"身体を張ってなんぼです"『低俗喜劇』
キャリアこそ長いが、一本もヒット作のない映画プロデューサーのトー。怪しげな出資者と組むが、往年のポルノ映画を女優をそのままにリメイクする事を要求される。しかし、その女優もすでに60歳。トーは事務所に来ていた若手女優を使い、首から下だけ吹き替えようと画策するのだが……。
やっとパン・ホーチョン監督作が観られる(『ドリーム・ホーム』は未見)。
チャップマン・トー演ずる映画プロデューサーが、学生向けの講演で語った新作完成までの顛末。タイトル通り全編に渡って下ネタの連発で、ほぼそれのみ! それも生易しいものじゃなく、ラバのシーンは想像するだにトラウマものであったね。作中で製作されるポルノ映画も、実際の映像は見せないのだけれど、チャップマン・トーが自ら語るそのイメージを想像するだけで可笑しい。講演会形式に加え、画面のこちらの観客にも語りかけてくるシーンがあって、全編に渡って彼の語り口のうまさが光る。かかってるフィルムが焦げる映像などもあり(デジタルで上映してるっつうの!)、ぎょっとするんだけど、そこも語りでフォロー。
さりげなく低予算映画(いわゆる「三級片」ですな)製作の内幕なども盛り込みつつ、それに対する批評性も備えた映画になっているのだね。資金調達からキャスティングも、どれも一筋縄ではいかない。違法雀荘でカメラを回して「撮影だ」と言い張るシーンなど、ほんとにどこででも撮ることを示しているのか。そこを口八丁で渡り切って行くチャップマン・トー。後の講演会では学生にもきつい突っ込みを受けるがびくともしないのであった。
ただ面白いんだけど、絵的なクライマックスがないので、語り形式と合わせて、少々盛り上がりに欠ける感があって物足りなかったところでもあった。なぜかいいところで、主人公が昏倒するってなんやねん! これも予算なくなった映画がクライマックスを端折るのを表現しているのか……。
同じ監督、脚本家の『恋の紫煙2』では、同じく少々起伏に欠けるストーリーながら、その語り口の滑らかさと均質なトーンが恋愛劇の良い味わいになっていたのと同じなので、このコンビのカラーなんでしょうな。
一応ヒロインポジションの「パチパチ飴」を演じるダダ・チャンのエロさもなかなか良かったのだが、『恋の紫煙2』前に舞台挨拶に本人が来たから、思わずガン見してしまったね。映画を見ればわかるんだが、ここは当然「しゃぶって〜!」と野次るべきことなんですよ! 僕はお行儀がいいので、そんなことは言いませんでしたがね!(まあブログで書くぐらい良かろうよ) 翌日の上映ではもっと小さい劇場で挨拶してたそうなので、そっちならもっと近くでガン見できたはず……。あ〜いかんいかん、エロいわ〜。
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