“そして世界へ”『ジュラシック・ワールド 炎の王国』(ネタバレ)


映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』日本独占!【最終予告】

 恐竜映画第五作!

 崩壊したジュラシック・ワールドのあるイスラ・ヌブラルで大規模な火山活動が観測される。生き残った恐竜たちを保護するか、放置するかで揺れる米政府。その頃、保護団体で働くクレアは恐竜の捕獲の依頼を受け、「ブルー」が生きていることを知らされる。再びオーウェンとコンタクトする彼女だが……。

 復活したワールドシリーズは三部作だそうで、これがその2本目になる。監督は『永遠のこどもたち』『インポッシブル』のA・J・バヨナ。

chateaudif.hatenadiary.com
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 前作のテーマパーク崩壊後、島の火山に大噴火の兆候が……って、結局ジュラシック・パークもワールドも、存続してたとしても火山で吹っ飛ぶ運命だったのか……それは何か複雑な気分になるな……。
 生き残って恐竜を保護するべく、保護団体で働いているブライス・ダラス・ハワードが駆り出され、前作にも登場したラプトルのブルーを探すためにクリス・プラットも引っ張り出されることに。
 まあ当然、裏には陰謀があって二人はまんまと騙されているのだが、この騙されっぷりがあんまりにもあんまりで、前作の頭の悪さをしっかり引きずっているな……。この序盤の導入は相当かったるく、噴火が始まり、裏切りが明らかになってドタバタし始めてからやっと面白くなる感じね。
 噴火によって逃げ惑う恐竜たち、その中でも暴れるTレックス、爆煙の中に消えていくブラキオサウルス……という辺りは、あるいは遥か昔、恐竜絶滅の際にはこんな歴史模様があったのかも、と思わせてなかなか良かった。

 しかし、今回はキャラクターに全く魅力がなくてちょっと驚いた。いや前作にも、パイさんや微笑みデブにその片鱗はあったのだが、あれは無残に死ぬ要員だとわかっているから良かったので……。主演二人もそもそも関係ない話に無理やり駆り出されている感が強く、特にブルーがほぼヒロインになってる今作では、ブライス・ダラス・ハワードは不要だったのではなかろうか……。連れ回されてる若手二人も人数合わせ感が強く、こういう役回りのキャラいるよね……というか……。
 前後半で舞台が変わるので、後半メインキャラの幼女とのつながりが希薄なのももったいない。どうせなら、このクソガキも前半で密航して島に行ってれば良かったんじゃないか。

 で、後半は『バイオハザード』の洋館で『ディノクライシス』やるというカプコンインスパイアな展開になり、災害→ゴシックホラーということでバヨナ監督の本領発揮かな、と思いきや……うーん、やっぱり血が一滴も出ないんじゃ面白くも怖くもなんともないわな……。無駄にハラハラさせるのはスピの方が上手いよね。
 途中、幼女がベッドに逃げ込んで「いかにも」な絵面を作るシーンの必然性のなさにも辟易。これは寝てる時に恐竜がこないとダメだろ。

 どうも全てをなんとなく、ノリと絵面とステレオタイプなキャラクターだけでつないで行ってるから、ちっとも盛り上がらないし新鮮味のかけらもない。あのオークションに来てる金持ちも、何も個性がなくて驚く。インドラプトルも見た目はインドミナスレックスより弱そうなんだから、知性なり凶暴性なりで面白みを出さないといかんだろうに、ターゲットで動くギミックだけの恐竜になってて、挙句にブルーに負けるとかなに……。

 最後の解放シーンも、クローン少女が自身の出生の秘密を知った途端に急に恐竜に思い入れるというのも、単に記号的に描いてるにすぎんのじゃないか。ここはやっぱり島にも行って、もっと生身の恐竜へのシンパシーを育てるべきではなかったか。いや、あるいはこれは図鑑で恐竜を理解したつもりになった少女の「愚かな行為」として描きたいのかもな……。
 ところで洋館を逃げ出した恐竜だけでは繁殖には数が足りないような気がするが、まあそこらへんは無視か。もう関係なく普通に海渡った恐竜が結構いたのかもな……。

 しかし、なぜかレギュラー化して今回もちょいちょい活躍するTレックス先輩、ついに島から出てしまって、生まれてこのかた波乱万丈で、数奇な運命にもほどがあるな……。
 一応、次で終わりということで、大物然としたジェフ・ゴールドブラムが大見得を切って見せたが、次はぜひサム・ニールローラ・ダーンも復活させたらいいんじゃないかな。

ジュラシック・ワールド (字幕/吹替)

ジュラシック・ワールド (字幕/吹替)