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”わたしは戦う”『10クローバーフィールド・レーン』(ネタバレ)


映画『10 クローバーフィールド・レーン』本予告編

 あの怪獣映画の続編?

 恋人と暮らす家を飛び出し、車を走らせていたミシェル。だが、追突事故に遭い意識を失い、気がつけば謎の地下室にいた。見知らぬ男ハワードは、彼女を助けたと言い、外界は何者かの侵略を受け、ガスが充満していると告げる。疑いながらも奇妙な共同生活を始めたミシェルだが……。

 またJ・J・エイブラムスのプロデュースした『クローバーフィールド』関連映画……という噂……。予告は密室劇に見えるが、外に「何か」がいる、という……。
 うーん、こういう宣伝は正直食傷気味で、またJJが思わせぶりなことやってるよ、という印象ね。どうせ監督したら追っかけっこの映画しか作らんくせに……。

 さて、恋人と同棲中の家から荷物をまとめて飛び出したのは、メアリー・エリザベス・ウィンステッド。『スコピル』のラモーナか『ダイ・ハード4』のブルース・ウィリスの娘か、まあそんなところ。車中、電話がかかってくるが、通話はつなぐも返事せず。声の主は……ブラッドリー・クーパー

chateaudif.hatenadiary.com
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 「ちょっと口論したぐらいで出て行くなんておかしいだろ!」と主張するクーパーですが、『アメリカン・スナイパー』『世界にひとつのプレイブック』、さらに最近作『二つ星の料理人』(未見)全てにおいてアンガー・マネージメントの必要な役をやってた彼の「ちょっと口論」と言うのが、まあどんだけ怒鳴りまくったのか、疑問符がつくのは当然である。

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 そんな車中、不意に車が事故って失神したウィンステッドさん。気がついたら謎の地下室に監禁中。現れたのは……ジョン・グッドマン! 外は宇宙人が侵略してきていて危ない! この安全な家で生活しよう!と言われる。
 このジョン・グッドマン、4部屋ほどある地下室を独立して居住できるスペースに改造しており、食料や物資も溜め込み、そこにウィンステッドさんともう一人の男を監禁中。自分も外には出ない。外はガスが充満している! のだが、空気清浄機で浄化した空気を入れているので大丈夫、という。
 このキャラクター、『プリズナーズ』のヒュー・ジャックマンお父さんのような自活マニアで、アメリカに時々いる、なんでも自分の力だけでやらなければならないと思い込んでいるかなり危ない人。
 映画の中では、実は彼が言うように本当に善意の人なのかも……?と思わせるところもあるが、頭がおかしい奴に決まっているわね。果たして、妻子に逃げられた後、村の女の子を監禁していた疑惑が浮かび上がる。ウィンステッドさんも同じように誘拐されたのか……?

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 ジョン・グッドマンは監禁犯で、実は外は安全なのか? 彼は善人で、外は宇宙人に侵略されているのか? という風に主人公たちは考えるようになっていくのだが、これはミスディレクションですね。ジョン・グッドマンが監禁が趣味のブタなのと、外に宇宙人が来襲していることは別に矛盾しないのは、ネタバレの予告編を見てなくてもわかることである。

 DV野郎から脱出してきたウィンステッドさんは、父親からの抑圧や、目の前で少女がぶたれているのを止められなかった思い出を語る。そして今、こうして父権的な男に監禁されるはめに……。一応の生活の自由はあるが、それはあくまで条件付きのものでしかなく、男のユートピア願望を満たすための道具でしかない。

 一人の女性がそうした抑圧からいかに脱出し、自由になるか、がサブプロットになっていて、それはまた、この地下からの壮絶な脱出の後に待ち受けた、宇宙人との死闘に関しても同様である……と思うんだけど、人間を捕食か取り込もうとしている宇宙人のデザインは、なんだか女性器的だったがな……。それともケツの方なのか。そこに火炎瓶を「突っ込む」あたりは一種の意趣返しなのであろうか……。

 前作は忘れて、怪獣映画とかPOVとか全然関係ない別物として見れば、まあまあ面白かった。全然期待しないぐらいでちょうどいいと思う。