"海外ロケは大炎上"『ブラッド・ウェポン』


ブラッド・ウェポン [DVD]

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 ダンテ・ラム監督作!


 ヨルダンで、天然痘のウイルスを開発した科学者の護送に当たっていたインターポール。だが、テロリストの襲撃を受け、砲撃の果てに科学者を失うことに。仲間を失い、自らも頭に銃弾を受けた刑事のジョンは、余命二週間と宣告を受ける。母の元に戻った彼は、幼い頃に離ればなれになった父と、存在さえ忘れていた兄に会いにいくことを決意。だが、犯罪者となった兄は、テロ集団の手先となっていた……!


 『密告・者』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111106/1320573887 )、『ビースト・ストーカー』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120504/1336039985 )、『コンシェンス』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20121023/1350969905 )と、近年コンスタントに公開されているダンテ・ラム作品。毎度おなじみですが、またまたキャラがひどい目にあう話。秘宝のインタビュー読んだら「当然だろ! これからももっともっとやる!」と言う調子だったので、笑ったわ。
 ただ、今回はこれまでの香港の街中で警官同士がサスペンスしてたのとは若干趣きが変わり、「俺は警官だから」とジェイ・チョウが言うのと裏腹に、刑事の領分を明らかに超えまくった海外を大暴走してのアクションが中心に! 街のど真ん中であちこちぶち壊しまくるカーチェイスに、ヘリコプター、船とどんどん舞台は変わる。血縁による絆、しがらみの要素はそのままに、それを密度の濃いサスペンス要素に絡めるのではなく、アクション、追跡劇の推進力に変えるような作劇。


 クールな悪や、いい加減な感じも出来るニコラス・ツェーだが、今回もダンテ・ラム作品の定番としてひたすら暑苦しい男になり、こちらは相変わらず何考えてるのかいまいちわからない顔をしたジェイ・チョウと好対照。この二人が兄弟ということでもちろん似てないのだけれど、その似てない者同士であり幼い頃から離れて暮らしていた二人が、通じ合う展開が熱い。そして、最後の最後ですれ違ったところが、かかる結末を呼ぶというラストは良かったですね。
 まあしかし、やたらと色気やらを漂わせ、濃ゆいムードを充満させてたリッチー・レンやニック・チョンに比べると、ややあっさりしている感も否めない。そんな映画でありました。


 体調がいまいちだったので、冒頭の大銃撃戦とか、途中のお父さんとの思い出のところとか寝てしまって、いっしょに観てた彼女にあとから聞いて補完しました、サーセン