『凶宅』三津田信三

凶宅 (光文社文庫)

凶宅 (光文社文庫)

 光文社で出している文庫書き下ろしホラー。


 家族で田舎の一軒家に引っ越してきた日比野家。だが、小学四年生の翔太は、幼い頃から備わった勘から、不穏なものを覚える。この家は、何かがおかしい……。果たして、深夜、幼い妹のもとに何かがやってくる……。家にまつわる秘密を探り始める翔太。だが、探れば探るほど奇怪な現象は起きるのに、過去に忌まわしい事件を見つけ出すことはできない。果たして、この家の秘密とは。そして、妹の元に現れた「ヒヒノ」の正体とは……?


 『禍家』はそれほどでもなかったのだが、今回はヒット。相変わらず、理屈っぽい小学生が必死に間違った推理を繰り広げるのを話の推進力にしているので、これはいまいちかなあと序盤は思った。が、中盤以降、恐怖描写に生理的、社会的事象に端を発する嫌悪感を取り入れ、一気にスパートをかける。
 『悪魔の収穫祭』的な田舎の話でもあるのだが、そこらへんは子供が主人公なこともあって隠し味程度。悪く言えば書き込まずに済ますために子供に設定しているのかもしれないし、文庫書き下ろしのニーズがそこまで求めていないということかもしれないなあ。
 クライマックス直前の処理が鮮やかで、漠然とした不安感を抱きながらもその正体がわからないもやもやを、主人公と同じくこちらも味わえた。
 刀城シリーズほどの力の入れようではないが、角川ホラー文庫のシリーズよりはやはり絶対的にオススメだな。次も買ってあるので、ちょっと楽しみになった。

禍家 (光文社文庫)

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赫眼 (光文社文庫)

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災園 (光文社文庫)

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