”これが銀河の陣だ”『パーティで女の子に話しかけるには』


映画『パーティで女の子に話しかけるには』予告編  12月1日(金)公開

 パンク映画!

 1977年ロンドン。パンク少年エンは、偶然潜り込んだパーティで美しい少女ザンと出会う。保護者に反抗的で、パンクの話を聞いてくれるザンに惹かれていくエン。だが、ザンはあと48時間でこの星を離れるという。彼女は宇宙人であり、さらに彼らには恐ろしいしきたりがあって……。

 エル・ファニングちゃんが主演! タイトルだけ見ると童貞がモジモジする話かと思うし、これがほぼ原題の直訳。ただ、ナンパとか口説くとかいう言葉をチョイスせず「女の子に話しかける」としたのは、非常に平熱な感じだし、まして『スーパーバッド 童貞ウォーズ』とかとは全く違うニュアンスなのがわかる。

 パンクに傾倒してファンジンを書くガチオタである主人公が、悪友二人とある家のパーティーに紛れ込んだが、実はそこは宇宙人の住処で、全身タイツの彼らと思いもかけずコンタクトすることになる。
 80年代頃、『スターマン』とか『花嫁はエイリアン』とか、見た目は地球人そのまんまだけど宇宙人と言い張るB級SFが色々あったが、それに久々に触れたような感覚を受けましたね。舞台は70年代後半で、最近はこの頃を回顧する映画が多いな……。

 エル・ファニングちゃんは宇宙人ということで、まあ「無垢」なわけで、そういう子だからこそ主人公のパンクも受け入れてくれる、という都合良いボーイ・ミーツ・ガールではある。しかし陳腐な話と低予算で安いビジュアルだから、安っぽくてつまらない……のかというと、まったくそうではないのである。
 妙な間と無表情が徹底された宇宙人たちの演技が、そこはかとない説得力を生んでいつしか作品世界をそういうものだと納得させてしまう。主人公たち三馬鹿のそこへののめり込み様、距離の縮まり方も絶妙で、エル・ファニングちゃんとお近づきになりたい気持ち、ニコール・キッドマンのキャラのいい加減さがそれを後押しする。

 宇宙人の住処に乱入したところ、身体で壁を作って遮られるんですが、これって『少林サッカー』のあの陣形じゃないの……?とちょっと思ってしまったよ。観てるのかな……。

 オチも割とベタなところに持ってくるんだけど、それもまた心地よしですね。主役の人は、高校生役よりもラストの方が実年齢に近いのな。