”緑の地にあるのは"『グリーン・インフェルノ』
イーライ・ロス監督作!
アマゾンの森林伐採と現地住民の追い立てを阻止すべく、環境保護を訴える学生グループが現地にやってくる。計画を遂行し、企業の侵入を食い止めた彼ら。だが、送還の飛行機が墜落し、助けたはずの原住民によって捕らえられることに……。
そう言えば『ホステル』も観てないな。製作・脚本の『アフターショック』なんかは観たが、なにげに監督作を観るのは初めて。
前半、主人公の大学生が環境保護活動をしているグループに感化されるところから物語は始まる。授業でアフリカや中東の女性の性器切除を知ったことと、自身の父も国連の弁護士であることから問題意識に目覚め、彼女に気がある団体のデブに誘われて、いきなりの奥地へと……。同部屋のルームメイトは止めるんだが、ある種の使命感に突き動かされたのと、グループのリーダーである男の指導力に溢れる物言いにも惹かれていて……。
事前に情報を得ていなければ、なかなか生真面目な映画だな、と錯覚しそうな展開が続く。幻の少数民族が暮らすという、舞台となる密林の奥へやってきて、伐採を進める企業を止めることに成功! しかし主人公は銃を突きつけられて恐怖を味わい、「彼女の父親は国連の弁護士だ!」とリーダーが叫んだことで、自分は体良く利用されていたことを知るのであった。この前半がなかなかねっちりと長いのだけれど、これだけでも一本の映画になりそうですね。
そんなこんなで、主人公のメンバーへの不信はピーク。燃えていた「純粋な正義感」を利用されていたこともショック。帰りの飛行機では、彼女を気遣うデブの言葉も耳に入らず……。しかしその飛行機が突如墜落し、急転直下、「お楽しみ」の幕が上がるのである……!
飛行機墜落で割と人死にが多く出てしまうのがちょっと拍子抜けだったりするが、墜落現場を原住民が襲撃! リーダーの女の超嫌な奴が首を矢で射抜かれ、「待ってろ、今抜いてやる!」と言われてる端から頭を射抜かれるシーンは爆笑。残りの面子はあっけなく吹き矢で眠らされて捕まる。
最初の生贄は……もちろんデブだああああああ! 「デブはメンタル弱い」という断固たる偏見のもと、捕まった時にはすでに心が折れているデブ。他の仲間が檻に放り込まれたのに、自分だけは食べ物を与えられ……「Thank you. Thank you」言うてる場合ちゃうぞ! いきなりのクライマックス、屠殺解体だああああ! 眼球、舌、両脚、両腕と順番に切り取られ、多分、両脚の後、腕にかかったあたりで意識がなくなった(死んだ)かな……。土の窯に突っ込まれて蒸し焼きにされる人体。やっぱり一番食いでのありそうな奴から犠牲になるわな……。
一方で、女神官による女子メンバーの「改め」が行われる。指につけた尖ったものを差し入れ、流血したら処女認定! 三人目でついに血を流したのは主人公だ! この女優さんは監督と結婚してるそうだが、パートナーを一人だけ処女設定にした上に一番景気良く脱がせる、というのは、なかなか倒錯したものを感じるな。結婚したら脱がさなくなった『バイオハザード』シリーズとは対極……?
処女は原住民と同じメイクを施され、性器切除が待ち受ける……ここのハラハラ感は解体シーンと並んで怖いところですね。
マリファナを使ったカルチャーギャップギャグなんかも入れつつ、事態はジェットコースターの如く展開していく。前半が長かったから、後半は駆け足な感じで、どうにも食い足りなさも残る。アリのくだりとか、えっ、あれだけ?という描写だったし……。
終盤は大真面目にテーマを回収し、人食い部族についても、慣習がそうである、というだけで、怪物なのではない。我々と同じ人間である、と結論づける。リーダーが格好つけるばかりだった真の理想に主人公は到達したのだ、というラストは中盤の恐怖感と合わさって迫るものがありますよ。
悪ふざけはほどほどで、なかなか真面目な映画でありまして、それゆえに物足りなさも残る、というブツでした。
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