『サバイバル・オブ・ザ・デッド』


 まだまだ撮るよ、ロメロさん!


 死者が動き出して六日目。
 ある孤島に住む、二つの一族が対立を深める。死者の駆除か、共存か、二つのテーゼ。駆除を掲げた一家は争いに敗れ、島を追われてしまう。一方、ある脱走州兵のグループが、金品を略奪しながらその地方へと近づいていた。島を追い出された一家に誘い出された彼らは、安息の地を求め、孤島を目指す……。


 『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』で、学生たちから金品を奪ったグループが、今回の主人公になる。
 いや、しかし真面目だねえ……。仲間を、人間性を失うことの悲哀、ゾンビとして起き上がったそれらをもう一度葬る二重の痛み……。絶対にそれらを描くことは外さないのだ。
 そして、前作同様、実験作的な趣きがある。ゾンビと言う素材を、こういう状況下に放り込めば、どうストーリーが転がって行くのか?ということを考えつつ作っているように見える。今回のテーマは、死者を駆除するか、共存の道を探るべきか、という二項対立。しかし共存派も終わりの見えない「飼育」に飽いて、やがては駆除へと傾いて行く。一方、駆除にこだわる一家もまた、自らの血族の駆除に葛藤する。
 長きに渡って、ゾンビにこだわり続けてきた御大ならではの、深みと掘り下げがある。シニカルだが、ニヒリズムに陥らない熱さがある。


 行き着く先の読めないロメロ的世界にたゆたい、先行きの見えない悲哀と、生への渇望に浸ろう。職人芸的ゾンビ描写も良いよ!

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