"現実はどっち側?"『夢の向こう側』
ヴァネス・ウーがセルフプロデュース!
レコード会社を紹介してもらうためにアメリカから台湾に渡ってきたジョーは、ギタリストを募集するバンド「SMASH」のメンバーとひょんなことから知り合い、意気投合。メンバーに加わってデビューする事に。最初は人気も出ず、メジャーな舞台にも慣れなかった彼らだが、ようやくファーストコンサートにこぎつけ……。
あまり良く知らないのだが「F4」のヴァネス・ウーが自ら会社を立ち上げて製作・主演した映画。脚本と共演も友人のジミー・ハンで、自分らの作った音楽をふんだんに使って、歌もやって……というほんとに自分企画ですな。
そのこと自体の是非はさておくとして、ミュージシャンの本人がミュージシャンとして出ているのに、ちーとも現実をなぞったり匂わせたりするところがないのは痛かったなあ。
「SMASH」なる架空のグループがメジャーになっていく過程を描く中で、ボーカルが喧嘩っぱやかったり、ボーカルが酒癖悪かったり、ボーカルが人付き合い下手だったりと、だいたいヴァネス・ウー由来のトラブルが起きるのだが、いかにも類型的過ぎ。他にも、父親が音楽活動を認めてくれないドラムの話とか、メンバーが大事にしてるギターを壊しちゃう話とか……高校生の部活かよ!
全然、生活感もないままに五人がキャッキャウフフし続け、成功はトントン拍子、女の影なし、金に困る事もなし! 事故起こしてファンを怪我させた話が金で揉み消されたあたりはちょっと生々しかったが、その後はなんの絡みもなく単に入れただけ! 最後は難病で締め。
これは脚本がだめだったな……ギター役のジミー・ハンが書いているそうだが、どっかからいただいてきたエピソード連ねただけじゃないのか……。最初から最後まで予想通りの展開でびっくり。定型をなぞるばかりで、この映画だけの何かがないし、狙った形跡もない。
キャラクターも類型的で、「なだめ役」と「コメディリリーフ」がその通りの役割を全うするだけな辺りも、実に貧乏臭いな……。もうちょっと膨らませようよ! まあそんな必要もない企画だったのだろうが……。
演出も、パフォーマンスを途中で止めてしまうシーンの音の切り方など、とにかく雑。誰も聴いてないのでメンバーがほぼやる気をなくして、手が止まっているのに音は鳴り続けているという……。口パクもまったく合っていない。せっかく本人が歌ってるのだから、もうちょっと生音を活用してほしかった。
ただ、歌自体はやっぱり耳に残るし、いいと思う。その音楽性や、メンバーが何をしたいのか、が、ちっとも伝わらなかったので、ほんとにそこしか見どころがなかったがなあ……。ファン向け映画。あ、サモハンも出てます。
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