『八人目の侍』
アジアン映画祭にて鑑賞、27分の短編映画。
某監督の傑作映画「七人の侍」は、当初八人の予定だった!? 撮影開始直前、八本目の木が倒れる夢を見た監督は、急遽、侍の数を減らす事を決定してしまう。監督の名声にしぶしぶ屈したプロデューサーは、直後に監督の下を訪れた侍役の俳優を首にする。しかし、田舎を出て以来、この役に賭けていた役者は収まらず……。
言わずとしれた名作には、こんな裏話があった……という架空の設定で作られた短編。
有名監督の権威と我がまま、何をやってもうまくいかずにようやくチャンスをつかんだ役者の思いなど、通り一遍ながら、なかなかよく描けている。役者のトラウマとして老いた母親のビジョンが出て来るところなど、少々あざといぐらいの感じ。監督の権威に口を出せないプロデューサー、汚れ仕事を押し付けられ「僕はただの連絡係です」と言い放つ助監督、結局端役で満足してしまう役者……うーむ、日本的だなあ。イヤな話だ。すっごくイヤな話だ。役者の自己実現は果たせたからいい話、と結論づけてしまうのは、ほとんど切断処理だね。
しかし、監督も脚本も役者以外のスタッフはみんなアメリカ人だそう。かくもベタベタな日本的心理を描かれ、何か恥ずかしい気持ちになってしまった。白髪にグラサンの監督が出て来るとことか、きっと笑うとこなんだろうな。でも笑えない。
彼らにとって世界のクロサワでさえ、もはや笑いのめす対象に過ぎないという事実を突きつけられ、愕然となる。外国人にこんなイメージで日本人像を捉えられてるということが、たまらなく恥ずかしい。終始、居心地の悪い気持ちを味わった。良く出来てるってことなんだが。
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