K-1WGP 過去ログその5

過去ログ

2007/3/4 K-1WGP IN YOKOHAMA 試合感想

さてさて、なんか微妙なマッチメイクも多いし、盛り上がらないかもなあと思ってた今大会。
夕方帰ってきて、追っかけ観戦となりました。
早くからたくさんの方に見ていただき、ありがとうございます。仕事の都合で土日はリアルタイムで見られませんし、なにぶん長文派ですので、アップに時間がかかります。お待たせしました。

<第1試合 K−1ルール 3分3R・延長2R>
シリル・アビディ(フランス/ブリゾンジム)
野田 貢(日本/シルバーアックス)

野田って相撲出身だったのか……初めて知ったよ。なるほど、押しの強さが凄い。アビディがどんどんコーナーへ押し込まれるぞ。アビディも、突っ込まれるより先にロー、ミドルを蹴るんだが、なんか反応が鈍いせいか、クリーンヒットしない。ステップワークも全然使えてないし。
そして、押し込んでのパンチラッシュから、下を向いたアビディにダウンが宣告! そのまま押し込み続ける野田。いやあ、ひどい試合だが、アビディも全然成長してないね。無理に振り回しフック狙うんじゃなく、頭をつけて止めるとかなんとかあるだろうに。
判定は野田。これは作戦勝ちかな。体幹の強さと、ショートのパンチだけでここまでやれてしまうのか。はっ……曙もこれをやるべきだったんだな……もっと痩せてれば……。
アビディは全然練習も出来てなかったようだ。またいつか復帰できるだろうか。


<第2試合 K−1ルール 3分3R・延長2R>
グーカン・サキ(トルコ/ゴールデングローリー)
天田ヒロミ(日本/コシ・トラスト)

さて、後に出るバダ・ハリのローキックもすごかったが、このサキのノーモーションのローキックにも驚かされた。前進する天田の左脚に、面白いように当たり続ける。時に外、上に散らしながらのインローが、あっという間に天田の太腿を赤く染め上げる。下に振ってハイってのは黄金パターンだが、完全に狙いはインローか。パンチ狙いで前に出ていた天田だが、あっという間に踏み込みを封じられてしまった。サキは下がってパンチもワンツー以上打たせず、ほぼ危なげなし。
天田は2ラウンド終了間際の一撃で、ついに心が折れたかダウン。うーん、3ラウンドもらい続けたのに立ってたイグナショフが、実はすごかったような気がしてきた。
サキ、ヘビー級ならかなりやれるんじゃないか?  天田は蹴りも出してたが、やはり弱点を克服出来てなかった。ハリッドにも歯が立たなかっただろう。


<第3試合 K−1ルール 3分3R・延長2R>
堀 啓(日本/チーム ドラゴン)
アレキサンダー・ピチュクノフ極真会館

いや、しかし堀の体型は、こうして見ると日本人とは思えないね。ピチューが小さく見えるよ。さて、パンチの構えで前進するピチュー、さすがきっちりグローブマッチの経験を積んできているだけあるな。そうは言っても、それほどハードパンチャーとも思えないし、堀のミドルも今日は重い。わりと好勝負になるかな……と思っていたら、バックスピン後のストレートが堀の顔面を直撃! スムーズに出たなあ。すでに目つきが怪しい堀のガードの隙間にねじ込むようにパンチを打つピチュー。さらに二つダウンを奪って完勝。
堀は相変わらず打たれ弱い。パンチで距離を詰めるのが対策のセオリーだが、空手家にキックボクサーがこの戦法でやられては駄目だろう。


<第4試合 K−1ルール 3分3R・延長2R>
中迫 強(日本/ZEBRA244)
ザビット・サメドフベラルーシ/チヌックジム)

サメドフ、いささかクリンチが多いが、そのクリンチワークが実に巧み。片手をぽっと添えてのパンチ、さらにフックをかわして回り込みながら崩す動き、K-1ルールでは判定には評価されないが、ショートレンジで打撃をもらわないには有効なテクニック。その距離での攻防が中心に進み、動きの悪い中迫は技術差を見せつけられ翻弄される。
体重差もあるせいか決めきれないサメドフ、やはりヘビー級はちょっときついかな? 中迫は前に出られたらもう少しいい内容を見せられたかもしてないが、まあいつものことだし……。


<第5試合 K−1ルール 3分3R・延長2R>
ジェロム・レ・バンナ(フランス/レ・バンナエクストリームチーム)
澤屋敷純一(日本/チーム ドラゴン)

武蔵さんもびっくり! という物凄い逃げ足の澤屋敷。ほとんど走ってるよ! 追うバンナだが、なかなか捕まえられず。これはひどい試合になる予感がしたが、なんとバンナがカウンターを浴びてばったり。そして澤屋敷はなおも逃げ続ける……。まあしかしロー蹴ってれば止まるだろ、と思っていたが、なんとバンナは蹴りを打たない。魔裟斗さんが「ローが無理ならボディにパンチで上下に」とダメだし。さすが怪我しても負けない男、しかしこの切り替えの速さはバンナにはなかった。ガードの上から強引なパンチを叩き付けるのみで攻め手なし。
3ラウンド、再びカウンターを浴び、マウスピースを吐き出したバンナ。追い打ちに力なくダウン。
武蔵以上に最悪な逃げ回り方の塩屋敷だったが、これぐらいしか勝ち目はなかったか。しかし今日のバンナは最悪。映画の撮影の合間にケガをしたそうだが、こういうやる気のない選手は呼ばなくてよろしい。


<第6試合 K−1ルール 3分3R・延長2R>
チェ・ホンマン(韓国/フリー)
マイティ・モー(米国/シャークタンクジム)

どたどたした動きだが、左ジャブから右オーバーハンドという流れのモー。こんなボディにジャブ突いても効きやしねえだろ、と思っていたのだが、ホンマンがきっちり反応してしまっている。初歩の初歩と言えそうなテクニックだが、これが明暗を分けたか。
相手の大振りを下がりながら良く見てジャブ、距離が詰まったら捕まえて膝、というのがホンマンの黄金パターン。しかしモーのジャブを気にしてか、今ひとつジャブの精度が良くない。当たればモーも効いたろうが、モーは傘にかかって左も振り回す。
第2ラウンド、魔裟斗さんが解説で、「右の後、返しの左も出せば当たる確率はぐんと上がりますよ」。これが後に思わぬ形で当たる事に……。
前進するホンマンだが、まったく下がらないモー、ホンマンのジャブをすかしてのサモアンフック、ついに直撃! 一瞬、巨体が停止し……大木が倒れるかのようにどうと崩れ落ちた。来た〜! 不倒かと思われた大巨人の轟沈に大興奮。ホンマンは、ジャブの後にいつもののけぞる仕種でパンチをかわそうとしていたのだが、そこから伸びるのがサモアンフック。きっちり顎を引いてガードすれば倒れるはずなどなかったものを、やはり小さい選手を相手にしての横着スタイルがとうとう墓穴を掘った。

万々歳で、ここでちょっと休憩して晩飯を食う。あと三試合あるが、この調子ならちょっと期待してもいいかな? と思ったのだが……なんとここからが本番であることに、この時点では気付くよしもなかったのであった……。


<第7試合 K−1ヘビー級(100キロ以下)タイトルマッチ挑戦者決定戦 3分3R・延長2R>
ルスラン・カラエフ(ロシア/フリー)
バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム)

不気味なまでに冷静なハリと、前日会見でやや不調に見えたカラエフ。
さて試合は……カラエフ、またも速攻! ハリはステップで距離を取るが、前蹴り、ロー、ハイを立て続けに繰り出し、パンチでも応戦する。下がってるんだが打ち合ってるように見える。1ラウンドの最初の攻防、ひさびさの高速戦闘に鳥肌立った! いやはや、長らく忘れていたよ、この感覚! ハリのローは相変わらずの切れ味で、凄まじい音が場内に響いた。だが、ロー効いてるのに倒れないどころかスピードが落ちないのがカラエフ。1ラウンド終盤には、徐々にパンチの距離に詰めて行く。が、ハリはこの展開も織り込み済みか、逆にパンチのカウンターを合わせ、鼻血を誘う。
若干ハリ有利で1ラウンド終了。ここまででも、もうすごい名勝負。ハリ有利と言っても、カラエフのロシアンルーレットには展開を引っくり返す破壊力がある。
しかしリングから飛び出そうになったところを支えたり、呼吸を合わし損ねたのにわざわざグローブを合わせなおしたりと、今日は驚くほどクリーン。
2ラウンド、ハリのカウンターにカラエフの鼻血がひどくなり、インターバルが取られる。こういう場面でペースって変わりやすいよね、と思っていたが、カラエフが強引にパンチ勝負。ハリも応戦したのだが、ここまでパンチとローは当たりながらも、決めのハイキックがことごとく空振りしてきたのが響いたか、強引な連打を浴びてついにダウン!
天を仰ぐバダ・ハリ、ルスランの逆転勝利かと思われたのだが……何か考え込むような目つきをしたハリが、立ち上がってファイティングポーズを取る。距離を詰めるカラエフ、一気に決めるかと思われたその時……ハリはその時、静かな集中力で、ここまで計り続けていたパンチのカウンターのタイミングを脳裏に描いていた……。
レフェリーの「ファイト!」のかけ声の直後、一撃目での決着! 自分のコンディション不良とここまでの劣勢を自覚し、勝負をつけにいったカラエフ。ダウンのダメージ、パンチでの打ち合いの不利を悟り、ただ一撃に賭けたハリ。西部劇のラストシーンのような劇的な決着は、カウンターを炸裂させたハリに凱歌が上がった。
逆転に次ぐ逆転、比類なき両者の切れとスピード、そして一撃決着……。この試合には賞賛の声を惜しまないぞ。ここ数年のK-1ヘビーで文句なし、ベストの名勝負だった。

ハリはこれで精神的に脆いイメージを完全に払拭。タイトルにも王手を掛けた。カラエフも今回は及ばなかったが、名勝負製造機の名にふさわしい試合内容。いや〜素晴らしかった。
しかし、一つ不満があるな。この不満は実に耐えがたいっ! なぜ、オレが生で見てた去年の開幕戦で、この名勝負をやってくれなかったのだああああーっ!


<第8試合 K−1ヘビー級(100キロ以下)タイトルマッチ挑戦者決定戦 3分3R・延長2R>
武蔵(日本/正道会館
藤本祐介(日本/MONSTER FACTORY)

先の試合の余韻が残る中、塩分濃度の高そうな試合が始まる。
しかし、入場時から、両者は気合いの入った表情。なんだかんだ言って、モチベーションは違うのかな? まあジャパントーナメントで二人倒してからようやく対戦……という状態での激突よりは、はっきり白黒つけられていいだろう。
さて、本日の武蔵さんは……あれ、オーソドックスだよ。その前に出した左脚に藤本がローキックを叩き付ける! 左ロー、そして強烈な左ミドル。一発、さっきのバダ・ハリ並の音がしたのもあり、藤本の調子は良さそうだ。武蔵はローのカットもいまいち。踏み込んでの左ジャブは、藤本のグローブを叩くだけ。藤本は距離もやや引き気味に構え、パンチも遠目から狙う。
若干プレッシャーをかけてるのは武蔵で、武蔵がワンツーで飛び込んだ時に藤本はダッキング、クリンチで逃れる。ここらへんでイーブンの印象か、ダメージでは若干藤本か?
1ラウンド、手数の出なかった両者。しかし、武蔵戦では過剰な手数は自分の首を絞める。勝負は2ラウンド以降。武蔵はパンチのカウンターを警戒してか、ローやミドルも出し切れない。
第2ラウンド、藤本の大振りのストレートが単発ながら当たりはじめる。蹴りも出ない、パンチももらう、武蔵さんの存在価値が、一つ、また一つと否定されていく。お互い組んでいるので、あながち藤本優勢とも言い切れないが、武蔵は攻め手が見つからない。もっとローやミドルの有効打を当てたいのだが、藤本が手数を出さない事で武蔵にポイントを取らせない戦い方をしている。武蔵流は研究されつくされ、もはや丸裸にされたのか。
武蔵はサウスポーに構えることもできず、二刀流は死んでいる。錆び付いた右の刀一本で武蔵はどう戦うのか。
3ラウンド終盤、藤本は度重なるクリンチで警告を受けながらも、ラスト10秒でラッシュをかける。見え見えのポイント狙いだったろう。判定を取るためにここで出てくる……誰もがそう思っていた。だが、武蔵はこのラッシュを捌けない。予期して然るべきだったラッシュを読ませなかったのは、武蔵自身の慢心か、衰えか。パンチを浴び、よろめく武蔵。

藤本有利と思われたが、判定は1−0でドロー。「お見合いファイトでちょっとだけ上回って勝つ」というのは理屈としては正しいのかもしれないが、勝負論としては物足りない。ジャッジにそういうファジーな見方が入るのは仕方のないところか。ラウンドマストではないし、藤本の攻めのなさも歯痒かったので、これはこれで妥当だろう。
しかしここで角田さんがリングイン! 両者に「タイトル戦にふさわしく、もっとアグレッシブに!」と促す。うーん、言ってる事は正しいと思う。けど、戦士としての資格云々は、ファイター一人一人がモラルとして、不文律として持つべきこと。ルールを統括する立場の人が、こんなリング上で軽々しく言ってはいけないんではないかな。
しかし、この直後のふて腐れたような武蔵の表情が、この二人の関係をすべて物語っていたな。

延長戦。
このままの展開が延々と続くかと正直思ったのだが、すでに武蔵の集中力は切れていたか。膝で攻めつつもパンチを浴びる武蔵。そして、なにげなく……本当になにげなく放たれた藤本のハイキックが、武蔵のテンプルを直撃!
かつてボンヤスキーのハイ連打をことごとく防ぎ切った武蔵のディフェンスは、いったいどこへ消えてしまったのだろう。グラウベ、アーツ、ハリッド、そして藤本。武蔵さんはもう、完全に壊れてしまったのかもしれない。

藤本
「SIO……お前の敗因はたった一つだぜ……たった一つのシンプルな答えだ」

「お前は角田を怒らせた」

パンチはどんどん手打ちになり、脚は蹴り過ぎで徐々に使えなくなり、顔は打たれ過ぎてどんどん打たれ弱くなった。ルールでつかみは制限され、得意のクリンチ、かけ逃げは封じられた。あまりの手数の少なさ、勝負所で顔を出す背ですに、ジャッジも味方しなくなった。そして新ファウルカップの導入によって、延長判定で幾度も助けられた切り札、金的アピールまでも失った。野田、澤屋敷という新鋭が現れる中、逆風は徐々に厳しくなっていった。
今日、本当に、一つの時代が終わったのかもしれない。


<第9試合 K−1スーパーヘビー級初代王者決定戦 K−1ルール 3分3R・延長2R>
セーム・シュルト(オランダ/正道会館
レイ・セフォーニュージーランドレイ・セフォーファイトアカデミー)

セフォーは113キロ……ということだが……なんだ、この去年の開幕戦とえらい違いのグッドシェイプは!? やっぱり意味のないワンマッチはダメだなあ。全然やる気が違うじゃん!
シュルトさんはいつも通り……しかし、ここまでの劇的決着連発の勢いに押されたか、セフォーが前に出る! 左右のパンチが顔面を捉え、シュルトが後退する。セフォーは戦前のコメント通り、飛び込んでの連打が切れている。これはもしかするかな、と思っていたが、シュルトさんも前蹴り、ミドル、ハイで盛りかえす。ボディか腕が効いたか、攻めが止まるセフォー。ただ、ダメージを受けても動きは止まらないし、当たらないにしても細かいジャブやローが相手の反応を誘い、決定打を入れさせない。
そしてラウンド終了間近、飛び込んでのフック、返しの左がシュルトの顎を捉え、ダウン奪取! 魔裟斗さんがホンマンVSモーの時に解説していたが、返しの左を打つ事で命中率は飛躍的に上がる。引退したら、毎回解説してください。
イグナショフ戦以来のダウンで、シュルトさんの精神的ダメージが気になる。
が、第2ラウンド開始早々、決着は突然に。勢いに乗ったセフォーが飛び込んだところに、ブレギーを粉砕した交差法の左正拳突きがセフォーの顎を直撃! なんと一撃で失神!

いや〜終わってみればシュルトさん強かった……が、これもすごい試合だったね。

武蔵とバンナ、アビディ、そして中迫、天田、堀の旧日本勢がダイレクトに株を落とし、激勝のハリ、モー、藤本は逆に一気に株を上げた。ホンマン幻想も崩壊。カラエフとセフォーは好勝負で評価を守り、シュルトも王者の威信を守った。
日本勢は野田、澤屋敷、藤本を中心に回すめどがたち、武蔵不用論は加速するだろう。

しかし、結局のところ、タイトル新設は選手のモチベーションをあげ、好勝負を生んだと判断していいかな? ランキング制の制定もコメントに出され、競技化の流れは進みつつあるが、それが試合内容を良くさせるのなら万々歳……というか、それが本来の姿だよね。
次回大会以降の展望なんかは、コミッションやら何やらの展望と絡めつつ、また次回以降。
2007/03/05 01:05
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2007/02/26

2007/3/4 K-1追加カード&トライアウト結果

追加カードはこちら。

K-1ルール 3 分3R延長2R>
ジェロム・レ・バンナ(フランス/レ・バンナエクストリームチーム)
VS
澤屋敷純一(チーム・ドラゴン)

で、トライアウト合格者はこちら。

http://gbring.com/sokuho/news/2007_02/0225_k-1.htm


バンナはゴリラと対戦するかと思っていたのだが(笑)、人間相手になった。
しかし澤屋敷か……なんか直前オファーの匂いが……ゴリラは税関もといビザ絡みか? まあ撲殺間違いないだろうが、澤屋敷は世界の圧力を体感する初の機会。頑張れ!

で、トライアウト合格者。
うーん、まあいいんだが、RISEの看板選手が混じってると、複雑な気分になるな。今年のGバズーカトーナメント延期の裏には、これがあったのか? 自興行で頂点を取り、オファーが来るのを待つ……という今までの手法よりも手っ取り早いのはわかるが……。RISEがどんどんK−1にとってのDEEPのような存在になっていくようだ。
選手本人にしてみれば、ホーストの指導は受けられるし、テレビにも出られるし、まあそういう上昇志向は別に否定しない。まして、自団体がそういう道筋を引いてくれるなら、願ったりだろう。しかし独力で地位を勝ち取るイメージはどんどん希薄になり、新入社員採用試験のような雰囲気になってるな。他競技系の選手ならわかるが、仮にもイベントのエースは、もう少しプライドを持ってほしいのだが……。
まあ山宮なんかは、ちょっと別と言うか(笑)。こうやってトライアウト出ない限り、どれだけ強かろうが「どうせPが囲ってるだろ」とK−1関係者はマークさえしてなかったんじゃないかな。

さて、ワンマッチ興行には呼ばれなくなって久しいイグさんですが、

http://www.k-1.hu/hirek/070224.html

KO勝利!
え? 試合内容? 謎! この写真だけ見たらちょっと筋肉質になってるかも?
ま〜まだ期待はしませんよ。オランダ大会までの仕上がりに注目します。

K-1新機軸その4 コミッション設立構想

この度の発表で、もっとも重要かつもっとも大風呂敷なのが、この構想。
はっきり言ってしまうと、これがないスポーツはもはやスポーツではない。「エンタメ性」とか何とか銘打ったプロレスごっこには、早く見切りをつけるべき。競技としての枠組みを確立すべきだ。

体重差のあるマッチメイク
キャリアに差があり過ぎるマッチメイク
短いスパンでの連戦
一部の選手に偏って有利な判定
露骨な反則
ドーピングの有無
八百長

どの試合がどれ、とかはいちいち言わないが、これらが平然とまかり通ってきたことは明白。個々の事例にはそれぞれ容認出来る余地もあろう。が、それらを「容認」するかどうかが、主催者側のあるともないとも言えん「良識」と、移り気で流されやすいファンの声にケースごとに左右されている現状は、まったくもって言語道断。
かっちりしたルールを決め、厳正な目で判断できる第三者に管理してもらう。第三者が管理しなければ、どこかで甘えが生じて曖昧になる。この談合天国のような日本では、あまりにも明白なことだ。

コミッションは絶対に必要です。石にかじりついてでもやって下さい。

その結果、色々なものを犠牲にすることになるだろう。スーパーヘビーにガオグライは参戦できなくなるだろう。相撲やシルムの選手は、最初はそういう選手同士でやることになるだろう。トーナメント自体、難しくなるかもしれない。武蔵は早々と姿を消すだろう。サップのような選手は、二度とリングに上がれない。突然、身体が小さくなる選手がいるかもしれない。勝負所で弱かった選手が、なぜか強くなるかもしれない。
華やかな話題はとぼしくなるだろう。今までのスター選手は、事実上消えていくだろう。ヘビー級の日本人は、試合に出ることさえ難しくなっていくだろう。ストップが速くなり、刺激に乏しくなるだろう。優遇を受けていたスター選手は、特権を与えてくれるところに移籍することだろう。視聴率は取れなくなるだろう。

だが、選手が無意味なリスクを負う機会は確実に減るはずだ。負傷を、KOのダメージを押して試合に出ることはなくなる。勝ち目のない危険な相手との試合を受けざるを得なくなることもなくなる。明らかな勝利を奪われるようなこともなくなる。フェアな勝負のために、練習で培って来たものを無にされることもなくなる。

そして何より「フェア」であるということは、誇りである。そのスポーツを愛するファンが、胸を張って「好きだ」というために、絶対に必要なことなのだ。

八百長でしょ」
「見せ物でしょ」

そんなことを言われる必要がなくなる。神を信じる者。正直であることに、フェアであることに誇りを持てる者。そういった人間には絶対に支持されるはずだ。既得権益を持たない選手からも、必ず支持されるはずだ。

もっとも、コミッションがあるにも関わらず、ジムやテレビのいいなりで、不当判定がまかり通ったボクシングの例もある。そういった機関を作ったところで、何の意味もない。外国人を横綱にしたくない感情論ばかりの某審議委員会のようなものがあっても、同じことだ。公正な機関を作るということは、非常に難しい。まず「フェアである」ことに「メリット」が生じるようなシステムを考えて行かないと、あっという間にじり貧になるだろう。それには、やったもの勝ち、ばれなきゃいい、という価値観を根付かせてしまったこの国の意識を変えねばどうしようもないのかもしれないが……。

コミッション設立など、始まりに過ぎない。
世界中での門戸開放、キックルールや他競技との交流、競技人口を拡大し、誰もが参加出来るものとして格闘技を根付かせていく、ほんの第一歩に過ぎないのだ。こんなところでつまずいているようでは、そもそも未来などない。
まだまだ大晦日興行や、普段の興行もそれなりに視聴率を取っている。魔裟斗やKIDも何かと話題を集めてくれている。だが、いずれ……そう遠くないうちに限界は来る。余力がある内に、格闘技が、K-1がスポーツとして根付くように、100年続くものをこしらえて欲しい。
2007/02/15 21:58
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2007/02/12

K-1新機軸その3 オリンピック構想と国別対抗戦

2011年開催! ……とまあ、大風呂敷を広げたものだ……。

http://gbring.com/sokuho/news/2007_02/0207_k-1_02.htm

ただ、いきなりサッカーワールドカップやらオリンピックのような規模を想像すると、確かに無茶だが、いきなりそういうイベントにはならない……というか、むしろ今現在の興行の延長線上に位置するものになるのではないか?

国別で5階級から一人ずつ代表選手を出し、対抗戦を行うということ。詳細はもちろん未定だろうが、例えば5vs5の団体戦方式か。

たとえば、日本代表。

スーパーヘビー 曙
ヘビー 武蔵
ライトヘビー 富平
ミドル 魔裟斗
ライト 山本KID

……まあ4年後はこんな面子にはならんだろうが、一例ということで。
対する優勝候補筆頭、オランダ代表。

スーパーヘビー シュルト
ヘビー バダ・ハリ
ライトヘビー スポーン
ミドル サワー
ライト ?

オランダの小さい選手に関してはよく知らないのだが、こんな感じのカードなら、今すぐにでも組めそうだ。これで5試合。もう一組やれるだろう。韓国VSフランスとか、面白そうではないか? これでも一日に10試合。第二日目、アメリカVSロシア、オセアニアVSドイツ。第三日目、タイVSクロアチア、ブラジルVS南アフリカ……。K-1ファンならば、各国代表ぐらい、いくらでも考え付くのではないか? タイ代表はガオグライがスーパーヘビーになってしまいそうだが。
トーナメント形式だと、3勝してスーパーヘビーに回らない可能性がありそうだが(笑)、リーグ戦ならば1勝=勝ち点いくら、という計算でやれる。箱など、興行の枠組みは何も変える必要がない。
問題があるとすれば、システムによっては試合全てを消化するのに何十日……今の基準でいくと何十興行もかかることだろう。おそらく、初期はそれほど大掛かりにはならず、せいぜい8ヶ国ぐらいでのトーナメントというところだろう。
だが、もしこの形式で何十ヶ国もが参加し、地域予選を勝ち上がった国が出てきて、本当に世界一のワールドチャンピオンを決められたら……。そしてそれが全てテレビ放送されたら……。上半期の国内の試合がすべて代表選考になったら……。MAXの日本人のトーナメントが、ミドル級の日本代表を決めるトーナメントになったら……。これは世界のどんな格闘技興行も凌駕するスケールのイベントになる。敢えて「国別」の勝者を競うことで、個人の強さを争うタイトル、WGPの価値観も守れる。

まあ、現時点では妄想に過ぎないし、代表の選考などシステムが作られ機能しない限りは、何もかもが絵に描いた餅だ。だが、勝敗に価値の見いだせないワンマッチを乱発したり、必要以上に過酷なトーナメントを続けることよりは、取り組む価値のある魅力的な形式だと思う。同じ一試合でも、システムによって付加価値を持たせれば、戦いの色合いや温度は一気に変わる。

これが実現し格闘技に対する遠心力が高まれば、大晦日イベントの役目もその時、終わるだろう。その時を期待して待ちたい。

2007/02/12 20:11
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2007/02/09

K-1新機軸その2 2007年の年間スケジュールと、3/4の追加カード

さて、今年のスケジュールも発表されましたが……。

K−1 WORLD GP 2007年度シリーズスケジュール

3月4日(日)日本・横浜アリーナ
K-1 WORLDGP 2007 IN YOKOHAMA」
初代スーパーヘビー級王者決定戦

4月28日(土)ハワイ・ブレイズデルセンター
K-1 WORLDGP 2007 IN HAWAII」
USA GP、初代ヘビー級王者決定戦

6月23日(土)オランダ・アムステルダムアリーナ
K-1 WORLDGP 2007 IN AMSTELDAM」
EUROPE GP

7月29日(日)香港orマカオ
ASIA GP

8月11日(土)ドイツorラスベガス
世界最終予選

9月下旬 韓国・オリンピック第1体育館
K-1 WORLDGP 2007 IN SEOL 開幕戦」

12月上旬 日本・会場調整中
K-1 WORLDGP 2007 決勝戦」

はわあああ〜っ、大阪で開幕戦やらないのかよう(涙)。うっ、うっ、今年こそイグさんが復活するかもしらんのに。
ふんっ、これはますます9月は横浜だな……。

予選大会は4大会に減り、代わりにヘビー&スーパーヘビー王者のエントリーが決定。
開幕戦出場者は、予選王者4人と昨年ベスト8、各階級王者2人、主催者推薦、ファン投票1位の合計16名。重複があった場合はファン投票から複数選ばれる。
現時点での確定は、引退したホーストを除くと、

シュルト
アーツ
グラウベ
ボンヤスキー
レコ
バンナ
カラエフ
ハリッド

……の8名。しかし、こう大仕掛けになってくると、このシステムも今年が最後かもな〜。
重複と書いたが、

K−1スーパーヘビー級初代王者決定戦 K−1ルール 3分3R・延長2R>
セーム・シュルト(オランダ/正道会館
レイ・セフォーニュージーランドレイ・セフォーファイトアカデミー)

こちらの試合もタイトルマッチに決定。アーツ様を差し置いてどういうことだ、という感じだが、シュルトで鉄板だから別にいいか。仮にセフォーが勝っても、人気選手に開幕戦出場権が転がり込むだけで、別に何も問題はないわけだ。

それよりも、予選が減ってるのが気になるな。例年以上の壮絶な潰し合いになりそうだ。もう敗者復活はなく、きっちり32人エントリーでいいんじゃないか。ジャパンが完全に消滅したのは良い事だし、オセアニアがなくなったのは悲しいな。開幕戦が韓国というのも……。今までのソウル予選のあまりのひどさに「これを韓国の人にK-1と思われるのは悲しい」と書いた事がある。それが今回、初めて開幕戦が韓国でやる、ということで、いやあ韓国のファンの皆さんは良かったねえ……くく……(涙)。

さて、おまけで3月の追加カード。

K−1ルール 3分3R・延長2R>
堀 啓(日本/チーム ドラゴン)
アレキサンダー・ピチュクノフ極真会館

K−1ルール 3分3R・延長2R>
中迫 強(日本/ZEBRA244)
ザビット・サメドフベラルーシ/チヌックジム)

はっはっは、 こないだから ハリビーさん と、ずーっとサメドフサメドフ言ってたが、マジに参戦! これは楽しみだ。これで今までならイグさんの居場所がなくなるのを心配してたところだが、これからは階級が違うからな。充分住み分けが可能だ!
そしてピチュクノフも、満を持して登場。今年は本戦に絡むべく、まずは生け贄を平らげてほしいね。
一つ希望を出したいのは、こういうタイトルと絡まないワンマッチでも、きっちり契約体重を明記してほしいということ。中迫なんかは減量してヘビーでやるのか、それとも体格を維持して、やや軽量のはずのサメドフと「無差別」でやるのか。ここらへんは常にはっきりしておいてもらいたいところだ。

以下続く予定。

その3 オリンピック構想と国別対抗戦
その4 コミッション設立構想
その5 HERO’Sはこの流れに乗るのか?
2007/02/09 00:01
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2007/02/07

K-1新機軸その1 階級増とタイトルマッチ構想

いや〜、こないだのタイトルマッチ発表から、ちょっと匂いはしてましたが……てっきり数年かけてゆっくりやるかと思ってたね。
そんなわけで、新機軸の発表です。一口に新機軸と言ってますが、今回の発表は密度が濃過ぎて、頭が混乱しそうです。
ちょっと整理します。

まずはタイトルマッチから。

階級別タイトルマッチ制定
1.スーパーヘビー級(オーバー100キロ)
2.ヘビー級(アンダー100キロ)
3.ライトヘビー級(アンダー85キロ)
4.ミドル級(アンダー70キロ)
5.ライト級(アンダー60キロ)

今まで2階級だったものが、一気に増えた! ヘビーが二つに分かれたぐらいでは別に驚かなかったが、ライトヘビーとライトの増設は驚きである。当然だが今までの中間層ということで、見られなかった強豪選手が一度に集結するわけだ。
特にライト級は……日本のキック団体からはもちろん、タイからも強豪が出てくるだろう。小規模興行では実現出来ないビッグマッチの実現に期待したい。大宮司VS竹村とか(笑)、代理戦争とか言って今すぐにでも煽れそうである。とはいえ、国内キックの熱も奪わぬように、あくまでK−1ルールの大会としてそれに相応しい選手をピックアップし、無理に名前だけで集めないようにしてほしいものだが……。

余談だが、

http://gbring.com/sokuho/news/2007_02/0207_rise.htm

去年から始まったこのトーナメントも、優勝者はDOAと同じくK-1参戦か。何かのはずみでファイヤー原田あたりがお茶の間に登場したら面白いな(笑)。
ライト級の気になるイベント名はやはり噂の「K-1SPEED」か? まあいきなり人気はでないだろうし、MAXと切り離して最初の内は、数千人クラスの会場で地道にやっていけばいいのではないかな。層の厚さでは他の階級以上なわけだし。例えば、いきなり地上波がつかなくともいいのではないか。放送があるにしても決勝大会のみとか、あまり大きくぶち上げずにじっくり構えてほしいものである。まずは、ライブで来るお客が楽しめるように。地方興行も交えて、テレビ主導でない、視聴率が取れなくとも成立する興行を。

で、あと気になるのは、実はMAX。現在はトーナメントで王者を決めているが、これに加えてMAXでも階級別のタイトルを作るということになる。これはおそらく、今年のトーナメントを終えて、大晦日も含む来年以降の話になるかな? ブアカーオが連覇を達成すれば、当然、彼を軸に、サワー、魔裟斗、佐藤あたりが絡んで行くだろう。トーナメント偏重で、ワンマッチでは調整試合のような感覚で臨む選手が増えていたが、またこれで新たな熱気が生まれるかもしれない。
こちらは完全にテレビコンテンツになっているのだから、華々しくやりましょう。PRIDE方式で、4人制トーナメントプラス別階級のタイトルマッチ、という大会もありかな?
トーナメントとタイトルマッチが並んだ場合、テレビ放送で心配なのは、両方ともきっちりと放送されるか、ということ。生中継があれば理想的なのだが、フジはともかくTBSにはそこまで期待できない感じ。コンテンツとしての魅力が増せば、放送枠は増える。それは当然のことなんだが、階級増しても視聴率には関係ないだろうからな。
お笑い路線をなくして、スポーツとして競技性を増していこうということは素晴らしいが、苦しい時代が続くかもしれないし、最悪、全てが企画倒れに終わるかもしれない。だが、それでもこれはチャレンジすべき課題である。私は断固、支持したい。

以下続く予定。

その2 2007年の年間スケジュールと、3/4の追加カード
その3 オリンピック構想と国別対抗戦
その4 コミッション設立構想
その5 HERO’Sはこの流れに乗るのか?