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”僕たちは、私たちは”『ウォン・カーヤン』

映画 大阪アジアン映画祭


『王家欣 ウォン・カーヤン/WONG KA YAN [王家欣]』 予告編 Trailer

 アジアン映画祭九本目! これにてラスト。

 離島・坪州に住むジョンインは、ダウンタウンの映画館でチケット売りのウォン・カーヤンに一目惚れ。翌日も彼女を訪ねて行くのだが、彼女は退職していた。あの手この手で香港中のウォン・カーヤンを探すジョンインを、ちょっと気の強い別のウォン・カーヤンが助けてくれるのだが……。

 イップ・マンの弟子の弟の人が主演! 最近では『ミッドナイト・アフター』にも出ていたね。田舎の港町で、飲食店やってるお姉さんの手伝いもせず、いい歳してギターばかり弾いてる天然の男。香港に映画を観に行ったところ、そこで窓口の女に出会う。寝すぎて劇場に取り残されたところで居残って親身にしてくれた彼女「ウォン・カーヤン」に惚れてしまい、もう一度映画館に会いに来るも彼女は辞めて行方をくらましていた。
 先日、香港旅行に行った際に映画も見たのだが、その時の映画館と窓口の形がそっくりでなかなか臨場感があったよ。

chateaudif.hatenadiary.com
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 電話帳を繰って、香港中のウォン・カーヤンを探すのだが、何せありがちな名前で、しかも老若男女問わずあり得るものだからいっこうに目当ての女にはたどりつかない。おまけに幼馴染が実は本名ウォン・カーヤンだということまで発覚したり、ややこしいことこの上ない。しまいに登場人物の八割が役名「ウォン・カーヤン」ということに……。

「俺がウォン・カーヤンだ」
「僕がウォン・カーヤンだよ」
「あたしも同じウォン・カーヤンよ」

 さらに今作のもう一人のヒロインである「ウォン・カーヤン」が登場し、愛を信じない彼女は一途な主人公に反感を抱くも、手伝う内に段々と彼のことが気になるように……なんというツンデレキャラ。幻の女への対抗心と、自分に振り向かない男が許せない欲張りさ加減も結構怖い。

 見つからない夢の女と、同じ名前の現実に側にいる女、どちらを選ぶのか問題も勃発し、一途さだけが売りの主人公は悩むことに。ところでこの話、十数年後の回想から始まっていて、結婚生活に行き詰まったある女が、この島へとやってくるところから始まる。さあ、結局主人公じゃない別の男と結婚してるこの女は、果たして二人のウォン・カーヤンのどちらなのであろうか?

 主人公の一目惚れ&追っかけは、人格無視・ストーカーと表裏一体で、最終的に「絶対出会わない」とわかってるから成立してる話でもある。出会うと「そんなにも私を想ってくれるなんて! 嬉しい! 抱いて!」か「うわっ、キモッ! ないわ……」のどっちよりかという結論を出さねばならんからな……。ついに会うことなく、過去の話として語られるからこそ良い話になりえる。

 何十人ものウォン・カーヤンがこの騒動のせいで出会う展開は、どことなく『人生ブラボー!』に似てるな……。監督が上映前のイベントで「悪い人は誰も出てきません!」と言っていたので不安視していたが、まずまず良かった。
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