"はじめまして、ぼくアジャです"『ハイテンション』
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親友アレックスと家族の住む郊外の家に泊まりにきたマリー。しかし深夜、謎の男が家を襲い、家族を次々と惨殺し、アレックスを連れ去ってしまう。男の車に乗り込んだマリーは、密かに愛していたアレックスを助けようとするのだが……。
タイトルに反し、フランス映画っぽいややダウナーなトークから幕を開ける本作。ローテンションだな……。
構成はほぼ粗筋どおりでシンプルそのもの。この監督の切株描写は、血糊も景気が良い上に、痛そうなんだよね。ざっくりやらかす前に絶妙な溜めがあり、ワンテンポ置いて血がブッシュー……! これは後に観た『ミラーズ』にもきっちり受け継がれている。見せるものはきっちり見せた上で、痛さと驚きを重視し、笑いには決して走らない。思わずプッと笑っちゃう切株もいいけど、こういうのはやっぱり才能だよね。
しかしハイテンションになったのも束の間、想像していたよりもはるかに殺害人数は少なく、犬と子供をぶち殺すシーンは血糊なしという日和見も垣間見えて、中盤はミドルテンションに落ち着いてしまう。トイレに隠れてドキドキとか、カーチェイスとか……ありきたりだ……。
さらに後半の「衝撃の真相」が明らかになってからは、画面のテンションこそ高いがこちらのテンションはミニマムローまで急降下。あ、なるほど一応「回想」だから、アンフェアでもないか。小説で言うと一人称だから……ってそれで済むか!
才気あふれる若手に、一本撮らせたら、確かに才能の煌めきは感じられました……というところ。完成度云々よりも、一つでもとんがったところがあったら世に出してしまおう、という発想は、おそらくクリエイターからしたら正しいのだろうし、後に『ピラニア3D』という大傑作を撮るんだから(観てないけど)、結果論としても正しかったわけだ。まあ今作は昔の作品ということで忘れて、アジャの今後に期待したいと思います。
さて、役者でもこの映画で大殺戮に巻き込まれる主演のセシル・ドゥ・フランスが、この7年後に『ヒアアフター』でイーストウッド映画に出ちゃうんだよねえ……。お願いだから、今作をフィルモグラフィから消したりしないでください!(『80デイズ』もね!)
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