"地元愛、そして中谷愛のために"『阪急電車 片道15分の奇跡』

 普段、テレビで観た分はわざわざブログには書かないのだが、一応ナカタニストとして、阪急電車を利用する地元民の記録として残しておきたい。西宮北口では中谷美紀の『猟銃』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111031/1320029617)の公演もあったしな!


 阪急電車今津線。宝塚と西宮北口を結ぶその路線に乗る人々。通勤、通学、日常の買い物……わずか片道15分の行程。だが、そこには多くの出会いと奇跡があった。今また八人の男女が巡り会い、ドラマが始まる……。


 僕の母の実家が武庫之荘にあったこともあり、阪急電車はよく利用しているのだが、件の今津線は二回ほどしか乗ったことがなく、そういう意味ではもったいなかった。いやねえ、普段から使ってりゃ抱腹絶倒だったのではないか? 「こばやし駅?」とか言って「おばやし」と突っ込まれたぐらいこの路線のことを知らなかったのは痛恨である。宮本信子の、


「小林駅はいい駅だから、ちょっと降りて休んでいきなさい」


 とか、すごい台詞だ。どんなに郷土愛あふれる人でも、地元全体の中からわざわざ駅だけを抜き出してこんなこと言わんであろう。それこそタマ駅長でもいれば別だが。ツバメの巣があったりしてそれが癒しの象徴なのかっ! イズミヤで服も買えるし、駅前の豚まんは美味いしな! しかしタイアップとしてもどうもピントがずれて感じられるあたり、そこは原作付きらしいという気もしないでもない。
ウェディングドレスで説明的な台詞を語ってくれる中谷ミッキーは相変わらずお美しい限りでありましたが、劇場に行かなくてよかったな〜、と心底から思いました。


 バシバシと車内で説教を食らわしまくる宮本信子に象徴される、「ふざけた真似しやがった馬鹿野郎には一発喰らわせればいいんだよ! その方がスッキリするし!」というテーゼは嫌いじゃないし、自分らしさを大事にして楽しいことを追求して行こうという姿勢も良いのではないか。……ということで、まあまあいいお話なんじゃないですか……とは思うのだが……。
 関学受験に迷う女子高生と、そのイケメンじゃない犬っぽい顔したアホ彼氏(……と台詞で語らせといてキャストは玉鉄! どういうことだ!)がらみのエピソードがすべてにおいて意味がわからず、勝地涼谷村美月のエピソードも宙に浮きまくっていて、ぬるいぬるい!
 無駄にショーパンな戸田恵梨香とその顔だけが売りのDV彼氏のエピソードも、解決他人任せかよ! そうして助けられた側が次は助ける側に回る、という展開は否定しないが、解決に至る過程が一言であっさり片付いてしまうあたり、助け合いのテーマを語るためにわざわざ悩ませているように見えなくもない。
 ラストは小林駅に引っ越してきた中谷美紀が、駅で再会した戸田恵梨香に『ケイゾク』から『SPEC』へのまさかの闘魂伝承!


 アヴァンタイトルまでに全登場人物が紹介されてしまい、ああこれから順番にエピソードが消化されるのだな、と嫌でもわかってしまい、途中で「あと二人残ってるね〜」などと言っておった。往路、復路と最初から前後半に分けられたシナリオもあり、なんとも予定調和的でわざとらしく、意外性は一切ない。そのせいで会うはずのなかった人たちが出会ったことを指すタイトルの「奇跡」が、えっ何が……?としか感じられないのだよねえ。


 しばらくは電車に乗るたびにネタにできそうな破壊力だけはあり、そういう意味では面白かった。俺も地元・堺筋線で何かでっち上げるか? 市営地下鉄が民営化されたら、映画化も近づくかもしれない……阪急も乗り入れてるしな! 欠点は地下だからどうも見栄えがしなさそうなことだ。でも扇町駅はいい駅だから、ちょっと休んでいったらいいと思うよ!

阪急電車

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