2008/6/29 K-1WGP福岡 試合感想
高木ブーもKOされたお腹の風邪で、昨日からおうちで寝込んでおります。
それでも……俺は……K-1だけは見るんだ……ガクッ。
というわけで、CSで生感染、もとい観戦。
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▼第1試合 スーパーファイト K-1ルール 3分3R延長2R
ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ)
VS
ヤン“ザ・ジャイアント”ノルキヤ(南アフリカ/フリー)
アーツ、序盤からプレッシャーをかけるも、相打ちでノルキヤのパンチを被弾。ローに切り替えるも、圧力が止まらない。あ〜、こりゃ今日はあまり調子良くないか? ローはいいように当たるんだが、ノルキヤもローにあわせて左ストレート、膝を狙うとアッパー……かなり対策練って来てる。しかしながら、ここで手こずっていては、次のシュルト戦など夢に終わる。
3ラウンド、勝負を賭けたアーツ、パンチのラッシュでノルキヤの眉を切り裂き、ドクターチェックを呼び込む。二度目のチェックの後、流血をブラインドに必殺の右ハイキック。ぐらついたところにパンチのラッシュをかけ、今度はレフェリーストップを呼び込んだ。
まあ結果だけみれば、さすがの勝負勘といったところだが、時折弱々しい表情も見せ、磐石とは言いがたい内容。開幕戦に黄信号か。
▼第2試合 K-1 JAPAN GP2008トーナメント一回戦 K-1ルール 3分3R延長1R
武蔵(正道会館)
VS
前田慶次郎(チームドラゴン)
左に回って武蔵の蹴りの距離を外し、インローで前に出ている右足にダメージを与える。おそらく練習できていないオーソドックスにスイッチしたところで打ち合いを挑み、痛めているという左足にもさらにローでダメージを与える。あせってパンチで仕掛けてきたところでクリーンヒットを奪いポイントを取る……。
だいたいこういう作戦……これは……なんというか……武蔵流ですねえ(笑)。澤屋敷がバンナを倒した時もそうだったのだが、綿密な作戦でトップファイターをも丸裸にし、総合力で負けていても勝てる部分でポイントを奪う。まさに武蔵が目指した弱者の戦術。
序盤からローをヒットさせる前田。追いかけることでやや前傾姿勢の武蔵は、カットできずダメージをもらう。もっとも、これだけではポイントにならないのだから、ここで武蔵がすべきことは……当然、いつものように後ろに下がることだったのだ。だが、格下を潰さねばならないこのジャパンGPにおいて、敢えて仕掛けねばならなかったその心理状態。だが、人間慣れないことをするべきではない。前に出たのは、ただ前田の蹴りの距離、前田のパンチの距離に出ただけにすぎず、ベテランといいながらもそこで上回るだけのキャパシティを、悲しいかな武蔵は持ち合わせていなかった。勝負を決定付けたのは実質3ラウンドにもらったカウンターの一発だけだったろうし、それ以上のダメージを与える機会もあったはずだ。だが、チャンスをつかむことはできなかった。
「こんなもんだよ、相手は。こんなもん!」
結果こそが現実。外国人に力で敗れ、日本人に技術と速さで敗れた。帝王は墜ちた。
▼第3試合 K-1 JAPAN GP2008トーナメント一回戦 K-1ルール 3分3R延長1R
野田 貢(シルバーアックス)
VS
佐藤 匠(極真会館)
強引に攻める野田、1ラウンドは至近からパンチをねじ込み、佐藤の腰を落とさせる。野田、結構メリハリのある身体になったよな〜。しかし蹴りの打ち分けと、野田に密着された距離から突き上げるパンチが冴える佐藤が徐々に持ち直し、反撃を開始。2ラウンドに顔面にパンチをまとめる。恐るべき頑丈さでそれを受け切った野田だが、さすがに手数が落ち、今までの相撲殺法に逆戻り。佐藤はむしろこの距離こそ望むところとばかりに、押されるままに打ち返す。
判定は、この至近距離の攻防を制した佐藤。技術の進化で極真の勝利となった。
▼第4試合 K-1 JAPAN GP2008トーナメント一回戦 K-1ルール 3分3R延長1R
エヴェルトン・テイシェイラ(ブラジル/極真会館)
VS
高萩ツトム(チームドラゴン)
走るような不格好なステップながら、距離を詰めるテイシェイラ。早いローからワンツーにつなぐコンビネーションで攻める。右ストレートがまだまだ空手の突きという感じで全然伸びていないが、動きの速さと思いきりの良さが前回とは別人。高萩も打ち返すものの、あっさりと圧力に押されてしまう。
ワンツーから膝を突き上げられ、クリーンヒットではなかったものの、立ち上がるのが遅くダウンを取られる高萩。しかしダメージはなく、入ってくるテイシェイラの顔面に右フックを叩き込む……が……びくともしない……。同じコンビネーションで襲いかかるテイシェイラ。次の膝も入っていなかったように見えたのだが、ガードごと身体を浮かされたのが響いたか、またもダウンを取られ試合終了。
高萩も勝つ要素は感じなかったが、ここで止めるのは早すぎ。
▼第5試合 K-1 JAPAN GP2008トーナメント一回戦 K-1ルール 3分3R延長1R
中迫 強(ZEBRA 244)
VS
ベルナール・アッカ (コートジボアール/フリー)
序盤からおなじみ手打ちパンチでラッシュするアッカ。いや〜去年の大晦日も「武蔵相手に気持ちを見せた」とか言われてるが、こんなパンチで倒せるわけねえじゃん……と思ってたら、飛び膝までつなげて驚き。でも膝につなぐんなら、アッパーは不要だよね。
対する中迫さんは……ん……なんか攻撃してる……?……いやしてるんだろうけど、全部単発。一発狙いか? でも中迫さんの一発狙いが、かつて当たったためしがあったろうか? 当たったことがないんだから、当たったイメージも自分にないし、つまり永遠に当たらないんじゃないか。とはいえ、ローと軽いパンチは確実に当たる。
アッカの攻撃は雑そのもので、いや〜これこそオープニングファイトに出しておけばいい選手じゃねえ? それでも今の中迫さんには当たっちゃうかと思ったんだけど、さすがに無理でした。
何も見せ場がないながら、単発のダメージだけで勝った、中迫さんらしい試合。格好だけ悔しがってみせる中迫さんにうんざり。
▼第6試合 K-1 JAPAN GP2008トーナメント準決勝戦第1試合 K-1ルール 3分3R延長1R
前田
VS
佐藤
左目の腫れ上がった佐藤に対し、前田はダメージが感じられない。回りながらローを打ち込み、要所でパンチを狙う前田に、佐藤もショートでのパンチで迎え撃つ。蹴りの距離は佐藤が合わせてもらえず、前田がパンチの距離に入ってこなければ付け入る隙がない。
細かい出入りを繰り返しながら、的確にパンチを当てる前田。このまま押し切るかと思われたが、3ラウンド序盤、野田がパンチを入れたところで熱くなったか打ち合いを挑む。進化した佐藤はこの至近でのパンチの打ち合いなら、体重を考えても互角以上。終盤の打ち合いでクリーンヒットを奪う。
しかし、リスクを冒して入ったのは前田であり、主導権を握り続けたのも常に前田だった。判定をそのままもぎ取り、ついに決勝進出。
▼第7試合 K-1 JAPAN GP2008トーナメント準決勝戦第2試合 K-1ルール 3分3R延長1R
テイシェイラ
VS
中迫
もう距離は完璧に合わせたのか、インローを連続で当てるテイシェイラ。パンチは速いもののさほど切れていない
感じで、決め手になるのはローか。中迫さんは相変わらず前に出ず、その位置からローを蹴り返すが、手数で押し負けている。
2ラウンド、単調な展開が、やはりローで切り崩される。倒れたのはアウトローを蹴られた中迫さん。しかしながら、倒れた後も立ち上がり、なんとか距離を保つ中迫さん。3ラウンドは前に出てパンチラッシュで仕掛ける。手打ちパンチと言えば中迫さんが元祖であり、失速したテイシェイラを手数で圧倒する。
残念ながらダウンのポイントは取りかえせず、テイシェイラの判定勝利。またも悔しがる中迫さんだが……まあこの試合の内容で、ようやく彼は悔しがる資格を手にした、というところでない?
▼第8試合 K-1ヘビー級タイトルマッチ K-1ルール 3分3R延長2R
バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム/王者)
VS
グラウベ・フェイトーザ(ブラジル/極真会館/挑戦者)
なにか、満足いく練習ができなかったともらしたらしいバダ・ハリ。今日はトランクスが地味だ……。グラウベはやはり腹回りがやや絞れた印象。
ジャブからロー、得意のコンビネーションで仕掛けるハリ。グラウベはローを返すが、距離が合わず外される。ハイキックを打ってバランスを崩すハリ、ちょい身体重いか? セフォーを倒した打ち下ろしの右から、さらにインファイトして重い左につなげるハリ。グラウベはがっちりガードしてるが、ハリは頓着せず詰める。たしかにこの距離ならブラジリアンは出せないが、パンチで優位に立てるかな……?と思ってたら、突然グラウベの腰が落ちる! なんじゃあ!? 顎には当たってないし、テンプルだけでこんなに効いてしまうの? ダウン取られて仕切り直しだが、相手の身長以外はセフォー戦のVTR。力を込めてかぶせるようなフックとアッパーの連発にグラウベは何もできないままバッタリ。
つええ〜! 前回はセフォーが衰えたかと思ってたんだが、パンチの威力も上がってるし、距離感も近距離での安全な位置を見極めた感じか。レジェンド世代の撫で斬り、レコ、セフォーに続き三人目。次はレミーへのリベンジか、アーツかバンナか……。
▼セミファイナル(第9試合) K-1スーパーヘビー級タイトルマッチ K-1ルール 3分3R延長2R
セーム・シュルト(オランダ/正道会館/王者)
VS
ジェロム・レ・バンナ(フランス/Le Banner X tream team)
正対し、右ロー、左ミドル、左ストレートを狙う基本戦法のバンナ。シュルトさんは前蹴りとジャブで前進を止め、右ストレートを狙う。パンチを被弾するバンナ、今日はヘッドスリップが見られない。膝とハイを警戒してか? 左ミドルは時折入るが、左ストレートは届かず。
ペースを変えないシュルトがジャブを打ち続け、バンナの顔面を腫らしていく。2ラウンドから早くもだめだこりゃ〜ムード。だって無策じゃん、バンナ。ハントにはない気持ちも見せたけど、これは我慢大会じゃないんだからよ。
結局、何の見せ場もないまま3連敗。「全盛期ならば……」とノスタルジーだけで語られる存在に、彼もなっていくんだろうな。
シュルトさんはこれで3回目の防衛。アーツの連勝記録も今回破ったそうで、次は4連覇を達成すれば、回数でホーストに並び、完全なる頂点に立つことになる。アーツはそれを阻止できるか? 今日の仕上がりなら、とても無理だろうが……。
▼メインイベント(第10試合) K-1 JAPAN GP2008トーナメント決勝戦 K-1ルール 3分3R延長2R
前田
VS
テイシェイラ
一回戦の予想は外れまくったが、ここでテイシェイラが優勝すれば、結局は全的中と同じことである(笑)。進化を見せて上がってきたテイシェイラに対するは、武蔵流を超えた武蔵流で勝ち上がってきた前田。勝つのはどっちだ……?
チームドラゴンのお家芸、逃げ回りをここで出し、消耗を待つ前田。しかし露骨な掛け逃げも目立ち、2ラウンドは逆に詰められかける場面も。
そして3ラウンド、ここで打ち合いを挑む。が、テイシェイラもまだスタミナは残っていたか、必死に反撃。手数とクリーンヒットではやや前田か?
この間、前田トレーナーの指示が事細かに実況される。1ラウンド終了時点、レフェリーは無視して距離をキープ。2ラウンド終了時点、3ラウンドはスタミナが切れる、パンチで打ち合え。そして3ラウンド終了時点、延長もあるかもしれない、アッパーが当たりそうだから使おう……。
そして判定は……テイシェイラ。あれ? うーん、こりゃあ策士策に溺れるというか、ダウン取っての逃げ切り作戦なら許されるところだが、何のダメージも与えないまま走っていては逆にポイントを奪われるという解釈か。2ラウンドの掛け逃げ作戦が相当印象悪かったということ。
……で、もう一ついうなら、K-1にとって判定でポイントを与えるべきスターは、「武蔵を破った新生日本人」ではなく「極真世界王者」だった、ということ。それを読み切れず、逃げ回ってポイントを稼げると読んでいた前田憲作の慢心による作戦ミスということだな。
いずれにせよ、今回の結果であの逃げ回る戦法は封じられたということ。武蔵戦1ラウンド目ぐらいのローの当て方が、今後の指針になってくるのでは。
予選なんて本選への流れの一つに過ぎないんだからいいんだが、興行としてはバダ・ハリがいなかったらどうなってたかというぐらいの低調ぶり。チームドラゴンの「倒しにいく姿勢がすごい!」というのも、まあ中軽量級限定ということで(笑)。
歴史は刻一刻と動いていくけれど、その瞬間瞬間というのは、割合つまらなかったり、知らないままに過ぎ去っていたりする……。そんなことを考えさせられました。
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