『八朔の雪 みをつくし料理帖』高田郁

八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)

八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)

 借り物。
 剣豪も忍者も、同心さえ出ない時代小説を読むというのは珍しい(笑)。


 そば屋「つる屋」で働く澪は、かつて上方の名店で下働きをしていたが、店の没落と共に江戸へやってきていた。「つる屋」の店主に見込まれ、上方料理を出すようになる澪。江戸と大坂の味、技法の違いに戸惑いながらも、徐々に料理人としての才能を発揮して行く。だが、そんな時、店主が倒れ……。


 タイトル通りお料理小説、さらに市井の人が食べる地味な和食なんだが、製作と試行錯誤の過程が丹念に書き込まれ、その「苦労」がこちらに伝わる分、美味しそうさも倍増する感じ。主人公が店を引き継いでより能動的に動き出す後半二編から、物語の面白さも加速する。名店が嫌らしく妨害して来るとことかも、憎々しくていい。
 続編も出てるが、そちらでは野江ちゃん登場に期待だなあ。小松原はやっぱり「上様」的存在なのだろうか……。


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