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”私と彼女の息子”『姉妹関係』


『姉妹関係 / SISTERHOOD / 骨妹』 予告編 Trailer

 大阪アジアン映画祭2017、八本目!

 1999年、中国返還直前のマカオ……。マッサージ店で働き出したセイは先輩であるリンに助けられ、仕事を覚えていく。深い信頼関係を築いた二人だが、15年後の今、セイは台湾にいた。かつて、リンに拒絶されマカオを離れた苦い思い出を抱えて……。

 ジジ・リョンさんはちょくちょくこの映画祭で見ている、俺の中で「アジアン映画祭女優」であるな。去年は『ウォン・カーヤン』、一昨年は『アバディーン』と……。
 今作はヒロインの「現在」の姿で、これまた『ウォン・カーヤン』と同じ感じですね。

chateaudif.hatenadiary.com
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 夫と幸せな結婚生活を送っているはずが、なぜか満たされず、酒浸りになっているヒロインのセイは、実は心に満たされぬものを抱えていた。それがタイトルの「姉妹関係」である、かつて姉と慕った女性との過去……。
 冒頭、いっしょに子供を育てていたはずの「姉」の突然の変節が回想され、それを機にマカオを離れ台湾へとやってきたことが描かれる。だが、十数年を経て、その「姉」の訃報が伝えられ、マカオに戻ることに……。

 過去に戻って主演女優交代。若い頃を演じるフィッシュ・リウさんは昨年『レイジー、ヘイジー、クレイジー』でも主役級で、真っ先に援助交際に手を染める女子高生役でありました。今作でも場合によっては「抜き」もやるマッサージ店で働くことに。

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 この人、映画祭のイベントで来日したので、舞台挨拶なんかでも見たのだが、あまり笑わないのが印象的。非常に「素」な表情の人でしたね。
 マッサージ店で出会い、先輩役となるのがジェニファー・ユー演じるリン。不慣れな仕事に戸惑うセイに、最初は冷たいんだけど実は人情味溢れてて段々と親切になるという……。

 お話は現代と過去が同時進行で進み、過去編の中国返還直前のマカオと、現在のマカオが対比される格好にもなっている。まあ映画は政治状況よりも、単に歳月によってこれだけのことが変わってしまった、という演出として取り上げている感じかな。

 マッサージ店の同僚含む女の子たちが友情を育んでいく過程が自然で、特にセイとリンの二人がそれを超えて義姉妹となり、妊娠して父親もわからぬリンの子を二人で育てようとする展開の情愛深さが心を打つ。一方で、リン自身がその二人の関係を信じきれず、セイには別の幸せがあるのではないか、と考える展開も、悲しいがあり得る感じで、女性二人で子供を育てる、という関係性が周囲に認められていないがゆえの悲劇ですね。

 そこで冒頭のシーンが芝居だったことがわかるわけだが、まあ観客の九割は最初から気づいていたと思うし、ちょっと豹変っぷりが露骨すぎ、セイが十数年もそれに疑いを持たずにいたことも含め、いささか荒っぽかったかな……。長じてからのアル中描写もジジ・リョンさんは酒瓶をぶら下げているがいまいち板についてないし、マカオで閉店したスイーツ店を引き継ぐあたりもいい加減で、少々脚本が荒い印象でもったいないところ。

 非常に真面目に作られていて、女優陣のフレッシュな魅力も含めてシンプルにいい映画ではありました。

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