“女が欲しいもの”『オーシャンズ8』(ネタバレ)


オスカー女優に歌姫リアーナも!映画「オーシャンズ8」予告編が公開

 シリーズ最新作?

 五年の刑期を終えて出所したデビー・オーシャンは、更生した風を装いながら、刑務所内で密かに練り上げた計画を実行しようとしていた。かつての相棒ルーと共に結成したのは、兄のチームと同じ名の「オーシャンズ」。世界最大のファッションの祭典「メットガラ」を舞台に、華麗なる計画が動き出す……。

 監督もソダーバーグから変わり、一部設定は引き継いでいるもののキャストは一新、なおかつ女性キャラクターばかりということで、まあスピンオフぐらいの位置付けか。当初はマット・デイモンもチラリと出るはずだったらしいが、セクハラ批判批判が響いて退場。

 サンドラ・ブロック演ずるデビー・オーシャン(前シリーズのダニーの妹)がリーダー格となり、古馴染みのケイト・ブランシェットと組んで泥棒チームを集めることに。
 冒頭の万引きのテクニックや、ホテルの無銭宿泊の手際が良くて、これはリリーフランキーにも教えてやりたいぐらいですね。演技というほどの演技もせず、常にカッコつけた感じの澄まし顔でしれっと生きている感じが、プロ犯罪者っぽくておもしろい。他にかき集められる面子も、大小こそあるが常に「生業」をやってるに過ぎない。

 「この私が獄中で5年も考えた大計画」だから準備段階からスマートに進行し、展開も非常にサクサク進む。トラブルもほぼなしで、テンポよくテンポよく……。あまりメンバー同士でイチャコラやる感もなく、分け前のためにほどほどの距離感でサクサク進む。
 なんというか、特にハラハラすることもなく、かと言って退屈でもないぐらいの緊張感のキープっぷり。この緩さが良くも悪くも『オーシャンズ』シリーズだなあ。

 タイトルは8だが、ずーっと7人で進行するのでちょっとあれっとなるのだが、ポスターの通り、ターゲットになってるはずのアン・ハサウェイが加わります。『ヘイトフル・エイト』は9人いるな、と思ったのでその逆パターンか……。
 計画は盗まれる側であるアン・ハサウェイがヌケサクなのが前提になってるので、ちょっと賢かったり鋭かったりしたら危ない、ということですね。
 しかし、ヘレナ・ボナム・カーターが唯一というぐらい演技しているのだが、そのキャラが常にテンパりすぎていて、今にもボロが出そうだった。コロンボ方式で崩されるならここから、という気がしたな……。

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 ファッション的には派手だが、大掛かりなアクションはなく細かいテクニックで進行し、体力勝負じゃなくスマートにまとめてて、これはこれでコンセプトの違いということでありだろう、と思っていたが、せっかくサンドラ・ブロックが女性だけのチームへのこだわりを語っていたのに、前オーシャンズの軽業師の人が出て来たのはなんなのだ……。彼が入ってオーシャンズ9になっちゃわないか? メンバーじゃない理由は? 分け前は? などなど、さらっと流しているがどうも落ち着かなくて、ここはコンセプトをぶち壊しにしてしまっているな。
 どうすれば良かったかというと、今回はケイト様がスマート過ぎて最高! なので、あのワイヤーでぶら下がる最後の盗みもケイト様がやれば良かったんじゃないかな。まあ無理なら、スリの小さい子がやってもいいし。それだけで整合性は取れたと思うんだがな……。

 ところでタミー役のサラ・ポールソン、見たような見てないような顔だな……と思ったら、昔、打ち切りまで見た『アメリカン・ゴシック』の幽霊の姉ちゃん役の人じゃないか……。生き返った上に年まで取っていて、ちょっとびっくりだな。