラ(ブラジル/極真会館) 


 何気に楽しみな試合だったが、これも熱戦に。距離感に難ありと思われていたテイシェイラが、やや短めながらもローキック、ロングフックを飛ばし、近距離からもショートフックを右ストレートを振るう。なんだこりゃなんだこりゃ、武蔵戦ともまた別人じゃあないか。それでも射程距離に勝るはずのジマーマンだが、あっという間に距離に入られ、パンチの打ち合いを強いられる。ジマーマンもカウンターを何発か入れたのだが、テイシェイラはびくともしない。
 2ラウンド以降、中間距離に戻してミドルも合わせるジマーマンだが、テイシェイラはその距離からも応戦。しかし徐々にジマーマンがペースを取ってきたか、強烈な打撃が当たり始める。テイシェイラも効いた素振りは見せないのだが……。
 3ラウンド、強打の応酬で消耗戦になった両者だが、ややクリーンヒットで勝ったのはジマーマン。ついにショートレンジでのコンビネーションから、アッパーでダウンを奪う。
 これでポイントを逆転し、ジマーマンが判定勝利。テイシェイラは大変な進化を見せていたが、最後の最後で経験の差と、フィジカルに劣る日本人ばかり相手にしてきたつけが回ってきた。でもいい選手になったな。来年また頑張って欲しい。


▼第3試合 K-1 WORLD GP 2008 FINAL8 3分3R延長1R

グーカン・サキ(トルコ/チーム・レベル)
VS
ルスラン・カラエフ(ロシア/フリー)



 遠い距離から探り合う両者。サキのローは、序盤からはヒットせず、カラエフも飛び込んでパンチを狙うが、これもガードの上。しかし、飛び込んできたカラエフにパンチのカウンターを当て、ややサキがペースを握る。もっとローで切り刻むような展開になると思ったが、思ったよりもカラエフがローを打たせない。しかしガードワークとカウンターで、サキ優勢。
 次のラウンド、速攻をかけるカラエフだが、全てサキのガードの上。ショートのパンチの高速連打でポイントを奪いにかかるが、いささか軽い。それにしてもいったい何発打つんだという連打は見応えがあったのだが……。もう少し膝につなげていればまた展開も変わったのではないか?
 回り続けるサキ、追うカラエフ、しかしサキが隠し技バックブローをここで叩き込み、カラエフに膝を突かせる。パンチ一辺倒のカラエフ、引き出しのなさが響いてきたか、幾度かパンチを当て込む事に成功するも崩しきれない。
 判定でサキが勝利。技術差を見せて完勝。カラエフはあちらが伸びればこちらが立たずという印象で、頭打ちか。環境を整えて出直して欲しい。

▼第4試合 K-1 WORLD GP 2008 FINAL8 3分3R延長1R
レミー・ボンヤスキー(オランダ/チームボンヤスキー)
VS
ジェロム・レ・バンナ(フランス/Le Banner X tream Team) 


 ハリから「ビビリファイト」と揶揄されたレミーの前バンナ戦だが、どれだけ好調なのか、正面からレミーが仕掛ける。左フックから右ミドル、膝を狙う得意のコンビネーション。バンナがガードしながらも下がらされる。細かく距離を調整しながら、隙を伺ってコンビネーションを仕掛ける。ポイントこそさしたる差はつかないが、バンナがレミーに圧し勝てず、力負けしてロープ際に下がる展開はなかなか切ない。
 今日のレミーは切れが抜群で、ローもえげつない角度でヒットし続ける。そして右ミドルがズバリとヒットした直後、バンナがダラリと左腕を垂らす。すぐさまダウン宣告、ファイティングポーズを取るがドクターチェックが入る。
 骨折の可能性があるということで、ドクターストップが宣告。2002年以来の骨折ということになるが、あの時、決勝戦を白けさせたくないという理由で続行を許した角田のレフェリングは、やはり大きな過ちであった。それを繰り返さなかったことは評価したい。
 アーツが消え、バンナもここで力尽き消えた。世代交代はここで完全終了。
 ……次なる時代をつかむのは誰なのか?

▼第5試合 K-1 WORLD GP 2008 FINAL リザーブファイト1 K-1ルール 3分3R延長1R
チェ・ホンマン(韓国/フリー)
VS
レイ・セフォーニュージーランド/レイ・セフォーファイトアカデミー)

 ちょっと調子良さげなセフォー、左ボディから右ローへのコンビネーションがいい感じ。ホンマンはパンチも全然上手くなってないので、いいようにボディも当てられる。が、減量した分、動きはやや軽いか?
 2ラウンドは、膝の連打でやや盛り返すも、セフォーが的確にローを当て続ける。少々疲れた感じもあるが、優勢な時は結構意識しないもんだしねえ。3ラウンドは、セフォーは逃げ切り態勢。ホンマンは相変わらずのろのろと追い続けるものの、捕まえきれず終了。
 セフォー判定勝利。まあ凡戦だったが、セフォーはダメージらしいダメージも受けず、うまく戦った。

▼第6試合 K-1 WORLD GP 2008 FINAL リザーブファイト2 K-1ルール 3分3R延長1R
ポール・スロウィンスキー(オーストラリア/チーム・ミスターパーフェクト)
VS
メルヴィン・マヌーフ(オランダ/マイクス・ジム)



 ローキックを走らせるスロウィン。マヌーフは二発ほどもらうもその後は距離を外し、パンチを延ばして攻め込む。顔面のガードを堅め、ジャブからローにつなげ、フックの連打はプッシングで反らすスロウィンスキー。このままペースをつかめるかと思ったのだが、飛び込んでのフックがわずかなガードの戻しの隙をついて直撃! あ〜あ〜、いつものパターンじゃん。
 ラッシュを止めないマヌーフ、コーナーに棒立ちになったスロウィンに嵐のような連打を浴びせ、綺麗に顎を打ち抜いた。一瞬硬直し、マットに座り込むスロウィン。絵に描いたようなKO……。

▼第7試合 K-1 WORLD GP 2008 FINAL4 3分3R延長1R

ハリ
VS
ジマーマン

 スキルではバダ・ハリなんだろうが、フィジカルで勝るジマーマンにも勝機ありか。
 1ラウンドは様子をうかがう展開だったが、2ラウンド、コーナーに詰まったバダ・ハリの顔面にジマーマンの右が炸裂! 生命線のステップワークが止められるとやはり脆い……。が、すぐに座り直してうなずいてるので、大丈夫そう。
 立ち上がると、逆襲を開始! ジャブから再びパンチの距離に踏み込んで行き、ボディと右フックが交錯する。ああ〜ひやひやする! 精度で勝るハリだが、またいつひっくり返るのか、と思ったら倒れたのはジマーマン! ダウンを取り返し、このラウンドをイーブンに。
 そして最終ラウンド、前進するジマーマンに高速ジャブを突き刺し、勢いを止める。かつてカラエフのラッシュをことごとく遮り止めた得意技だ。さらにこれで距離感を掴んだか、伸びる右も打ち抜く。そして中盤、攻め手のなくなったジマーマンが強引に詰めたところを右一閃! ジマーマン死亡! 
 つ、つええええ〜。今年ベスト級じゃねえの?という大熱戦だったが、技術の引き出しが決着をつけた。いやあ、素晴らしい試合でした。

▼セミファイナル(第8試合) K-1 WORLD GP 2008 FINAL4 3分3R延長1R

サキ
VS
ボンヤスキー

 ハイスピードでローを当てるサキ。だが、レミーはすぐにプレッシャーをかけ、潰しにかかる。距離を詰められ、思うように蹴られなくなるサキだが、それでも軽快に回りながら対抗。
 しかし2ラウンド開始早々、飛び上がったレミーが右ミドルでサキを一撃粉砕! また右ミドル! 肋骨の上の方に当たった感じで、普通なら痛いけど倒れるような場所じゃあない。それがKOとは……なんつう威力だ。
 怪鳥の殺人技は健在!

 これで決勝はハリVSレミー。お互いKOKOで上がってきて、もう完璧な流れ。これはすごい決勝が見られるんじゃないかと期待が膨らむ。

▼メインイベント(第9試合) K-1 WORLD GP 2008 FINAL 3分3R延長2R

ハリ
VS
ボンヤスキー


 序盤、慎重なハリ。蹴りも軽い……。ローを嫌がっているのか、右に回り続ける。ジャブは当たるが、コンビネーションはがっちりガードされる。それでもポイントを取りに行く戦い方もあると思うが……。
 が、右に回っていくハリの動きを読み切っていたか、レミーが左フックを合わせ、ダウンを奪取。ハリは一瞬踏みとどまろうとしたが、追い打ちのフライングニーを避けるためにわざとダウンしたか?
 ボディ打ちで反撃を計るも、ボンヤスキーはガードしてローを返す。

 2ラウンドに突入。ハリにとっては嫌な展開。だが、ここで人が変わったように攻勢をかけるハリ。レミーはガードを固めて下がるが、脚を取られて倒される。すぐに角田レフェリーが割って入ろうとするが、ハリは倒れたレミーに追い打ちのパンチ二発、さらに踏みつけ! これがもろに頭に当たり、レミーはかつてのボブ・サップ戦のごとく、力なく横たわる。
 ハリにはイエローカードで、レミーに5分のインターバル。
 あ〜あ〜、この時点で「終わった」と思ったけど、結局レミーは回復せず、ハリはレッドカードもらって失格。レミーが演技だとしても、これは責められん。インターバルもクソも、本来は踏んだ時点で失格にすべき。アーツ戦、ジマーマン戦とありとあらゆる必殺技を繰り出して対戦相手を沈めてきたハリが、ついに喧嘩屋時代の必殺技まで出してしまった。
 まあ途中でもう勝てないと思ったのかもね。愚かしさの極み。ここまで最高の大会だったのに、最後の最後で打ち壊された。
 三度目の頂点に立ったのは、不運の星の下に生まれたフェイク王者。気の毒に……。

 また一夜明けでも見てから、来年の展望を考えましょう。あ〜あ、疲れた……。


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