『SAW6』


 とうとう6作目だよ〜! 正直、前作はいささか低調だったので、今作での巻き返しには期待していた。結果としては、無難なラインながらもきっちりまとめて盛り上げたかな?


 5の何が問題だったかというと、ジグソウの「後継者問題」に明確な回答がなされなかったところ。開催される「ゲーム」、開催意図とその完成度両面でのクオリティは、あの「ジグソウ」がやっているからこそのものである、という絶対的な保証が必要。だが、ジョン・クレイマーは既に亡く、後継者と目されていたアマンダは私怨に狂い不完全さを露呈、次なる後継者となるかと思われたホフマン刑事は『4』での登場以降、まだ底が見えずにいる状態。ある種の絶対的な意志が感じられない中で「ゲーム」の開催された『5』は、どうも座りの悪い感覚しかもたらさなかった。


 だが、『6』ではこれらの不満点を逆手に取って消化する形で、物語が展開する。繰り返し示唆されるホフマン刑事の「ジグソウ」としての、技術、思想面双方での不完全さ。アマンダとの確執。そして、彼が後継者候補であるにも関わらず、「ゲーム」をくぐり抜けていない(ブレイクスルーを経験していない)点。突きつけられた未完成さは、本家に対する存在感の不足へのエクスキューズだ。


 さらに、前作で明かされなかった遺品の箱の中身も、それと密接に絡んだ形で登場する。アメリカ社会の大きな病理と言われる医療保険問題と絡めて設定された「ゲーム」の内容と合わせ、とりあえず前作の課題と単品としてのクオリティの両立は果たした。


 ただ続きはどうなるかな? ホフマン刑事のキャラはようやく立ってきたが、それは未熟さが立ってきただけであって、今だ画面を支配した初代ジグソウのカラーを打ち破ることは出来ていない。しかしどうあっても「実行犯」は必要だから、ホフマンは出ざるを得ないわけで……。


 今作で何とか持ち直したものの、次作以降はクオリティを保てるか、要注目。少しずつ完結は見えて来たようにも思うが……。


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