”オレを食ってみろ!”『MEG ザ・モンスター』


『MEG ザ・モンスター』本編映像

 ジェイソン・ステイサム主演作!

 マリアナ海溝のさらに下、高い水温を保つ未知の領域が発見される。しかし、侵入した探査船が何者かに襲われ、身動きが取れなくなる事態が起きる。探査船に乗った元妻を救うために呼び出されたのは深海救助活動のプロ、テイラー。だが、彼の脳裏をかつての苦い記憶が過ぎる……。

 わざわざIMAX3Dでサメ映画なんか見ちゃった、というぐらいの、何だか高い金払ってしまったなあ感があったのだが、さすがは中華資本、あからさまなB級企画にも関わらずめちゃくちゃ金がかかっている。舞台は中国沖だし、ヒロインはリーの方のビンビンさん。クライマックスも中国の海水浴場で、ほぼ中華映画。

 割と理屈っぽく、古代生物の生存を語る序盤から、メガロドン登場の中盤、復活とどんでん返しと最後の決戦まで、割とそつなく、わかりやすすぎるぐらいにわかりやすい三幕構成になっている。

 過去の因縁を背負ってブツブツ言うもののあっさり助けに来てくれるステイサム、ツンデレリー・ビンビン、反目するも非を認めてすぐ謝る脇役など、キャラもわかりやすい上に、基本的に誰も憎めない。一応、まったく金持ちに見えない大金持ちレイン・ウィルソンが黒幕的な存在なのだが、こちらも対して悪人ではないし、海に飛び込むステイサムに対して思わず「カッコいい」と呟いてしまう観客の気持ちを代弁するくだりがあるので、むしろ共感させられてしまうというか。

 そもそもG指定になるぐらいなので『ピラニア』みたいな殺戮シーンがないのも分かりきっているし、サイズ的に普通のサメより人間を食べるシーンが面白くなるか、というとそれも微妙なのだよな。

chateaudif.hatenadiary.com

 しかしつまらないかと言うとそうではなく、『ナショナル・トレジャー』という炭酸の抜けた『ダヴィンチ・コード』みたいな映画を撮ったジョン・タートルトーブの、分かりやすく当たり障りなくショーン・ビーンさえ殺さずに誰も嫌な気分にならないようにまとめ切る力は最大限に発揮されていて、見ている間はまあまあ楽しい。
 実際に水泳選手でもあったというステイサムの飛び込む姿は美しく、水中でメガロドンとタイマンという設定にもそれなりの説得力を与え……与え……与えてるかは個人の判断に任せたい。この人のえらぶって見えない個性は、流石にスターだな、という気がしたものであるが……。

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