"胸に輝くはAの文字"『小悪魔はなぜモテる?!』

 ウィル・グラック監督作品!


 女子高生のオリーブは、ある日、軽い気持ちで大学生とセックスしたという嘘を友達についてしまう。噂はおひれがついて学校中を駆け回り、目立たなかった彼女は注目を集めるように。だが、次第に噂は暴走し、彼女にはビッチのレッテルが貼られるように。授業で習った『緋文字』になぞらえ、Aの文字をつけたファッションで登校するオリーブだが……。


 巷ではエマ・ストーンがブームである。いやまあ、Twitterの僕の観測範囲の話なんだけど、ある時期からやたらとこの人の名前を聞くことが多くなった。えらい人気じゃのう、観てみねばなるまいなあ、と思った時は、すでにウィル・グラックの『ステイ・フレンズ』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111015/1318689464)を観た後であった。えっ、どこに出てたの? 冒頭? チョイ役?
 続いて観たのはご存知『ゾンビランド』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111018/1318932217)。これも出てるのを知らずに観たんだが、わっ、この子か〜、これはなかなかいいかも。しかしながら僕は主義として、一作品では認めないようにしているのである。あんまりルックスだけで好きになることないしな〜。代表作一本で消えて行く女優などいくらでもいるし、フロックというものもある。やはり二作品以上で輝いてみせてもらわねばな、ということで、次の作品を心待ちにしていた。で、『ラブ・アゲイン』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111202/1322824160)だったのだが、周囲の好評が信じられないしょーもなさ、なにこのバカ女は……。
 これにて株も急降下、さあ次は『ヘルプ』か『アメイジングスパイダーマン』か、というところであったが、今作のDVDを関西映画クラスタオフレポ職人(最近は幹事業にも進出して大人気!)ことid:rino5150さんに貸していただきました。多謝!


 邦題からして「小悪魔じゃねーじゃん!」と散々突っ込みを受けていた本作、原題は『EASY A』。何のことやらと思っていたが、『緋文字』だったんですね。閉鎖的で独自の価値観に支配された空間、という意味でのハイスクールをそこになぞらえ、一つの嘘が暴走する様を描く。
 エマ・ストーン非モテのちょい文学少女。頭が回り過ぎるのと、ああ言えばこう言う口の減らなさ、わざわざAの文字まで付ける露悪的な性格が災いし、かくなる事態を招いてしまうわけだが、いや〜、高校生ってほんとに自意識過剰でヒマを持て余してて、度し難い生き物ですねえ(笑)。しょーもないことでガタガタ騒いでうっせえなあ。主人公もなんでこんな話題になるのかわからんようでいて、ちょっと評判になったことは嬉しかったりして、実に複雑。別に大してモテたくもないのだが、嘘と評判先行の偽物のモテ方でもモテるとちょっぴりいい気分、でも段々弊害の方が大きくなって来て……。
 大きな目とクールな佇まい、ミニスカ禁止の校内でショートパンツがハマる手足の長さが素晴らしく、ハイテンポなトークがこのピンの主役で出ずっぱりしゃべりっぱなしの状況を支える。これはいいよいいよ〜。
 『スパイダーマン3』のサンドマンが出て来たりして『アメイジング』に思いを馳せたり、リサ・クードロウの相も変わらず最悪な女っぷりに萌えたりと、脇の部分も面白かった。スタンリー・トゥッチの父親も良かったね。
 クライマックスは同じくひどい邦題で話題になった『バス男』のダンスシーンや、『25年目のキス』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110607/1307376481)のコールスローシーンを彷彿とさせたなあ。脈絡ないようであるような、強引な落とし方。だがそこがいい!


 廉価版が発売されるので、ぜひ買いたいですね。これにてめでたくエマ・ストーンのファンになれた作品。

ゾンビランド [Blu-ray]

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