”現在を生きる君たちへ”『レディ・プレイヤー1』


映画『レディ・プレイヤー1』日本版予告【HD】2018年4月20日(金)公開

 スピルバーグ監督作!

 西暦2045年、格差の拡大した世界で、人々は「オアシス」と呼ばれる仮想現実を理想郷としていた。だがある日、オアシスを作った男ジェームズ・ハリデーの死が告げられ、彼の残した最後のゲームが始まる。三つの鍵を手に入れたものは、オアシスの全てを手に入れられる……!

 『ペンタゴン・ペーパーズ』でも鼻息の荒かったスピルバーグが、またも新作! 原作は超オタク小説だったが、最初の脚本を読んだらあまりに自分へのオマージュが大量にあり、最初は断ろうかと思ったスピやん。でもこれを他の監督に撮らせたら、結局スピルバーグオマージュがダダ漏れすることになりそうなので、敢えて自分で撮って削ったとかなんとか……。自分オマージュはジュラシックパークのTレックスなんかをキングコングといっしょに登場させたりしてお茶を濁している感じが、なかなか奥ゆかしいですね。おかげで、スピルバーグがいまいち人気出なかった世界線、みたいにも見えるが……。

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 その代わりと言ってはなんだが、二幕目ではキューブリックオマージュを炸裂させ、いやあひさびさに大スクリーンで『シャイニング』見ちゃったよ……という気にさせられました。みんな大好きキューブリック。これでも本物は3倍怖いからすごいよな。

 主演はサイクロップスもやってたタイ・シェリダン君で、まあイケメンと言うには少々物足りない感じがオタク役にはちょうどいいのか。我々の世界ではeスポーツとか言い出してますが、ややレトロなグローブつけたVR体感ゲームという印象。マジな未来では、ゲームなんて脳内だけでやるもんになってるんじゃないか、と思うが、作中のキーアイテムにもレトロゲームを割り当て、80年代感も押し出してくる。

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 そして最大のお楽しみ、版権キャラの数々! まあ実際に活躍するのは一握りで、撮影ヤヌス・カミンスキーが逆光を当てよるせいでよく見えなかったりもするわけだが……。ガンダムがガチでガンダムだったり、メカゴジラがオリジナルデザインだったり、その不揃い感も今作には合っていたんではなかろうか。

 自分ぼめは控えたとは言え、オタクマインドを慰撫する渾身のオナニー感には変わりなく、ジョブズみたいな偏屈男を愛情たっぷりに描くあたりも超気持ち悪くて最高だね、と思ってたら、「ゲームは週に5日まで!」と渾身のお説教を始めたからある意味驚いた。これがスピやんのリアルとオタクのバランスなのであろうか?
 しかし、『ペンタゴン・ペーパーズ』とほぼ同時にこれを作ってるあたり、何か生き急いでないか、何かを残そうとしているのではないか、と心配になってしまう。それなりにご高齢なのも間違いないところだしな……。