『泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部』酒見賢一

泣き虫弱虫諸葛孔明〈第1部〉 (文春文庫)

泣き虫弱虫諸葛孔明〈第1部〉 (文春文庫)

 吉川英治はもう飽きたし……柴田錬三郎も読んだし……北方謙三は作り過ぎでしょ……そんな貴方に、次はこれ!


 タイトルは泣き虫弱虫だが、登場する孔明は実に図太い。「臥竜計画」と称し、自らを稀代の天才、逸材とする噂を流布。怪しげな衣装を自らまとい、大物然とした気配を醸し出す……が、どう見ても変人です、ありがとうございました。
 『三國志』『三国志演義』などの、登場だけに何章も費やす孔明伝説の尾ひれのつきっぷりに新解釈を加え、それを彼自身が仕組んだ物とする、という視点が面白い。確かに、劉備が尋ねる先々で、誰もが孔明を讃える歌を歌ってるところなど、よくよく考えれば不自然過ぎる。「いや、孔明はそれぐらい凄いんです」ということだけで片付けられて来た部分に身もふたもない解釈を加えながら、だからこそ孔明は凄かったんだ、というところに行き着く。


 文庫で600ページを超える大作だが、この第壱部のラストでようやく出蘆! 第弐部も出てます。冒頭でも書いたが、『三国志』を本でも漫画でも色々と読んだ人向けに、ちょっと斜めから読み解こうと言う本。初心者にはオススメしないぜ……!

泣き虫弱虫 諸葛孔明 第弐部

泣き虫弱虫 諸葛孔明 第弐部


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